90年代のクルマたちを振り返ります
90年代はクルマにとって輝かしい時代でした
1990年代は自動車産業にとって輝かしい時代でした。この時代には、革新的なテクノロジー、洗練されたデザイン、そして信頼性の高さが日本車を世界中で注目される存在にしました。
トヨタ、ホンダ、日産、そして他の多くのメーカーが、独自のアイデンティティを持った車を生み出しました。また、パワーアップを競い合ったエンジン技術の進歩や、SRSやABSなどの安全性の向上など、様々な面で革新が見られました。
一方で、スポーツカーやパフォーマンスカーも栄えました。日本車メーカーは、高性能エンジンやダブルウィッシュボーンに代表される先進的な足回りを搭載したスポーツカーを開発し、スポーツカー好き人々や若者の心を掴みました。
そして、90年代は、クルマに所有することの喜びや、ステイタスを求めていた時代。単なる移動手段を超えて、ドライバーの情熱やアイデンティティを表現するツールとなっていました。
そんな時代を振り返ってみようと思います
そんな輝かしい時代を過ごしてきて、いま振り返るとやはり”いい時代だったなあ”と思わざるを得ません。加えて、年齢のせいかもしれませんが、以前はほぼ興味がなかったクラシックカーとまではいきませんが、ちょい古の車が本当にかっこよく見えてくるようになりました。
そんなことをきっかけに、90年代に自分が乗って印象的だったクルマたちを通して、振り返ってみようかなと思いました。
3回目までは、日本車のお話でしたが、4回目の今回は、当時自分にとって衝撃だったメルセデスの2台をピックアップしてお話ししたいと思います。
190E (Mercedes)
190Eとは?
メルセデス・ベンツ 190Eは、1982年から1993年まで生産されたコンパクトな高級セダンであり、当時のメルセデス・ベンツのエントリーモデルとして位置づけられました。
190Eは、堅牢なボディ構造と高品質な内装で知られており、その優れた乗り心地と信頼性から、多くのドライバーに愛されました。特に、ドイツの自動車メーカーらしいクオリティと快適性が特筆されます。
また、190Eは様々なエンジンバリエーションが提供され、特に2.3リットル直列4気筒エンジンや2.5リットル直列6気筒エンジンが人気でした。これらのエンジンは十分なパワーとトルクを提供し、高速道路での快適なクルージングや都市部での街乗りにも適していました。
さらに、190Eは当時の先進的な安全装備を備えており、エアバッグやABSブレーキなど、ドライバーと乗客の安全を考慮した機能が標準装備されていました。
総じて、メルセデス・ベンツ 190Eは、高級セダンとしての品質と快適性を追求したモデルであり、その堅牢な構造と優れた乗り心地が、長年にわたって多くのファンに支持され続けています。
こんなクルマでした
このクルマは、当時、「小ベンツ」とか言われて、小金持ちがこぞって乗っていたのを記憶しています。
入社当時に比較車として身近にあったクルマでした。正直ドライビングスキルも全くない素人のような状態でしたし、初めて外車を運転できるということで、ウキウキしていたのを覚えています。ボンネットのスリーポインテッドスターを初めてみたのもこのクルマだったと思います。
しかし、ちょっと浮ついた目で見ていた我々に対して、クルマづくりの本質を問いかけてくるような質実剛健なクルマでした。
走りは?
エンジンの諸元やグレードも定かではないのですが、今でもすごく印象に残っているのは、ボディ剛性の高さと限界挙動の穏やかさでした
ボディ剛性の高さ
ボディ剛性は、衝撃的でした。何かボディがたわんだり、きしんだりすることがない印象。ごっついエクステリアのイメージと相まって、当時の日本車にはない塊感を感じました。何かにぶつかられても完全に守ってくれそうな安心感がありましたね。
限界挙動の穏やかさ
決して限界が高いわけではありませんが、あえて限界を抑えて限界挙動をわかりやすくするクルマ作りには感銘を受けたんです。
アクセルコントロールによって、少しの遅れを伴いながら穏やかに変化するオーバーステア、アンダーステア。しかも滑り出したことがわかりやすいインフォメーションがある。タイヤは、グーネットさんのカタログによると、「185/65R15 87H」とありますし、当時で言っても全く扁平タイヤではなく、普通のタイヤでした。ミシュランだったと思います。
当時の日本車は、限界挙動変化が激しく、限界を迎えると接地を失い突如スピンしたりするクルマも多々ありました。
クルマはこうやって作るんだよ、限界挙動はこうやって作るんだよ、と語ってくれていた気がしました。
190Eの懐かしい動画見つけました
オーナー向け操作ガイドの動画
190Eのコーナー向け操作ガイドの動画をあげている方がいらっしゃいましたので参照させていただきます。ちょっとバブリーな風景も登場して懐かしくもありました。
これを見ながら思い出しました。190Eには、走りだけではなくて、日本車にない特徴に衝撃を受けていたことを。
・重いドア
・独特なゲート式シフトパターン
・4本スポークの大きめのハンドル
・調整幅の多いシート(当時の日本車はそこまでなかった)
・アクセルがオルガンペダル
・世界初リアマルチリンクサスペンション(トー、キャンバー変化を最小限にする)
・一本ワイパー(パノラマワイパーと呼んでいました)
・段差のあるテールレンズ(泥がついても視認性を確保するため)
・ABS標準装備(当時日本車は装備されるクルマでもオプションでした)
改めてクルマ作りの哲学を感じさせてくれるクルマだと思いました。
DTMバージョンの動画
190Eと言えば、当時のDTM(ドイツツーリングカー選手権)に出場していたモデルです。
こちらの動画にあるように、地を這うようなエアロと、当時まだ珍しかった鳥居のような高く迫力のあるリアウイングが特徴的で、無茶苦茶かっこいいと思ってました。
E50 AMG (Mercedes)
E50 AMGとは?
メルセデス・ベンツ E50 AMGは、1996年から1997年にかけて製造された高性能セダンであり、当時のメルセデス・ベンツ Eクラスのトップモデルとして位置づけられました。
E50は、AMGによって開発されたエンジンを搭載しており、5.0リットルV8エンジンが心臓部となっています。このエンジンは、高出力と豊富なトルクを提供し、迫力のある加速と力強いパフォーマンスを実現しました。また、AMG独自のチューニングにより、スムーズでレスポンシブな走行性能が実現されました。
外観は、Eクラスの上級モデルであることを示す専用のボディキットやアルミホイール、AMGのバッジなどで装飾されています。内装も高級感あふれる素材とスポーティなデザインが特徴であり、ドライバーと乗客に快適な乗り心地を提供しました。
また、E50は安全性にも配慮されており、当時の最新の安全装備が多数搭載されていました。これにより、高速道路や街中での安全性が向上し、ドライバーと乗客の安心感が高まりました。
総じて、メルセデス・ベンツ E50 AMGは、高性能と高級感を兼ね備えたセダンとして、その名を馳せました。そのスムーズな走行性能と豪華な内装は、多くの車好きやメルセデス愛好家から絶大な支持を受け、今なお高い評価を得ています。
こんなクルマでした
正直、この丸目4灯のヘッドライトは好みではありませんでしたが、そこから後方のボンネットやフェンダーにかけての流れるような造形は結構好きでした。
V8 5L エンジンを搭載し、347psと当時異次元の動力性能。V型エンジンは、日本車においても最上級クラスの騎手にしか搭載されていませんでしたし、多くて6気筒。それがV8なんてもう憧れのエンジンでしたね。そして出力も、当時の日本車は、280ps規制がありましたから、それを遥かに凌駕するパワーでした。
通常のEクラスのモデルと違いAMG(アーマーゲー)モデルでしたので、驚異のタイヤサイズでした。フロント:235/40ZR18 リア:265/35ZR18。18インチなんて当時では超大径ホィールでしたし、扁平率も40や35なんて考えられないものでした。MRならわかりますが、FRにも関わらず前後異径。
また、専用セッティングの足回りで、タイヤとフェンダーの隙間はなんとつらつら。カッコイイですけど、こんなセダンでこんな外観なら、乗り心地ガチガチなんじゃないかなと思っていました。乗るまでは。
走りは?
乗ってみるとやはり衝撃的でした。
圧倒的な動力性能とハンドリングと乗り心地の異次元の両立は際立っていました。
圧倒的な動力性能
そのエンジンスペック通りの動力性能。発進加速は、強大なトルクによってドライバーの首筋や腹筋に思わず力が入るほどの発進加速。そして加速のタレがなく、どこまでも伸びていく加速。
セダンスタイルでありながらも、当時の自分が経験したことのない異次元な動力性能でした。
ハンドリングと乗り心地の異次元の両立
そして、幅広扁平タイヤと車高設定から想像できないような乗り心地の良さは衝撃でした。
不整路で、メルセデスらしい剛性感のあるボディは動じず、バネ下だけが軽やかにしっかりストロークしていなしていく。
しかも、そこからは想像できないような横剛性の高さ。ハンドルを着れば、しっかりとタイヤが仕事をして、ドライバーの意思に質実剛健ともいうべき反応をしてくれていました。
E50 AMGの懐かしい動画見つけました
車両紹介をする動画
車両紹介をする動画を見つけましたので、参照させていただきます。これを見ながら、”あーこれこれ!”と懐かしく思いました。
これを見ながら思い出しました。
・どことなく、丸みを帯び出したエクステリア
・ディッシュタイプのホィールにAMGの刻印
・シートの皮の臭い
・ドア側についているシート調整スイッチ
・大理石調のインパネ
・AMGのエンブレム
雰囲気というか風格のあるクルマでしたね。
メルセデスのビデオ
メルセデス自体で、”INSIDE AMG”という動画で、E50を取り上げてました。
衝撃を受けたメルセデスの2台でした
今思えば、”威風堂々”という言葉がぴったりの当時のメルセデスでした。そして、経験の少ないエンジニアだった自分が衝撃を受けた2台でした。
また、乗ることができるでしょうか?乗れたとしたら、若い頃に乗った衝撃が本物だったのか?ただ経験が少なかっただけなのか?答え合わせができるんじゃないかと思います。探してみよっと。
次回は、日本車に戻って、日産の2台、シルビア/スカイラインについてお話ししたいと思います。