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【「発想の技術」を読んで】考え方に悩んでいる方にココカゼ!!

この本を読むきっかけ

エンジニア、技術屋というのは、本来お客様の生活を変えていく革新的な商品を提供し続けるために働くもの。それこそが彼らの本質的存在意義だと思います。

ただ悲しいかな、実際は近視眼的になって、競合他社との性能差争いやコスト削減をひたすらやり続け、自分達の仕事がお客様にどういう価値をもたらすのか?を考える余裕のないことが現実的です。

自分もその本質ばかりを追求してきたかというと、新しい価値を提供しようと頑張りましたが、会社内のそういった流れに押し流され、思ったようにできない時期がかなりありました。

退職した今、しがらみなく勝手に発想できる立場になったので、発想の本質、考え方を学び、世の中の役に立つアイデアを発想できないか?と考えているところです。

そんな自分にふさわしい本を見つけましたので読んでみました。

題名:発想の技術 アイデアを生むにはルールがある
著者:樋口景一 (電通 コミュニケーションデザイン・ディレクター)
発行:株式会社 電通

題名にあるテクニック的な内容だけなのではなく、発想の本質を大事にした内容になっていました。また、読み続けるたびに出てくる、スルッと入ってくる納得できる表現。さすが、電通で仕事されている方は、表現力、説得力はすごいものがありますね。見習いたいです。

自分の今まで生きてきた中で、もやもやしていた部分が整理され、今後生きていく上で役に立つ一冊だったなと思いました。

各方面、各分野で応用できる本質的な内容になっていますのでおすすめの1冊だと思いました。

※密かに、浦和レッズの岩尾選手にもぜひ読んでもらいたい本だと思っています。

「はじめに」の項にあった言葉たち

人の役に立つ、まさにココカゼを起こすための心得のような言葉たちが並んでいました。

制度やシステムは必ず劣化することに世界中が気づいた。
世界中で仕事観・行動感が変化し、その目的は生み出すこと、となった。
僕らはアイデアで越えていこう。
この本では、アイデアをこう定義します。
「問題を解決し、継続的に世の中を動かすための動力」
ひとりよがりのアイデアは、アイデアと呼ばない。思いついたものを誰かに投げかければ何かが起こるというのは間違いだ。
制度を変えれば人は変わるのか?仕組みを作れば人は動くのか?
力学を産まなければ、舞台は空のままだ。

それから、実際に発想するところから、それを使ってもらう人々に伝えるところまでの一連の流れをわかりやすくまとめていました。

①そもそもの課題とは、いったいなにか?(把握の技術)
②本当の敵は何か?本当の味方は何か?(発見の技術)
③どういう価値軸を持ち込むか?(転換の技術)
④世の中にどう伝わる形を作るのか?(具体の技術)

この流れで文章を引用させてもらいながら、自分の感想をまとめていきたいと思います。

①把握の技術

(アイデア)そのすべては、まず「テーマとなっていることとはなんなのか」「課題とはなんなのか?というところから始まります。(P40)

課題に対する掘り下げ方の深さが、アイデアのスケールの大きさにつながる。(P47)

これは、本当にそう思いますね。

自分がいた自動車業界は、ある意味既存の概念が多く存在していて、新しいコンセプトを生み出しにくい業界であることは確かです。そして自動車技術開発の目的というのは、「運転が楽しい」とか「燃費ナンバーワン」とか、技術者にとって身近な目的を立てがちです。

しかし実際にその車が使われているシーンや世界観を提供し、そのストーリーを語れるくらいのところまで掘り下げて深く考えるべきなのです。それに近いことはやっていたとは思いますが、どれも表層的で、身近で革新的な世界観を表現した企画は見たことがありませんでした。

また日本の企業は、競合他社との比較から目的設定をすることが多いと思います。このやり方は、まさに自分の頭で課題を深く考えていないですね。勝つか負けるか?競合他社が相手なのか?これこそ、見る方向を間違っています。

例えば、業界は違いますが、アップルの商品群は、きっと課題の本質を見極める時間を十分取っているんだなと推測します。そんなことを日本企業も企画の段階でしっかりやっていくことが今後の日本の成長につながるはずだと思っています。

退職した自分は、自動車業界から離れましたので、より広範囲な業界を勉強できる立場にいます。そんな中、人々や社会の役に立つために、常に考えて課題とその本質を抽出して行きたいと思っています。また、浦和レッズのためのアイデア、例えば観客動員のための施策とかについても、今後勝手に考えていきたいと思います。

②発見の技術

ファッションデザイナーの卵たちは自らのデザイン画を先生に見てもらう際、「あなたはこの世界のなにを発見し、なににインスパイアされて、このデザインを産むことになったのか」としつこく聞かれるそうです。(中略)一見アーチスト然としていて、理由や企画の種について問われることなく自らの内的衝動でものを作っていきそうな業界ですら、実は、「世界の観察と洞察」を大事にしている、ということです。(P68)

観察と洞察、大事ですよね。今自分が思うのは、それをできる人間的な余裕と言いますか、余地を残すことがすごく大事ではないか?と思います。コップの水がいっぱいに入っていれば、それ以上水は入りません。観察、洞察しようとしても、見てるけど、見えてないことに繋がるのです。そういう意味でのあえて余裕のある働き方はすごく大事だなと思います。

ひとつ目のポイントは、「物事の裏には必ず人間の感情や意識や行動が潜んでいる」ということです。だから表面的な「条件」だけを見ていても、他のケースに応用できる「普遍」にはたどり着けず、「会話」や「表情」といった細部まで語感をフルに働かせて観察と洞察をしなければなりません。(P79)

もうひとつのポイントは、「消えたと思われた欲求や行動は別のものに潜んでいる」ということです。代替されている、と行ってもいいかもしれません。(P80)

数値化することによるスペック競争は日本人の仕事の仕方の典型だと思います。昭和から平成にかけての仕事の仕方ですね。自分もそういった環境の中で働いてきました。しかし、令和以降はそういう考え方ではたちいかない。人の感じ方や無意識にする行動を研究して大事にしていく取り組みをもっとやっていくべきだと思います。今の時代、それをSNSやYOUTUBEなどですぐにフィードバックがもらえる時代。スペックではなく、人がどう感じたかを主眼に置く物作りは今後のキーになると思います。それを会社を引っ張るリーダーが柔軟に理解して正しい方向に導けるか?にかかっています。

違和感とは、通常にない「いびつな力」のことです。それがあったときに、素通りせずにそこに目を留め、それがなんなのかを解き明かしていくことで、アイデアの強い芽が生まれるのです。(P82)

一度体内を通さなくては、違和感になるかどうかわからないのです。ですから、できる限り自分で体験する、ということをおすすめしたいと思います。(P 84)

気づきと体験の重要性を教えてくれています。自分もそんな柔軟性を持ち続けていたいと思いますし、そのためには新たな体験を色々していきたいと思っています。

どんどん視点を上げ、そこで見えてくるものとの関係性を考える。逆にどんどん視点を近づけていって、そこで見えてくるものとの関係性を考える。(中略)時間軸で見たときに、どういう存在になっているのだろうと考える。そうやっていろんな見方をするなかに、今までになかった視点というものが見えてくるのだと思います。(P94)

ドローンで見る映像のような表現ですね。これ本当に大事だと思います。最初にお話しした、エンジニアや研究者がおちいりやすい罠があるのです。近視眼的になりやすいこと。小さいやりたいことではなく、大きなやるべきことに視点を広げることができる人が、人の役に立てる人間になると思います。

日本の新商品が、毎回、既存の端末や機器の競争の例のような一つの世界にとどまりがちなこと、ひいては「毎回行われる業界内の小さな差異の競争」から脱しきれないでいることは、(SWOT分析のような)こういうフレームワークの弊害によるのではないかとすら思います。(P102)

これは、耳が痛いお言葉。まさに日本では、そういう競争が繰り広げられてきた。それによって、海外との格差の広がりを呼んだ要因になったに違いありません。

「ここにないなにか」を探すのではなく、すでにあるものに光を当てる。(P110)答えは、そこに生きる人の中にある。(P111)むしろデメリットこそ、人を惹きつける元になる。(P112)

これは、自分にとっては新しい視点となりました。従来にない全く新しいものを作り出すことではなく、そこに生きる人にしっかり着目して、ブサ可愛いのようなデメリットをメリットにするような視点を持つことの大事さを教えてくれます。

自分の住んでいる埼玉はいじられてなんぼの生き方をしています。それはそれで、周りの人に愛されていてすごくいい生き方なんじゃないかなと思うんです。

自分の大好きな吉本新喜劇だってそう。ブッサイクやなーって言われながらも、観客の注目を引く浅香あき恵師匠のようです。

③転換の技術

論点を転換する技術。

たとえば、ビール市場全体が「コク」「味わい」など飲む人の主観ベースの価値に頼りすぎて、消費者にとってわかりにくいものになっていたとき、「鮮度で選ぶ」という別な選択基準が作られたことは、その最たる例だと思います。(P122)

軸が不明瞭な状況とは、先の2つの例で見たように、競争が激しくなってどんどん専門的なところでの訴求合戦になっていく、ということが生み出した結果です。ですから、そこで必要なのは、まず「ふつうの人の目線」になることです。競争相手のことばかり考えてしまうあまり、一般の人々をないがしろにしてしまっていることに対し、真摯に向き合うということです。(P123)

これは、まさに視点の変更、発想の転換です。こういった柔軟な発想は、生きる上でも常々持っておくべき思考方法ではないかと思います。

続いて、戦いのレイヤーを変える技術。

一段上にいくことで過当競争を避けることばかりか、新しいビジネスすら生まれるということになります。(中略)タテの軸ともヨコの軸とも異なるものを設定するのです。(P154)

戦いのレイヤーを変える二つ目の方法として、別の種類、別のカテゴリーに見せる、ということがあります。(中略)業界で見てはっきり見える差も、一般には見えないような小さな差でしかないということは往々にしてあります。(中略)ですから、一般の生活者が認識できる差となると、別の種類や別のカテゴリーにするくらいのことをしなければなりません。(P156)

これは、違う市場へ進出して、別カテゴリーで戦うようにする戦術。これも生き方に通ずるものがあると思います。

人間には、ある分野では限界が見える時があると思います。ただ、だからと言ってその人の人生が終わるわけではない。それまでに経験した数多くの経験をひっさげて、違うフィールドで頑張っていけばいい。そこにはまた違った生き方があると思います。

成り立ちを考える。これは、戦いに時間軸がある場合の方法論です。(中略)携帯電話は、それ単体で完結した商品ではなく、もともとあったものからだんだんと進化していくものである、という流れが生まれました。(中略)人々は進化のいちプロセスを買う、という成り立ちに変わったといってもいいでしょう。(P161)

これは時間軸を味方に、将来性、未来の進化をイメージさせて商品イメージを落とし込む戦略。これはストーリー性がものを言いますし、将来像が明確に語れないと難しいやり方だと思いますが、本来そうあるべきなのかなとも思います。

④具体の技術

商品開発の流れは以下のような流れになります。

市場のどのあたりを狙うかを考える
→コンセプトをつくる。
→機能をつくる。
→デザインを行う。
→ネーミングを行う。
→売り方を設計する
→広告コミュニケーションをつくる。(P174)

その中で一番大事なのはコンセプト。

コンセプトとは、「その商品が存在しなくてはならない理由」のこと。(中略)「どうしてもその商品が存在しなくてはならない理由」を考えます。(P175)

コンセプトは、安易な言葉遣いをすることなく、できるだけ明瞭でかつ選び抜かれた言葉で作られることが前提となるのです。(中略)それは、関わる人すべてを惹きつける引力を持つものになっているか。(P179)

アイデアを生み出す目的は、世の中にある問題を解決すること。だとすると、問題の数だけコンセプトはあります。(中略)きっとそこには深刻な問題があり、それをなんとか好転させるためのものであるはず。それは、この世の中を救うチャレンジである、と言えると思います。だとすると、コンセプトとしてそうきちんと明言してみましょう。(P187)

この曖昧を排除して本質を突く表現をコンセプトに入れ込むこと。すごく難しいし、本当に考えて考え抜かない限り、そこに到達することは難しいです。でも、以降の流れが楽になることは間違い無いですね。

まずは幸せのかたちを描くこと。それに尽きると思います。これからの時代を生きる人々が、今のいろいろな問題の先にどんな幸せな暮らしを送るのかを想像していくこと。その像がくっきりすればするほど必要な商品やサービスの輪郭が明らかになっていき、世の中に存在するべきものになっていく、ということだと思います。(P197)

先ほどの時間軸のお話の中で出てきた、将来像、いうならばビジョンの大切さを語っています。大事です。

人は正しいロジックよりも、わくわくするストーリーに共有する生きものだと述べました。だとすると、必要なアイデアとは、目の前にある事実を、ストーリー、つまり心の真実に置き換えていく行為なのです。(P205)

これは、ストーリー性の大事さを物語っています。同じことを言っていても、ストーリー仕立てで言われると、心にスルッと入ってきて来ますし、わくわく感じることが多い気がします。

あなたは今部屋のなかにいて、風が吹きこむので窓を閉めてほしいと思っています。窓のそばにいる人に、どういう語り方をするでしょうか?(中略)
A 「窓を閉めてください」(依頼する)
B 「寒いと思ったら、窓が開いているね」(行動を促す、行動喚起)
C 「寒いよ」 (命令する)
(中略)日常生活において私たちはこのように、相手を見ながら、恐らく無意識に、明確に使い分けています。「伝わる」ための方法論とは、いわばこれを無意識にやるということです。(P206)

うちの妻の自分に対する接し方は、大概、Bの行動喚起の手法を用いてコントロールされていることに気がつきました。うまく操られているんですね。たまにCの場合もありますが。

「私はこうです。私はこうです」という人の話というものは、聞きたくもないですね。押しつけるようなもの言いですから。そうではなく「あなたの人生はこうなっていく」と語ることで、相手の同意を喚起するようなものに変えてみる。(中略)結果的にその人の行動を促すことに近づいていきます。(P212)

やはり、相手のことを考えて、染み入るような言葉を伝えられるかどうかで、人を動かすことができるんですね。トヨタの社長、豊田章男さんがまさにそうです。彼のスピーチは、本当に染み入り、何かやってやろうとさせる人を動かすパワーを感じます。

まとめ

最初に言いましたが、もうこれは色んな方面に生きるノウハウだと感じました。

これから、この考え方を自分の行動や生き方に昇華させていくか?自分次第だと思います。

みなさんも一読されて頭の中に革命が起きるのを感じてみてはいかがですか?

それでは!!

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