最新のN-BOXをお借りしました
先日、最新のN-BOXを1週間ほどお借りできました。
最新の軽の進化がどれほどのものか?また、軽NO.1の売り上げを誇るN-BOXの実力やいかに!
そんな興味津々の試乗となりました。そのインプレッションをまとめたいと思います。
試乗車のグレード
※HONDAホームページから引用
グレード: N-BOX CUSTOM
エンジン: 直列3気筒 660cc (ノンターボ)
ミッション: CVT
駆動方式: FF
小売価格 :1,849,100円
詳細はこちらをご覧ください。 HONDA N-BOX プレスインフォメーション
インプレッションまとめ
軽の枠を超えた性能と、扱いやすく居心地の良いクルマだと感じました。
ポジティブな部分
・走りだしですぐ感じる、乗り心地の良さと静粛性。クラスを超えている。
・軽らしからぬしっかりとしたハンドリング
・居心地の良い、巨大な居住空間
・視野の広さから来る運転のしやすさ
ネガティブな部分
・ブレーキのリニアリティが不足
・ADASのブレーキの唐突感
エクステリア
典型的な軽ハイトワゴンのデザインながら上質感漂う
正直、軽のハイトワゴンクラスのクルマは、ぱっと見同じですよね。
ボキシーというか四角い外観。ガラス部分の面積が大きく、見晴らしの良さそうなデザイン。
そんな中で、N-BOXは軽ナンバーの販売台数を誇る王者。その風格と上質感を感じさせる外観なんです。
使いやすさを想像させるシンプルで優しいデザイン。要所要所にこだわりを感じるデザイン。4隅ギリギリにレイアウトされたタイヤがしっかりと路面を捉えるようなイメージ。そんなことがそう感じさせるのかなと思いました。
CUSTOMグレードは、迫力のあるグリルが特徴。しかしながら、前モデルの方がヤンチャな印象でしたが、このモデルはより落ち着きがあって個人的には好きです。バンパーのサイド部分の張り出しは、先ほどの4輪が路面をとらえたイメージを作り出しています。
センサーやカメラがありますが、わざとらしくなくデザインされています。好印象です。
サイドビューはこんな感じ。典型的な軽のハイトワゴンというデザインですね。しかし、変に凝ったデザインでなく、シンプルなところが良いですね。
こちらはリアビュー。CUSTOMなので、テールゲートスポイラーを装着。横ー直線ではなく、波打ったデザインはちょっと凝ってますね。それ以外はシンプルなデザインで好印象です。
タイヤはDULOP ENASAVE EC300、サイズは155/55/R14です。
エンジンルーム。いやー、まあ良くもこんな小さなスペースに、エンジンをはじめ部品を押し込んだなと。見れば見るほど感心してしまいます。
よく見ると、フェンダーの内側に発泡スチロールの部品を発見。防振、防音なのでしょうか?
インテリア
驚くべき運転席側ドアの開度
車に乗り込もうと、運転席側のドアを開けて見るとあらびっくり!!常識的なドアの開度では止まらない!あれどこまで開くんだ!と思ったら、90度まで開きました。
それがこの写真。びっくりですよね。こんなクルマ初めて見ました。メリットを考えてみると、乗り降りはしやすいのかなとは思いました。
しかし、デメリットとしては、強風で必要以上に開いて隣のクルマに当たり傷つけてましまわないか?心配になりますね。
居心地良く視界の良い運転席
爽快な視界
乗車してみると最初に思うのは、爽快な視界です。
なんといってもガラスの面積が広い。軽のサイズでありながら、やはりハイトワゴンということで、室内高が圧倒的に高いことからくるものですね。
また、フロントピラーが片側2本/両側4本になっていて、前側が細くなっていることから、フロントガラス+左右のサブガラスが繋がった一枚のガラスのようになった印象です。
FITも同じようなデザインを採用していますが、N-BOXの方が高さがあり、ガラスも立っているため、圧倒的に爽快な視界だと感じました。
シンプルスマートなインパネデザイン
個人的に、インパネはシンプルで横ー直線なデザインが好きです。メーター部分が上方向に出っ張っていたり、デザインしているつもりの妙に波打ったデザインをよく見ますが、全く受け入れられません。
そんな意味では、このN-BOXのインパネはとても良いと思いました。
視認性良いデジタルメーター
メーターはFITのメーターにも似たデジタルメーター。変に大袈裟なものでなく、必要十分な情報をドライバーに提供してくれるという点で良いと思いました。
メーターの下半分はハンドル左側にあるスイッチで色々と切り替えられます。この写真は、シンプルというモード。自分のクルマを後ろから見ている画像になり、ブレーキランプやウインカー/ハザートなどもしっかり表示してくれます。ただ、ボディーカラーが実際のものと違うところが残念ポイントでした。
まあ、これがあったところでメリットがあるか?と考えるとないんですけどね。
サングラスを入れるのに最適な運転席下の小物入れ
よく見ると、ハンドルの下、ペダルの上に小物入れを発見しました。自分が思うに、サングラスを置くのに最適だなと思いました。
しかし、この位置危険性もありますね。入れておいたものが、フロアマットに落ちてペダルに挟まったりしたらと考えると、入れるものを考えておく必要がありそうです。
大型ナビと小物入れ
ナビは最新仕様ということでとにかく大きく見やすい。軽なのか?と思うサイズです。時代の進化はすごいものです。唯一難点は、ナビの角度が後傾していて、若干見辛いこと。もう少し立てるか、角度調整ができると良いと感じました。
また、ナビの左側にあるトレーについてですが、とても質感があって使い勝手を考えているなと思いました。スマートフォンを置いたりしても滑りにくく、底部分が前方に向かって低く傾斜していて、加速時に滑り落ちないような工夫がされていたからです。
ECON/電動パーキンブレーキ/ブレーキホールドのスイッチ
ECON/電動パーキング/ブレーキホールドのスイッチはすぐに手の届く位置にあり、非常に操作しやすかったです。
USB電源
助手席の目の前に、USBの電源ポートがしっかりありました。
グローブボックス
USBの電源ポートの下にグローブボックスがありました。
そしてよく見ると、右上の部分に切り欠きがあります。これは、スマートフォンなど充電中のアイテムをグローブボックスにしまっておく時に、充電ケーブルが挟み込まれないような気配りなんじゃないかと思います。素晴らしい。
死角を減らす左側のミラー(ドアミラーとサブミラー)
室内から助手席がを見ると、一般的なサイドミラーだけではなく、2つの小さいミラーが見えてきます。
ひとつ目は、サイドミラーの内側の下にサブミラーが見えます。これは、サイドミラーでは見えにくい、左側後方の特に下方向を映し出しています。
もうひとつが、フロントピラーにあるサブミラーです。これは、左のフェンダー脇の下の部分、つまり前方部分を映し出しています。実は、サイドミラーの裏(前側)にも小さいサブミラーが付いていて、そこに映し出される前方の映像を、この室内のサブミラーが写しているという仕組みなんです。これをやろうとした時に、パッと考えるとカメラで写すとかなります。アナログ的ではありますがシンプルな発想でこれを実現したことは素晴らしいと思いました。
これらのサブミラーは、左側の下部分の死角を消す素晴らしい工夫だなと思いました。
高さ調節機能付きの運転席シート
運転席は、左右つながったベンチシート。しかし、完全フラットではなくて、しっかりとホールド感があって、疲れにくいシートでした。
しかも、座面の高さ調節機能付き。この写真の右側のレバーで調節が可能です。
しかし、助手席側はその機能がないので、運転席側を下げると段差ができます。それほど気にはならないですけど。
広大なスペースの後部座席
N-BOXのハイライトは後部座席ということができると思います。
スライドドアを開けると広大な居住スペースが広がります。
もう、座っていると前席とのクリアランスというか距離がありすぎて、不安になるほど。それほど広いです。
また目の前には、机が現れます。食事したり、仕事なんかできちゃいそうです。
サンシェードもついてます。一昔前は高級車の装備だったのに。時代進化はすごいものです。
降りる時用にハンドルも装備。特にお年寄りが乗り降りする時に親切ですね。
新幹線の窓のようです。
この内側の窪み、小さな子供が乗る時に、外からここを掴んで乗り込みやすいようにと設計されたそうです。このN-BOXが発表された際、YOUTUBEでインテリアデザイナーの方が話されていました。
このスピーカーの横の溝も、一般的なミニカーがハマる間隔に設計されていて、乗車した子供がここで遊べるようにしたとのことでした。
その動画に加えて今回実物を見て、ホンダの開発者が細部までユーザー目線で考えていることに感動すら覚えました。
荷室
後部座席があんなに広大だったら荷室は大したことないだろう!と思いきや、広い!しかも、とても低く荷物が乗せやすくなっています。(反面、テールゲートは超長くて、開ける際に後ろとの間隔に気を使う必要がありますね。)
荷室にあるレバーは何かな?と引っ張ってみました。
後席のシートスライドができるレバーでした。
後席を一番前までスライドさせてみたら、20cmほどスライドしました。さらに広大な荷室が出現しました。
その状態での後部座席はこんな感じ。この状態でも全然狭くありませんし、足のクリアランスも十分です。
再度、一番うしろにスライドしてこの状態。やっぱり広い。
後部座席のアレンジ
フォールディングダウン
後部座席を倒してみます。ワンアクションで倒れます。
左右倒すとさらにさらに広大な荷室が現れます。
いやーなんでも乗りそう。自転車なんかしっかり乗りそうです。
座面 ポップアップ
また後部座席の座面をポップアップすることもできます。高さのある植木など、高さのあるものを運ぶときに便利そうです。
自分流 大開口リラックスモード
こんなただでもリラックスできるN-BOXですが、最大限にリラックスできるようにと自分なりにアレンジを考えてみました。それがこちらです。
・左右のスライドドア、テールゲートを全開
・前席を最も前にスライド
・後席を最も後ろにスライド
・後席の背もたれを倒す
心地よい風が通り抜け、足を投げ出してリラックス。もう最高な気分でした。
エンジン・ミッションについて
動力性能
正直、必要十分のパワーといったところですね。ターボグレードはより力強いのだと思います。
シフトモード(DレンジかSレンジ)もしくは、ECON on/offによって、パワーの出方が変わります。
ECON onでは、CVTが早めにハイギアに移行していくイメージなので、中間加速でもたつく感じ。ECON offにするとそれが幾分良くなる印象でした。
個人的には、ECON offで常時走りたいですし、時にはSレンジ併用したいですね。そういう意味で、先ほども言いましたが、エンジンスタート時はECON offでいて欲しいのです。
NVH
走り出してすぐ思ったのが、静粛性。なんて静か!これが軽なのか?と思いました。ロードノイズが目立つくらいでした。
エンジンの音も静かで、どこか遠くで唸っている感じ。アイドル振動としてハンドルに伝わってくるものも微小、ガサツな振動も感じられませんでした。
燃費
15〜18km/l辺りでしたね。
ブレーキ
ブレーキは、コントロール性/リニアリティの無さがマイナスポイント。クセのあるブレーキと言えます。
特に、踏み始めの効きが悪くペダルも重めな部分があって、操作量に対して減速度が出ない。なので踏み増すと急に効くという印象でした。
また、ECON on/off によるCVT制御の違いで、減速度が変わる部分がありました。特に、ECON on時に、ブレーキをかけながら20km/h以下になると若干減速度が減るので、ブレーキを踏み増ししないといけない場面がありました。
ハンドリング
軽らしからぬしっかりとしたハンドリングという印象です。
ハンドルの切りはじめから、軽らしからぬしっかりとした反力を感じました。また、ECON on/offでハンドルの反力が変わるところがあって、ECON offの時の方がしっかり反力が出てきて、走りやすく好みでした。
残念な部分としては、ロールとヨーのつながり悪いところ。ハンドル切り始めに急にロールする傾向にあり、不安感を感じました。その後、ロールが一定になると急に曲がっていく感じがあります。この後お話する乗り心地の良さとの両立が難しい部分だとは思いますが、ここを改善できると完璧じゃないかなと思いました。
乗り心地
静粛性とともに、走り出してすぐわかったのは乗り心地の良さ。しっとりした上質感が漂っています。これは本当にびっくりしました。
足がしっかりと動いて、路面をちゃんといなしている感じがあります。タイヤが路面にしっかり接地している感覚があります。そして、剛性感の高いボディがしっかりと受け止め、ボディの変形や変な軋みなども感じませんでした。
高速になってくると若干、フロアからブルブルする振動がありましたが、全体としては軽とは思えない上質感のある乗り心地は特筆すべき項目だと感じました。
ここまで来ると、これまでの軽に比べて、ロングドライブでの乗員の疲労が少なく、快適な移動ができるようになるんじゃないかなと思いました。
その他装備
ECON
エンジンスタート時の状態について改善してほしいところがありました。
ECONはエンジンスタート時に必ずonからスタートするのです。
個人的には、offからスタートして、必要あればonからスタートにするか、前回の状態を保持(前回の走行時の設定がoffだったのなら、今回のエンジンスタート時もoff)して欲しかった。
理由としては、ECON onだとoffに比べて走りがかったるくなるからです。燃費面では当然良くなるとは思うのですが。現状の考え方として、燃費優先の設定になっているということですね。
ブレーキホールド
ECON同様、エンジンスタート時の状態について改善してほしいところがありました。
ブレーキホールドはエンジンスタート時に必ずoffからスタートするのです。
個人的には、onからスタートするか、前回の状態を保持(前回の走行時の設定がonだったのなら、今回のエンジンスタート時もon)して欲しかった。
ブレーキホールドは便利な機能で、常時onでも良いのではないかと思う機能なので、そう思いました。
ADAS
ADASもフル装備機能となり、渋滞追従対応の完全停止までカバーするようになっています。一昔前は、トップカテゴリーにしかついていなかった機能が軽に標準装備される時代になったなんて、時代の進化は恐ろしいものです。
しかし、制御としては人間の感覚とまだまだあっていないなと感じました。具体的には、ブレーキが感覚的に遅く唐突であることで、ドライバーが不安感を感じるところです。
CVT制御によるエンジンブレーキと、ESPのアクチュエーターによる油圧ブレーキの協調でうまく改善して欲しいと思います。
軽ハイトワゴン徹底比較動画でも高評価でした
以前の記事で、徹底比較動画の素晴らしさについてお話ししました。
その中で、軽ハイトワゴンのカテゴリーにおいても比較動画がありました。今回のN-BOXの試乗の前にこの動画は見ておらず、試乗後にこの動画をじっくり見させていただきました。
この動画のN-BOXはCUSTOMターボで、自分が試乗したのはノンターボと仕様の違いはありました。
ですが、結果的には、自分の感想とジャーナリストの皆さんの感想が類似していたことから、やはり、このN-BOXというクルマの出来は素晴らしいものがあるということが確かめられました。また、この動画のおかげで他のクルマとの位置付けも理解できたと思います。
最後に 「コンパクトカークラス危うし」
「軽でいいんじゃん」「軽で十分」。一昔前は、こんな言葉がよく聞こえてきていました。
この言葉の裏には、「かったるいし、安っぽいけど、維持費も安いし、軽で我慢しとくか」という気持ちが見え隠れしている気がしました。
それが、ここまで軽が商品魅力を上げてきてしまうと、ユーザーの意識が変わってきて、「軽がいい」という言葉に変わってくる気がしました。
そういった意味で、その上のクラスであるコンパクトカークラスのクルマが危うしだと感じました。
昨年、レンタカーでFIT e:HEVをドライブしました。
素晴らしいクルマでしたし、明らかにN-BOXとの性能差はあるのですが、その差が一般の消費者を納得させるだけのものなのか?とも思います。居住性や使い勝手を考えるとN-BOXに軍配が上がりますよね。
個人的には、FIT e:HEVとN-BOXのどちらかを買うならば、e:HEVの走りやハンドリングの観点で、FIT e:HEVを選ぶと思います。しかし、人によっては、居住性や維持費を優先するとN-BOXとなってきますし、それぞれの価値観の違いで僅差のライバルとも言えますね。
また、今年レンタカーでドライブした、白ナンバーのトヨタ タンクよりは、軽であるN-BOXの方が圧倒的に勝っていると思います。コンパクトカークラスのクルマの中でもうすでに食われているクルマがあるのです。
まあ、それほど、N-BOX始めとする最新の軽は、クルマのレベルを下から突き上げているということが言えますね。今回のドライブで、そう実感しました。