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クルマ

【トヨタ 成瀬さんの本を読んで】クルマ好きの方にココカゼ!!

「豊田章男が愛したテストドライバー」成瀬さんの本

自分も自動車業界にいたテストドライバーのはしくれであったため、いつか読んでみたいという本でした。やっと読むことができました。

題名:豊田章男が愛したテストドライバー
著者:稲泉連氏
発行:小学館

 

トヨタのテストドライバーのトップであった成瀬弘氏と元トヨタ社長 豊田章男氏のと関係を綴った感動ドキュメンタリーです。

成瀬さんの生い立ち、豊田章男さんとつながり、会社内での苦しい立場、理想のクルマが完成した時の達成感、悲しい事故、豊田さんの成瀬さんへの弔辞

外から見たトヨタという会社のイメージが変わった作品でした。

これについて、感想をまとめてみたいと思います。

成瀬さんについて

自分も退社前、量産車の実験課に所属し、車両のダイナミクスに関わる仕事をしてきました。しかし最初に言わせていただくと、成瀬さんは自分レベルの人間が語るのもおこがましい方だと思います。

でもあえて言わせてもらうなら、
「叩き上げで培ったテストドライバーとしての並外れた感性をお持ちであるとともに、
クルマが本当に大好きなこどものような純粋な心を持ち続けた方」
であったように思います。

成瀬さんがおっしゃる「いいクルマを作る」。自動車会社の本質的真理をついたシンプルだが、奥が深い言葉であると思います。反面、具体性がない。それには実は意図があり、あえて後進に問い、考えさせ、自分のものにさせるための表現だそうです。足回りのシムの枚数を組み替えて、フィールの違いを感じるとか、トヨタの方がやっているなんて全くイメージしてませんでした。まさに現場現物主義を貫き通された方ですね。トヨタにクルマが変わってきたのは、成瀬さんが源流だったんですね。

エリート設計者が優位に立ってクルマをつくるという自分がイメージしていたトヨタの技術者と正反対でした。

自分の会社にも、成瀬さんのような方は数名いらっしゃいました。
ただ、彼らと比較しても、成瀬さんはスケールが大きく、社内でも後進の育成、社内外への影響力を考えると偉大な方を亡くしてしまったということが言えると思います。ましてや、豊田社長を訓練されてきた、ニュルのレースに出場させたなんて、常識ではありえない、優等生の印象のトヨタでは全く考えられないことをやられてきたと思います。

ただ、この本の中にも出てきた、後進のトップガンの方々が、成瀬さんの財産を受け継いで、トヨタのものづくりは続いていくんだなと思います。

豊田社長について

豊田社長のスピーチはyoutubeのトヨタイムズでよく拝見していて、他の企業の社長とは比較にならないほど、スピーチの内容に心がこもっている、自分の言葉で心底から語っています。それは、アメリカでの訴訟問題や、成瀬さんとクルマと真剣に向き合った時間など、実体験を刻み込んだ心の奥底から湧き出る言葉なのでしょう。

また、「いいクルマを作りたい」という本質的真理、トヨタというよりも自動車産業全体まで考えられている視野の広さ、でもガソリン臭いクルマが好きとかいってしまうところ、本当に器の大きいすごい方だと思います。

一企業の中で、クルマをよくすること、いいクルマをつくることを目的としている活動は一見本質的真理であっても、個人的な都合や立場で、敵対して足を引っ張る人間は数多くいます。創業者の直系、豊田社長であっても、例外ではない、トヨタほどの大きな会社のほうが大変かもしれません。我々の会社の自分レベルでも、いっぱいありましたから。

また、トヨタなど量産自動車メーカーは、フェラーリのようなスポーツカーメーカーとは異なります。量産自動車メーカーにおけるスポーツカー開発や、レース活動は、華やかでやりた反面、疎ましがられ、やっかまれる傾向にあります。なんでそんなことにお金を使っているんだ、そんな暇はない、遊んでないで仕事しろと。やってる本人たちは、純粋に性能だけを追求できるし、やってるプライドもでき、楽しいんですけどね。

そんな苦難を乗り越えられてきたのも、成瀬さんと真剣にクルマに向き合った本質的真理があって、それを貫いてきたからこそだと思います。

それが形になってきた矢先の悲しみの出来事。

最後の成瀬さんへの弔辞、豊田社長の温かい、心がこもった言葉たち。泣きました。

豊田社長が今でもよく言葉にされる「いいクルマを作りたい」って言葉は、成瀬さんが乗り移っているんですね。

ニュルに行って桜の木に手を合わせたい

本書に出てくる、ドイツのオールドサーキット、ニュルブルクリンク サーキットという場所があります。

 

もうすぐ創立100年の歴史のこのサーキットは、ドイツ車がその他ヨーロッパ車に敗北したことにより、国策で作られたドイツはじめてのサーキットなのだそうです。

ハイスピードかつ前後左右のみならず、上下にも力がかかる、起伏の富んだサーキットで
今では、クルマを鍛えるコースとして、数多くの自動車会社が参加してテストするコースです。

自動車会社のエンジニアなら、ある意味憧れを持つサーキット。自分は、業務の中で、ニュルブルクリンクでテストするような車両を担当したこともありましたが、残念ながら行くチャンスを得ることができませんでした。若い頃、社内ドライビングライセンスで最上位をとって、ニュルでテストするぞーなんて思ってましたし、グランツーリスモでは何周したかわかりません。

成瀬さんは、実車でどれだけ周回したかわからないニュルマイスターであり、自動車業界の偉大な先輩として本当に尊敬いたします。

退職した今、プライベートでドイツに行ってみたいと考えていましたが、この本を読んで、成瀬さんの桜のところで手を合わせたいと思いました。(成瀬さんが亡くなった地点に、2本の桜が植樹されているそうです。)

最近のトヨタ車に興味が湧いてきました

自分は、トヨタのディーラーにいったことがありません。トヨタの営業マンは凄腕で、あっという間にかわされてしまう印象があるので、怖くて入れなかったのです。

ただ、成瀬さん、豊田さんの血が流れるトヨタ車に乗ってみたいという気持ちが湧いてきました。自分にとって新しいチャレンジになります。

GRヤリス、のってみたいな。

営業マンに丸め込まれないように、作戦を考えて後日チャレンジしたいと思います。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。それでは!!

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