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正直、反対!【ホンダと日産の経営統合のニュースについて】

昨日、驚きのニュースを目にしました

18日の朝、仰天のニュースを目にしました。

”ホンダ・日産統合へ”

第一印象は、”ええっ!やめて!”と思いました。否定的な感情が生まれてきました。

この記事で、会社員時代に自動車開発を生業にしていて、今はいちホンダファンである自分の個人的な主観を述べていきたいと思います。

ホンダ寄りの意見になりますので、日産の方には少々失礼に感じることもあろうかと思います。その場合はご指摘いただきたいです。

背景

今年に入ってのこれまでの流れ

今年3月、ホンダと日産は戦略提携の検討を始めると発表。以降、三菱自動車も参画することになり、3社で検討を進めてきました。

提携のポイントとしては、EV開発における車載のソフトウエア(基本OS)を共同開発して共用することでした。それによって開発日及び開発工数を削減することを目的としていました。

11月に入って日産の24年9月中間連結決算で業績悪化の発表をします。最終利益が前年同期比99%減となり、9000人をリストラするとのことでした。

この発表があってから、いろんなコラムやYoutubeなど至る所で、”ホンダが日産を合併吸収するんじゃないか?”という話題が上がっていました。

自分としては、”そんなことはないでしょ、面白おかしく煽りすぎじゃない?”という程度に思っていました。

今回の経営統合に至った背景

今回の経営統合の話が急にスピードアップしたのは、そんな日産の経営悪化がトリガーになったのは間違いありません。しかしながら、本当のきっかけは、これをチャンスとばかりに日産を狙っていた企業があったのです。台湾電機の大手、鴻海(ホンハイ)精密工業という会社。シャープを買収したことで有名で、電気自動車の分野に進出を目論んでいて、買えるものなら自動車会社を買ってしまった方が手っ取り早いと考えたのでしょう。

日本の経産省や日産に対しても買収の意向を打診したとの報道もありました。

しかしながら、日産自動車という日本の大手の自動車会社が、他国の会社に買収されるというのは、日本産業の衰退の道を辿る可能性もあり、経産省も日産も抵抗感を示したに違いありません。

そして、今年に入って提携の検討をしていたホンダと共にグループ化することで、日産が買収されることを防ぐ。そんな流れだと思います。

日産の状況について

日産が決算で業績悪化の発表の中で、その要因は、北米や中国での販売不振でインセンティブを積みすぎたことだと言っていました。しかしながらそれは表面上の理由というか現象にしかすぎません。それを深掘りすると、ハイブリッド戦略の失敗などを含めて、ユーザーに訴える魅力のある商品が作れていないことだと思います。

それから、いろいろな発信を見てきました。

面白おかしく茶化す低レベルのものから、これは的を得てそうだな、内部の人間なのか?と真実味のあるものまで。

そして、この動画が特に信憑性がありそうだと思いましたし、業績悪化の本質をついている気がしました。引用させていただきます。

この中でいろいろな要因を挙げていましたが、その中で重要なのはこれだなと思いました。

典型的な大企業病
・極端なトップダウン体制
・役員への異常な気遣い文化
・上層部の車への愛が欠落

この3つを掘り下げてみたいと思います。

極端なトップダウン体制

トップダウンという言葉は、全体が統率が取れていそうな言葉ではありますが、それでのみ成り立っている会社は良い会社とは言えません。

トップが全てを決めてしまうのは、トップが並外れた裁量や能力を持っていれば奇跡的に成り立つかもしれません。しかしながら、そんな人間はこの世にいないと思います。

そして、トップが全てを決めてしまえば、現場のエンジニアはいいアイデアが浮かんだとしても、どうせ上に言っても聞き入れられないだろうと考えます。すると、モチベーションが下がり、結果的に良い商品が開発できないという悪循環に陥ります。

反面、現場レベルのエンジニアが、有り余るほどのモチベーションで仕事に取り組み、マグマのように噴き出すアイデアを具現化し形にする。トップは、大きな方針だけを決め、現場がそうなるようにマネージメントする。それが理想だと思うのです。

そう言った意味で、この動画のように日産が本当に極端なトップダウン体制であるとするならば、それは現場のエンジニアがのポテンシャルを発揮できない、良い商品ができない根本的な原因だと考えられます。

役員への異常な気遣い文化

役員が権限を持ちすぎていることで、下は上に歯迎えない、出世を考えるとイエスマンが増えていくことになります。すると、ものづくりが役員が好むものに重点を置くことになり、お客様視点でものが見れない。

そうだとすると最悪の組織といえます。

上層部の車への愛が欠落

これがいちばんの欠陥だと思います。

いいクルマを作るエンジニアは、往々にしてクルマ好きです。クルマの本質を知っています。そして魂を持っている。自分は、いいクルマを作るのはクルマ好きにしかできないとまで思います。

トヨタのクルマが良いかどうかは別にしても、豊田章男会長前社長や、佐藤恒治社長のような、クルマ愛を語るリーダーこそが、自動車会社の社長を務めるべきだと自分は考えます。

トップがクルマへの愛を持っていないのは、致命的とさえ思います。

ホンダ側の視点

ホンダ側の視点でメリットとデメリットを考えてみました。結論としては、メリットよりもデメリットの方が大きいと感じます。

経営統合のメリット

メリットとして考えられるのは、こうだと思います。

EV開発における開発工数・費用の削減

具体的には、これらが主なメリットだと思います。

・車載のソフトウエア(基本OS)
  →開発工数・費用の削減

・EVプラットフォームを共通化
→プラットフォーム開発費、及び、工場やメーカーの設備投資の抑制

各社持っている優れた技術やノウハウのシェア

ホンダの持っている技術が日産のクルマに搭載できれば、償却台数が増え、部品自体のコストが下がります。これはお客様にもメリットがあります。

また、日産や三菱にある優れた技術やノウハウをシェアできれば、ホンダのクルマの性能がさらに向上することも考えられます。具体的な技術を吟味しないと、優劣は判断できませんが。

ポジティブに考えれば共創効果

コラボレーションという言葉はよく聞きますが、ホンダと日産の優秀なエンジニアが、共通の目的のもと、異なる視点でアイデアを出し合いながら技術を生み出す。そんなポジティブな開発ができるようであれば、これまでにない価値のある技術が生まれる可能性を秘めていると思います。

経営統合のデメリット

デメリットを考えると、こうです。

技術の擦り合わせをする上での現場の消耗とモチベーションの低下

エンジニアは、社内で類似の技術や他の部署との技術の擦り合わせをやるだけでかなりのエネルギーを消耗します。

それを、社外のエンジニアとやるなんて想像もできません。それも社風や哲学が全く違いそうな2社。擦り合わせ作業により現場の消耗し、新しいものを生み出すという本来の業務ができなくなり、モチベーションが低下するのではないか?と心配してしまいます。

日産の体質改善に関与するエネルギー消耗

日産の体質改善が必要なのは明らかです。それをどうやっていくのか?大きな課題です。

日産の中のメンタリティを改善するために、現経営陣を辞めさせることや、その後にホンダの経営陣やエンジニアが送り込まれるかもしれません。それはホンダという企業にとって、多大なエネルギーを消耗することになります。

企業哲学や社風を変えることは並々ならねエネルギーが必要。そんなことができるのかと正直に思います。

販売台数の低下

これまで凌ぎを削ってきた、ホンダと日産。それが

”経営統合して販売台数は合わせると世界第3位になる”

などとちょっと楽観的、お花畑的な言葉が紙面やネット上でも踊っています。

そんなわけないですよね。

いいクルマなのにフィットが売れないのは、下のクラスのN-BOXが豪華になってきて、性能や価格帯が被ってきたことなんです。

それを日産とホンダの同一カテゴリーのクルマに対して、ユーザーが優劣をつけるとどちらかのクルマが売れなくなるに決まっています。

足し算になるわけがありません。

ホンダにはこうあって欲しい

自分の意見として、この統合に反対です。

そして、ホンダのいちばん大切な部分、原点を大事にしてほしいと切に願います。

経営統合によって、これらを守ることができないのであれば、経営統合どころかホンダとしての企業の存続が危うくなります。ホンダの根源だからです。

お客様に魅力あるクルマを作り続けるのが原点である

いちばん大切な部分は、お客様に魅力のあるクルマを作り続けることです。

ここ数年のホンダはそれができていると思います。以前の記事で、同カテゴリーのクルマの徹底比較の動画の感想を述べましたが、各カテゴリーで、フィットやN-BOX、ヴェゼルといったクルマが評価ナンバーワンになっています。

素晴らしい企画動画!【コンパクトカーライバル徹底比較】こんな企画を待っていた 一般的にどうやってクルマを買うのでしょうか? 実際にクルマを買う時に、どうやってクルマを決めるのでしょうか?...

応答遅れの少ないハンドリングや力強い動力性能、足がしっかり動く快適な乗り心地、広々とした居住性、視野の広さなど、クルマの基本性能を突き詰めた結果であり、ひいてはお客様の使い勝手をとことん追求してきたとも言えます。

現行のホンダのクルマがそのように語っています。

ダイナミックス性能の基準であったヨーロッパ車に完全に追いつき、それに日本車らしい細かな気遣いまでをも付け加えて、完全に凌駕したと感じています。

このクルマ作りの哲学というか、魂を絶やしてはならないと思うのです。

そのためには現場のエンジニアの魂を大事にしてほしい

そのためには、トップが現場のエンジニアが泉のようにアイデアを湧き出させるパワーを大切にして、モチベーションを維持するようなマネージメントをして欲しいのです。

再び言いますが、この経営統合で、業務の擦り合わせや日産車へのシステム適用などの新たな業務負荷が発生し、それが現場のエンジニアの魂の消耗を生み、良いクルマが作り出せなくなってしまうことを恐れています

だから、反対なのです。

ホンダとはこういう会社だと改めて思った技術

今週、新しいプレリュードの先行試乗の動画がYOUTUBE上でアップされました。

プレリュード復活というオールドファンには胸躍るものではありますが、そこではなくて、今回搭載されたS+shiftという技術にこそ、ホンダらしさが凝縮していると感じたのです。

ハイブリッド車 e:hevはエンジンは主に発電する役割で、その電力でモーターがタイヤを駆動する。機構上、本来ならば、シフトチェンジやシフトショックなどが発生せず必要ないものと言えます。

しかし、ホンダはユーザーの五感とスポーツドライブの楽しさを大事にしています。これはユーザーもホンダに求めているものだと思うのです。

その解決策がこのS+shift。発電中にエンジン回転をステップ的に変動させ、あたかも変速しているように感じさせる。さらにエンジン音をスピーカーで作り出し、ドライバーを高揚させる。そして、モーターで変速ショックまであえて作っている。

試乗者みんなが笑顔になり、NS-Xに乗っているかのようだと言わしめたこの技術。素晴らしいと思います。

ホンダのトップが将来EVとFCEVに移行していくと宣言し、エンジンは無くなっていく方向性ではありながらも、現場のエンジニアが何くそと反骨心を見せて、こんな魅力ある技術を作り続けている。

ホンダのエンジニアの魂を感じるとともに、独創性と遊び心に感銘を受けました。

そんな貴重で会社の財産であるエンジニアたちを大事にしてほしいと思います。

販売台数拡大路線はうまくいかない

ホンダはこれまで販売台数拡大路線を行った時代がありましたが、正直失敗しています。

2010年代、台数目標を設定して設備投資含めて拡大路線を図ったものの、リコール問題を機に縮小を余儀なくされます。

ホンダがそれが得意だと思えません。

少し高くてもいいので、独創性のある製品を愚直にしっかり作り出して、ユーザーに満足してもらって利益を上げる。

それがホンダの生きる道だと思うのです。

統合の道を歩んでいくのだとしたら

正直、自分には企業経営的な知識はありませんし、その観点でベストチョイスを語ることはできません。

しかしながら、諸般の置かれている状況を踏まえると経営統合の道しかないと判断するのであれば、大事なことがあると思うのです。

グループ内の序列の重要性

ホンダがグループトップとして全体を引っ張って整理していくべきです。そういう覚悟で経営統合の道を選んでほしいと思います。

トヨタグループやVWグループのように、各自動車ブランドが独立して存在するし、トヨタやVWのようなグループトップの企業がそれを束ねる。ホンダがそうなるべきだと思います。

トヨタがグループ会社を引っ張っていけるのは、グループ内の序列があるのは明らか。

グループ内の序列がないと、グループ内での統率が取れないと思います。ましてや、実際に業務の擦り合わせをやらなければいけない担当者が消耗するだけになります。そこはしっかりトップが決めてほしい。

やることは山積み。
・ブランドの位置付け整理
・プラットホームやシステム共用
・技術戦略のシェア
・グループ全体での技術戦略の立案・役割分担
などなど。ちょっと考えただけでも大変です。

社内だけでも大変な作業なのに、違う会社とそれをやるなど、想像するだけでも気が遠くなりそうです。そのためには序列を明らかにすることが大事だと思います。

ホンダ内で統合の意義を明確に落とし込んでほしい

ホンダ内部、現場レベルでは、この統合に懐疑的になっているのではないか?と予想します。

外から見ていて、メリットよりデメリットの方がはるかに大きいからです。

そして、画家やアーティストと同じように、エンジニアは我が強いもの。自分の作り上げた技術やクルマに人一倍こだわりがあります。他を簡単に受け入れるような性質を持っていない人種です。

ホンダの経営トップが、現場エンジニアに対して、この統合の大義を十分に理解できるような説明をするのを期待します。

その浸透がないとうまくいかないと思います。

哲学の違いを理解し、お互いリスペクトを忘れないでほしい

それぞれの会社の方々は、お互いの会社の哲学の違いを理解して、お互いリスペクトを忘れないで接してほしいと思います。

お互いを、”あいつらは、、”と呼び出したら、終わりです。

日産の経営体質を変える覚悟

とは言え、綺麗事だけでは、経営が悪化している日産の体質を変えることはできないでしょう。現在の日産単独での改革は厳しいと思います。非情になって、かつてゴーン氏が大ナタをふるったような大改革が必要なのではないかと思います。

それを実行するためには、ホンダ側からの出向など人材を送り込む必要があるでしょう。彼らが、経営陣を退陣させたりリストラしたりと、ある意味非情なことをやらざるを得ないかもしれません。

そして、日産社内の意識改革にも取り組む必要があります。これまでの悪しき風習や考え方を根底から覆し、正しい企業文化・哲学を教えこむ。それは、大変で長い道のりだと感じます。

それらの作業は、気の遠くなる途方もない作業だと感じます。

そこまでの覚悟があるのか?とホンダのトップに問いたいところです。

今後の動向に注目

これからこの2社がどのようになっていくのか?検討の結論がいつ出るのか?そんなに時間はかからない気がします。

動向に注目していきたいと思います。

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