マチェイ監督、元気選手のホーム初戦
先週のアウエイガンバ戦、マチェイ監督の初陣で、2ヶ月半ぶりに勝利。そして戻ってきてのホーム FC東京戦。この流れで2連勝して勢いに乗りたいところ。
マチェイ監督のホーム初陣、元気選手のホーム復帰戦ということで、4万人以上のサポーターが期待を胸に詰めかけました。
ガンバ戦終了後や、FC東京戦前のインタビューで、マチェイ監督は、FC東京戦はもっと攻撃的に行くとコメントしていました。
ガンバ戦前の自分の予想だと、最初の4戦は守備的に戦って、確実に勝ち点を取る戦略でいくと思っていました。降格の不安を拭い去り、チームの雰囲気を良くして上昇機運に乗せるために、確実な戦い方をマチェイ監督ならやるはずだと思ったからです。
なので、インタビューではそう言ったものの、実際は守備的なのではないかと思っていました。しかし、インタビュー通りの攻撃的な入り方をしていきました。
試合全体を通して
急ぎすぎたか?攻撃へのシフト
ガンバ戦では、前線のリンセン選手、凌磨選手がそれほど前からハイプレスをせず、ミドルブロックというよりローブロックで、相手の攻撃を跳ね返していました。そのメリットとしては、4-4-2の守備態勢がしっかりできて、それぞれの選手の距離感もよく、安定感のある守備ができていました。その守備をベースに、大久保選手の持ち上がりから凌磨選手、関根選手でゴールを奪い、しっかり守り切りました。
昨年見た、これぞ!マチェイサッカーと言えるサッカーで勝ったのです。
しかし、この試合は、試合開始早々から明らかに攻撃的でした。
リンセン選手、凌磨選手、状況によっては左サイドの関根選手までもが相手ディフェンダーのビルドアップを阻止しようとハイプレスを仕掛けます。あまりの迫力に、相手GKも外に蹴り出して逃げるほど。
4分 井上選手から縦パスを受けた大久保選手が中に入って中央の凌磨選手を経由し、左の関根氏選手へ渡り、切り返してシュートしますが相手に阻まれます。
5分 左サイドの大畑選手からのクロスをリンセン選手がワンタッチで関根選手に送り、切り返した関根選手がマイナスのパス。それを凌磨選手がシュートしますが外れます。
この辺りはいい流れが続き、立ち上がりから浦和圧倒的に攻勢を続けています。
しかし、俵積田選手のなんてことのないクロスを、井上選手がクリアできず完全なイージーミスしてオウンゴール。周りにプレッシャーのない中、なぜあんなに大振りしたのか?まさに不注意だったとしか言いようがありません。
そして13分の相手コーナキックをヘディングしたボールが石原選手のハンドを誘って、PKを取られて失点。
開始早々、不運でしたが、結果的に相手に易々と2ゴール与えてしまったのです。
結果論にはなってしまいますが、自分の希望としては、前半はガンバ戦のように慎重な入りをして欲しかった。前半0-0でも良かったとも思います。いくらホームだとは言え、監督変わって2戦目だし、重要な4戦なのですから。
もうここからは、攻めるしかありません。
守備面での不安定さを露呈
それからもハイプレスは続きます。
しかし前線はしっかり追って入るものの、ディフェンスラインの押し上げが十分ではなく、中盤がぽっかり空いていることが多い気がしました。
FC東京は、その中盤に降りてくるディエゴオリベイラ選手が圧倒的なポストプレーを披露し、ボールをサイドに展開して俵積田選手や仲川選手のスピードで前進するパターン。
特に俵積田選手の中にも縦にもいくドリブルは本当に厄介で、石原選手が後手後手になって、井上選手が釣り出されるシーンが結構ありました。
実力で失点はしなかったものの、ガンバ戦に比べて、やはり安定感に欠けるものがありました。
正直、FC東京の選手のクロスの精度が悪かったことにも助けられました。
攻撃は可能性は感じるが、まだ時間が必要
浦和2点ビハインドとなった状況で、FC東京は中央を固めて守備的な戦いをしてきました。
そんな中、浦和は正直攻めあぐんでいました。
中央を固められていたこともあって、サイドからのクロスを蹴り込みますが、そのスピードと精度が不足していました。また、中にいる選手も、入るタイミングに迷いを感じ、ドンピシャで合わせることができていませんでした。
外側で回して、シュートコースを探すも、なかなか穴は見つからず、ミドルシュートも枠外か相手に直撃する。
49分、60分と大久保選手がいい形でドリブルで持ち込みシュートするものの、必ず相手にブロックされてしまう。この試合を象徴しているようなシーンだったともいます。
また攻撃のキーマンである凌磨選手を、FC東京の選手たちがやらせるものかとしっかり守マークしていたことも、ゴールにつながらない要因だったとも思いました。
しかし、交代で入った長沼選手や佳穂選手、元気選手のプレーは可能性を感じました。89分に、下がってもらった元気選手が前線へロングフィード。そのボールを、裏に走り込んだ長沼選手がトラップ、相手選手に阻まれますが、こぼれ球を後ろから走り込んだ佳穂選手がシュート。
ボールを持った時に裏へアクションする選手がサンタナ選手や長沼選手くらいでまだまだ少ないですし、そこを感じてボールを供給できる選手も少ない。
そういう意味で攻撃はまだまだと言った印象を感じました。チームとしての一体感もまだまだこれからだと。いくら優秀なマチェイ監督だったとしてもそうは簡単にうまくいきませんね。
こういう試合展開であれば、密集地帯を切り裂くことができる翔哉選手がいたら明らかに流れが変わっていたんだろうなあとも思いました。優秀な選手はまだまだいますし、可能性はまだまだたくさんあります!
メンタル面での成長を求む
2点ビハインドになっても諦めることなく攻め続けていた浦和。
しかし、単調な攻撃に終始して、相手の意表をつくようなプレーができませんでした。飛び込んだり、走り込んだり、チャレンジしたりするような何がなんでも勝とうという気持ちが伝わってこなかったのです。元気選手、長沼選手、佳穂選手以外は。
その意味で、自分たちのミスで失点し、攻め続けてはいるんだけど虚しい時間が過ぎていく、自滅に近い試合だったと思いました。
マチェイ監督や元気選手を中心に、勝つことに対するこだわり、勝者のメンタリティをどんどんチーム内に浸透させていって欲しいと切に願います。
印象的だった選手たち
攻撃センスの高さを感じた 長沼選手
長沼選手のプレーは、実力を垣間見たというか、攻撃センスを感じました。
63分、左に流れた長沼選手が後ろの凌磨選手にパスした後に動き直ししてポケットに侵入してボールを受けようとしたシーン。
71分に右ウイングの位置から、相手の裏、ポケットを狙って、斜め中央に走り込んで、安居選手の縦パスを呼び込んだシーン。
これらのプレーは、今の浦和の選手では、翔哉選手、凌磨選手くらいしかできていないプレーだと思いました。
何度となく対戦相手として戦って、浦和キラーとも言うべきゴールを決めてきた男。優秀でないはずはありません。そんな片鱗を見せてくれました。
これから、どんどん周りとの擦り合わせができれば、すごいプレーを見せてくれると思います。期待しています。
頼もしい選手が帰ってきた! 元気選手
この試合、マチェイ監督・ラファコーチ・マココーチとともに、ホームでお帰りの元気選手におめでとうの初勝利を挙げれなかったのが残念で仕方がありません。
しかし、元気選手の存在感と、ヨーロッパでの10年間に積み上げてきたものを垣間見た気がしました。
前半2点ビハインドになった時間帯からだったと思います。ベンチから飛び出して、あたかも監督のように声を張り上げている元気選手の姿がきたゴール裏から見えました。それを見て、頼もしさと存在感を感じました。
後半60分に出場して、最初のトップ下はうまくいきませんでしたが、ボランチにポジションチェンジしてからのプレーで感じたのは、チーム全体を見通せる視野の広さ、スルーパスやロングフィードなどの展開力、ゲームを動かす力でした。加えて、機を見て、前線に飛び出していくスピードとタイミングはさすがだと思いました。
また、81分に見せてくれた魂のスライディング、ボール奪取には、魂を揺さぶられました。このようなプレーを、今の浦和の選手全員ができるように魂注入してほしいと思います。
10年前は、左サイドからの突貫小僧でしたが、成熟した元気選手になって戻ってきたことを我が子が帰ってきたように嬉しく思いました。
元気選手には、技術面はもちろんのこと、チーム全体を見て、チームの一体感や勝者のメンタリティを向上させてくれることを期待しています。
モデルチェンジ! 佳穂選手
そんな元気選手の魂を最も注入されているのが佳穂選手ではないかと感じました。
80分に関根選手に変わって出場した佳穂選手。89分、93分、94分とシュートを放ち、何がなんでも点を取ろうという気迫を感じました。
87分の井上選手からの無理なパスに感情を露わにしたところも、どんどん言っていいと思いました。変に感情を押し込めず、スポーツマンらしくどんどん言って後腐れなくサラッと忘れる。
FC東京ユース所属だった佳穂選手だから尚更勝ちたかったところもあるのですが、メンタル面での成長を感じました。
次の試合は、アウエイ 神戸戦
次は、9月28日(土)アウエイ 神戸戦です。
ホームでの神戸戦は、レフェリーの判定に泣かされてドロー。昨年の悔しさを晴らすことができていません。このアウエイ戦で、その借りをしっかり返すメンタリティを見せて欲しいと思います。
※なお、本記事の写真は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。