ホーム5連戦最後の試合
前節、苦戦が予想された東京ヴェルディ相手に完勝と言っていよい試合を展開した浦和。
その勢いで、ゴールデンウィーク最終日、ホーム5連戦の最終戦を5連勝で終わりたいとサポーター皆がそう思っていました。
久々の雨の試合、そう甘くはないという試合になりました。

試合を通して
あれ?ガンバの戦術は、浦和をコピーしたのか?
ガンバと言えば、スペイン出身のポヤトス監督らしいパスを繋いでゴールを陥れるサッカーの印象がありました。昨年までは。
ところが開始早々から思ったのは、浦和のコピーしたんじゃないの?と思うような戦い方をガンバがしてきた印象でした。まさにミラーゲームという言葉がぴったりな印象でした。
特に非保持の時のミドルブロック時々ハイプレスといった守備はそっくりでした。しかも時折見せるハイプレスにビルドアップを苦労するシーンがありました。特に宇佐美選手。個人的な彼の印象とは裏腹に、スピードあるハイプレスをかけてきて、立ち上がりにボザ選手がパスミスをしてしまうといったこともありました。
こういう試合展開だと尚更、西川選手のキックが必要でした。しかし試合開始早々の故障で交代を余儀なくされます。代わって入った牲川選手は、守備面では遜色ないプレーを見せファインセーブを連発してくれましたが、キックという点では西川選手に及ばない印象でした。
とは言え、ビルドアップがそんなに悪かったわけではないと思います。15分過ぎから徐々に押し込み始め、これまでのようにサイドや中盤で繋いでゴール前までには行きますが、ガンバの守備に阻まれ、なかなか枠内にシュートが飛びませんでした。
であればと、31分、サビオ選手からのフリーキックをファーで構えていたボザ選手がヘディングするも、枠に飛ばず。
しかし、30分過ぎから自陣のミスでピンチに陥ります。34分に、マリウス選手がハイボールの処理を誤って、山下選手のパスから食野選手にシュートを放たれます。この時は、やられた!と思いましたが、石原選手のスーパースライディングでなんとかクリア。
その直後の39分にも、安居選手のパスミスで、山下選手にクロスを蹴られ、松本選手がカバーするも、こぼれを満田選手がシュートしますが、牲川選手のスーパーセーブでことなきを得ます。
そこからはまた、ビルドアップでペースを取り戻し、前半を0-0で折り返します。
危ない時には、必ず山下選手が絡んでいる
浦和にとってこの日は、ガンバの右ウイングの山下選手が非常に厄介でした。特徴であるスピードはともかく、ポジショニングがよく、浦和の守備陣のミスを誘うようなプレーを連発していたと思います。
後半開始早々の46分に、ロングフィードに反応した山下選手に裏を取られてやられそうになります。この時も牲川選手のスーパーセーブに救われます。
しかし、直後の52分、左サイドの食野選手のクロスをファー側にいた山下選手が見事なヘディングで先制点を取られます。明らかに彼のポジショニングの良さが光りました。このような失点は、サイドバックの守備に慣れていなかった、明本選手や大畑選手にもみられました。長沼選手の守備の課題とも言える失点だったと思います。
終盤、翔哉選手投入からシフトアップ
なんとしても、追いつき逆転したい浦和は交代選手を投入し、攻撃をシフトアップしていきます。
特に、67分に投入された翔哉選手が存在感を見せ続けました。
・ポケットへ侵入してスルーパスをもらう
・スルーパスやクロスボールを繰り出す
・サビオ選手や凌磨選手とのパス交換でリズムを作る
・しっかりと前線での守備
この試合は、怪我からの復帰2戦目。彼にはこらからも怪我には気をつけて、コンディションを上げてもらって、攻撃の重要なピースになっていって欲しいと思います。
いろんな課題が浮き彫りになったことは良いこと
苦しみながらも浦和らしさは出せていたと思います。決して悪い内容だとは思いませんでした。
しかし、これまでの試合に比べて、いろんな課題が浮き彫りになりました。
・相手がロングボールを狙ってきた時の守備
・先制点を取られた後、ビハインドになった時の戦い方
・守りを固めた相手に対し、どうゴールをこじ開けるか?
・西川選手不在時のビルドアップをどうするか?
・雨の試合の戦い方
浦和が対戦相手や環境においてロバスト性の強いチームに成長していくためには、試合ででた課題を真摯に受け止め、自分のものにしていくしかありません。その先には、”優勝”という2文字が待っていると思います。そうなるようにこの敗戦を生かして欲しいと思います。
ジンクスを破って欲しかった
この試合、個人的に思っていたジンクスを打ち破れませんでした。雨の試合に弱い、いい印象がないということを。
昨年のホームの試合はいつも雨。しかも雨の試合では勝ったイメージがなく、何度となく中止になったりといい思い出がありません。この試合、そのジンクスを払拭する試合にしてほしいと切に願っていました。しかし、そのジンクスを払拭することができませんでした。
また、水沼さん解説で勝てるというジンクスを持ってしても勝てませんでした。
近いうちに、このジンクスを吹っ飛ばすようなチームになってくれることを祈っています。
印象的だった選手
実力を証明した 牲川選手
試合開始早々8分、西川選手のアクシデントで急遽出場した牲川選手。
彼の出場した試合や、公開練習での彼の練習風景を見るに、西川選手に匹敵する実力を持っていることは明らかでした。そしてこの試合でも、急遽出場した試合ながらも、落ち着いたプレーで何度となくピンチを救ってくれました。本当に感謝です。

この試合で浮き彫りになった課題としては、失点シーンでの左右に振られた後の反応。長沼選手と同様、相手の山下選手の存在に気づくのが遅れた感じがしました。その辺りの経験を積んで視野の広さを持って欲しいと思いました。
存在感十分だった 翔哉選手
”試合を通して”の項でも話しましたので多くを語りませんが、彼のプレーは本当に大好きです。今の浦和の中にあって異端であり孤高であると思います。しかしそれが、明確な存在感となっていると思います。
これからコンディションを上げて、翔哉選手らしいプレーが何度となく見ることができるようになって欲しいと思います。そして、グスタ選手やサビオ選手といった天才的プレーヤーとの相乗効果を見ることができれば、さらに浦和が強くなっていくキーになると確信しています。
期待しています。
インターセプトの鬼 安居選手
ビルドアップの出口や、スルーパス、サイドチェンジなどいつもの安居選手のパフォーマンスに加えて、この試合は相手ボールをインターセプト、パスカットが光りました。
何度相手のパスをカットしたでしょうか?数えてみます。
10分、17分、30分、43分、46分、65分、90分、92分
8回でした。
前線からの守備のフィルターが効いていることもありますが、安居選手の予測とそれによるポジショニングの良さを表していると思います。

明らかに進化している安居選手。チームに欠かせない存在となってきていると感じます。
次の試合は、アウエイ 新潟戦
次は、5月11日(日) アウエイ 新潟戦です。
連勝が止まってしまった次の試合では連敗しないことが非常に大事です。
浦和サポーター界隈では、大昔のエピソードがあります。連勝した後の当時のエースだった福田選手の”負けないよ”発言です。それ以降連敗してしまった辛い思い出が蘇ります。
彼の弁明をすると、単に”負けないよ”と言いたいわけではなくて、”簡単には負けないよ”と言いたかったそうです。それなら全く違う意味になりますが、言葉が醸し出す心理状態は恐ろしいものがあります。
このことは、マチェイ監督がここ数試合言っている、”Stay humble”つまり”謙虚であれ”という姿勢を常に持ち続けることが重要だということを示唆しています。
正直、新潟は相性のいい相手。しかし、そこにも落とし穴があります。
”Stay humble”の気持ちを忘れず、しっかりと勝利を収めて欲しいと思います。
※なお、本記事の写真は、自分が撮影した写真以外は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。