鹿島戦以降、苦しい戦いが続く
鹿島戦、お互い守備陣が固く、お互いの攻撃陣がそれを崩せず、スコアレスドロー。
その試合から始まり、ずっと苦戦の連続です。ルヴァンカップ川崎戦で見事な勝利を収めたサブ組が天皇杯 関西大学戦では別のチームか?と思うほど大苦戦。続くリーグ横浜FC戦、ルヴァンカップ清水戦もドローと勝ち切れない試合が続きました。
昨年4月のACLが終わった後の5月は、同じような状況で引き分け続きで勝ちきれない時期がありました。それでも夏場に向けて調子を上げて、8月のACLノックアウトステージでは、見事決勝進出を勝ち取ったのです。
この先何が起きるか?わかりませんし、未来は作り上げていくもの。フロント、監督、スタッフ、選手達を信じてサポートし続けるしかありませんね。
試合内容としては勝って欲しかった試合だった
マッチデープログラムの冒頭で、マチェイ監督がコメントしています。
「改善すべきポイントの一つは、立ち上がりの強度が不十分な試合が多いということです。試合開始から集中して、やろうとしていることをしっかり出していかなければなりません。また、得点が少ないことに関しては、チャンスの数をもっと増やすために、選手間の連携をスムーズにしようと取り組んでいます。」
今回、前の試合から久々に約1週間あいたので、トレーニングの時間が確保できたことで、それらの課題に対する改善が多く見られた試合でした。
だからこそ、勝って欲しかったと思ったのが率直な感想でした。
前半20分まで浦和上々の立ち上がり
マチェイ監督があげた課題の一つ目の立ち上がりの強度ですが、この試合は立ち上がりから明らかに改善されていました。
前線からのプレスがうまくはまって、ボールを奪い取り、セカンドボールも拾えて、攻撃に転じることができる。だからこそ、うまくいっていた前半20分までで、得点をとりたかったですね。
前半20分過ぎは川崎らしさが出てくる
それ以降は徐々に川崎ペースになっていきます。
家長選手は流石の存在感ですね。彼が持ち出したら、何か川崎の選手全員に遅攻のサインが出たかの如く、川崎らしいパスサッカーが繰り広げられ始めます。
家長選手が素晴らしいのは当然のことながら、自分が感心するのは、家長選手がフリーマンのように左や右や真ん中と自由にポジションを変えているのに合わせて、周りの選手がしっかり穴を埋めるようにポジションニングしているということ。素晴らしいと思いますし、昨年まで在籍していた江坂選手も、こんなプレーをしたかったんだろうなと想像してしまいました。
前半20分のゴールエリア付近での、家長選手→大島選手→脇坂選手と渡った2本の縦パスは痺れました。こんなプレーを浦和の選手達にも見てみたいと思わざるを得ませんでした。
前半44分あたりのシーンで、浦和はボールを保持し後ろで回すことが続きましたが、どこでスピードアップするのか一向に見えない。パスの強弱がないので、スイッチが入ったかどうかわからず、単調な攻めが続く時間が続いていた気がします。
後半の立ち上がりから攻勢だったが・・・
後半の立ち上がりから、先発だった高橋選手に変えて関根選手を投入し、明らかに前線のプレスの強度を上げてきます。
これがまさに的中。前線から躍動する関根選手がスーパーロングシュートを決め先制。この時点で正直勝ったなと自分は思ったのですが、直後に信じられない西川選手のプレーを見てしまうのです。
この2点は正直、キーパーのミスとも取れるプレーではありました。でも、この二人メンタル凄いな!と思いました。上福元選手は、失点以降も前目のポジションを変わらず続けていましたし、西川選手も試合後のコメントでメンタルの強さを表す表現をしていました。もう終わったことですし、クヨクヨ考えず、今の試合に集中できるメンタルは大事ですね。
その後、小塚選手のラフプレーによる退場で、川崎が10人になってしまいましたが、攻め切ることができずにドロー。勝ちきれない状況が続きます。
この試合でストレス感じたのは、ミドルシュートが打てる場面で、横パスばかり選択していた選手が多かったこと。こういう拮抗した状況では、積極性が大事だと思いました。
上位にいる名古屋が敗戦したこともあって是非とも勝っておきたい試合でしたし、流れとしては勝ちパターンだっただけに非常に残念な結果でした。
印象的だった選手たち
マチェイ監督が挙げていた課題の攻撃に関しては、少しづつ改善してきていると思います。そんな攻撃の選手達が印象に残っています。
躍動する関根選手
”躍動”という言葉がピッタリな関根選手。後半からのピッチに入ると、圧倒的な運動量で相手のビルドアップにプレスをかけ自由にやらせません。
そして後半開始早々の53分、上福元選手が前に出てきてヘディングでクリアしてしたボールを、トラップしてスーパーロングシュート!!スタンドで見ている自分としては、その対空時間がすごい長く感じました。素晴らしいゴールでした。ゴール後に嬉しそうに駆け寄ってきた岩尾選手を見ても素晴らしいシーンでしたね。
そのほかにも得点チャンスシーンも数多くありました。47分の大久保選手からのセンタリングをヘディングシュートしたシーンや、84分のシュートや、94分にペナルティエリア内で大南選手に倒されたシーンなど。
何度も思うのですが、関根選手はトップ下が最適なんじゃないか?今のマチェイ監督の要求をするトップ下像を全て兼ね備えているんじゃないか?と思うんです。興梠選手との組み合わせも明らかにいいですしね。
これからもコンディションの良い状態を維持してくれて、改善の必要だと言われている攻撃陣を引っ張っていって欲しいと思います。
進化の見える大久保選手
ドリブルはすごいんだけど、シュートが枠に行かない!っていうこれまでの印象の大久保選手。
そんな大久保選手ですが、この試合は明らかな変化が。シュートやセンタリングの精度が明らかに上がっている。もう少しで皮が剥けそうです。
加えて、持ち前のドリブルも相手にとって明らかに脅威の存在になっています。後半立ち上がり46分の登里選手、大島選手、二人を突破したシーン、素晴らしかったです。
数年前、大久保選手が中央大学生で浦和に練習に来ている頃の大原の練習試合で、汰木選手よりもシュートがうまくて得点を取っていた覚えがあります。今に比べたら、もっとゴール近くまで近づいてからのゴールでしたけど。そんな汰木選手も成長して今や神戸でどんどん得点を取っていますし、大久保選手にもそんな成長曲線を描いて欲しいものです。
厄介な家永選手に対峙した荻原選手
酒井選手のイエローカード累積もあって、スタメンで出場した荻原選手。
今回は厄介な家長選手と同じサイドで対峙するということで、守備に奔走させられることをイメージしていましたが、そつなく守備をこなしつつも、前半早々から積極的に前線に駆け上がり、センタリングでチャンスを演出していました。
前半21分、ゴールライン深くまで進出してセンタリングを上げようとしたシーンで、中央にカンテ選手ともう一人いましたが、入ってくるタイミングが遅くてゴールに繋がらなかったシーン。
そのあたりの前線とのコンビネーションだったり、京都時代に見せていた中央に進出してのシュートなどを見せてくれるようになったら、頼もしい存在になるに違いありません。
苦悩するリーダー
堅い意志を持つ岩尾選手
川崎戦の試合前にリリースされた、6月23日付の浦和レッズのLINEニュース(浦和LINEニュース 岩尾選手の記事)から引用させていただきます。
「人間なので、どこかで匙を投げたくなる瞬間ってあるじゃないですか。プロなら勝てよ、というのは正論ですけど、1年間通して、それをやり続けることは決して楽じゃない。むしろ、きついですよね」
「だから、どこかで自分の人生のために生きようとか。弱い自分が顔を覗かせて、ここじゃなくてもいいやとか、別の道があるだろうと思って、そのプレッシャーに負けてしまう人が出てきてしまうと、きっと勝利も、その先にあるタイトルも獲れない、と僕は思っているんです」
「人間だから、どこかでその緊張の糸をみんな切りたい。でも、切ったらそこで終わってしまうと思って葛藤しながら戦っている。チームが勝っているときや、調子が良い時期は、当然、その糸を切りたいとは思わないけど、うまくいかなくなると、やっぱり、その糸を切りたくなってしまうのが人間でもあるんですよね」
「本当に毎日がきついですけど、これが永遠に続くわけでもない。ましてや、キャリアのほとんどをJ2で過ごしてきた自分が、この1年でこんなにも素晴らしく、厳しい環境でプレーできているのは、本当に誰もが経験できることではないし、この経験は自分の財産になるとも思っています。だからこそ、自分は絶対にその糸を切らないという堅い意志を持ってやっています。何なら誰かがその糸を切ったとしても、自分が結びにいくかもしれない」
これを読んで、こみあげてくるものがありました。
苦労人であり、常に周りのために深く考えて行動する岩尾選手だからこそのコメント。
そして、今のチーム状況についても苦しみながらもやり遂げようとする姿勢。メンタルというか魂というか、このブレない気持ちを維持するのは本当に大変だと思います。本当、人間ですから。でも、それを貫こうとするこの潔ささえも感じる岩尾選手を心の底から応援したいと思った記事でした。
今、チームは苦悩していると思います。それでも岩尾選手の姿勢を少しでも多くの選手が見習って、強いメンタルが持てるようになったら、真に優勝できる集団になると思います。
また、自分はそんな岩尾選手の1ファンとして、19番の背番号を背負ってスタンドで一生懸命サポートし続けたいと思います。
苦悩が伺えるマチェイ監督
監督もまた苦悩しているに違いありません。
結果を出すリーダーが結果から逆算して考えるところから行くと、おそらく、マチェイ監督が想定していたプランからは、大きく遅れをとる状況になっていると思います。
最近のインタビュー等で、
「今季の浦和は厳しい状況に陥っていることを理解して欲しい」
「浦和ほどのビッグクラブなら6ヶ月に一度は血の入れ替えが必要」
というようなコメントをされているところからも、思い通りに行っていない、攻撃陣の不調や、テコ入れの必要性を示唆しているともいえます。
そうは言っても、試合ごとにいろんなことを試して、改善しようと努力されているのは試合を見ればわかります。
梅雨が明けると、暑くなってコンディション的にも難しくなってくると思いますので、監督のいろんなトライが身を結んで、7月中旬のセレッソ戦までの5試合で流れに乗れるかどうか?優勝に向けた道筋を作れるか?が大事になってきますね。
期待しています。
次は中3日で湘南戦
今回の川崎戦で、予想以上のダメージも受けてしまいました。明本選手、荻原選手、ショルツ選手。
そうは言っても、優勝を目指すならば勝つしかありません。厄介な湘南戦ですが、全力で勝ちたいと思います。
※なお、本記事の写真は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。
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