世界を変えていく会社はどんな会社?
先日、自動車業界の将来について学んだこの本。「100年に一回の転換期」が理解できて、自動車業界がGAFAに飲み込まれていく将来が見える内容でした。
この本を読んだ後、自動車業界に限らず、将来、世界はどのように変わっていくんだろうか?とさらに疑問が湧き、図書館で本を探しているとこの本を見つけました。2019年の本ではあるので、最新ではないのですが、それなりの方向性は見れるかなと思い読んでみました。
題名:10年後のGAFAを探せ 世界を変える100社
著者:日経ビジネス編
発行:日経BP
表題通り、今までにない画期的な取り組みをする世界の100社をピックアップして紹介してくれる本です。その100社の中から、個人的に印象深かった10社を選んで、自分なりに紹介したいと思います。
画期的な技術を持つ6社
【H2L】ボディシェアリング技術
この本の中で一番印象的だった会社がこちらの会社でした。
VR技術の一つで、触感を再現できる技術。特に遠隔操作をコントローラを用いて手で行う場合の触った感覚をより現実に近づけることにより、操作に対する一体感を向上させ、操作しやすいフィードバック系を作り出す。あたかも、その場で操作しているような錯覚を起こさせるように。
これから、通信技術の進化に伴って、VR技術や遠隔操作は当たり前の時代になっていくでしょう。この技術を使ってそれをよりリアルなものに近づけていけるポテンシャルがあると思います。
ここからは、ボディシェアリング技術を使った自分の勝手な想像です。
故郷の母との会話も、まさに帰省して目の前で喋っていて、手をさすってあげられるようなこともできるはずです。VR技術によって、まさに目の前でしゃべっているような映像が現れ、それだけではなく、このボディシェアリング技術で母の手をさすって下げてその触感が、母に伝わる。そんなSF映画のようなシーンが実現できる可能性があります。
また、ドライビングゲームにもステアリングに感じる触感や肉体に感じるGが再現できるようになると、自宅でも本当にリアルドライビングシミュレータになる可能性があります。現在のドライビングシミュレータは、Gやヨーレートを発生させるための巨大な装置が必要なのですが、それが不要になればすごいことだと思います。
そこにいると錯覚してしまうリアルな体験が実現できる技術ですね。
【マトリクス・インダストリーズ】温度差発電
温度差によって発電可能なデバイスを開発する会社です。
ウエアラブルのような消費電力の小さい機器での電源としての採用が期待されているとのこと。実例としては、体温で発電するスマートウォッチをすでに商品化されているそうです。
また、発電時に熱を奪う特性もあり、冷却デバイスとしての効能が期待できるということで、現在の大掛かりな冷却システムを効率よくシンプルかつコンパクトなシステムにできるということで、EVのバッテリー冷却や、消防士向けの事故冷却機能がついた衣服とかに応用を考えているそうです。
地球温暖化による気温の上昇、その対策としての脱炭素化や省エネルギーの必要性。こんな今ある社会問題に対して、それを解決するための自己発電と冷却が可能なデバイス。これはいろんな分野で重宝されるに違いありません。
【ミツフジ】ウエアラブルIOT
西陣織の帯工場から創業し、現在は生体情報を計測するための技術を持った会社です。
銀メッキ導電性繊維は、ウエアラブルセンサーに使用されている基盤技術で、それを使ったウエアラブルデバイスを開発しています。
ウエアラブルデバイスでユーザーの生体情報を計測して、独自のアルゴリズムでユーザーの健康状態を解析しお知らせする。ユーザーの見守りをするデバイスです。
熱中症の予防や、従業員のストレス解析により勤務状態の向上を図るなどの効果を期待しています。
自分としても、今年に入って体組成計の計測をすることによって自分のカラダをコントロールできるという、いわゆる可視化・見える化の重要性を感じています。なので、生体情報計測による健康状態の見守りは、今後非常に重要なキーになる気がします。
自らの健康状態を改善するだけではなく、その状態によって、例えば、
・疲労しているバスやトラックドライバーは運転させないようにする
・ドライバーが健全な状況でないとクルマ側が判断し、ドライブできないシステムを作る
ことで、未然に事故を減らすことも考えられますね。
プライバシーの部分では課題がありそうですが、発展性のある技術だなと思いました。
【アフェクティバ】感情認識AI
こちらは先ほどのウエアラブルとは異なり、カメラとマイクの情報により、顔や声の情報から、ヒトの感情を認識する技術です。「空気を読むAI」とも書かれていました。
今やIOTの時代で、家電やクルマなどのデバイスがインターネットと繋がる時代。使用する人間の気持ち、まさに「機械が空気を読む」ことが重要なキーになってきます。
クルマでの使用した場合でいくと、クルマでのドライバーの監視によって、
・半自動運転システムにおける人間による運転と自動運転との切り替えに使用。
・クルマ側から安全運転のためのアドバイスや声がけを精度良く行える。
まさに、空気の読めるクルマになれる技術ともに言えます。
また、違う切り口で行くと、消費者の声や表情から感情を認識することで、簡単にいうと、受けたか?受けなかったか?を判断できる材料になり、企業のマーケティング戦略にも役ににたちそうです。
【D ウエーブシステムズ】量子コンピューター
量子コンピュータという言葉は、残念ながら自分はこれまで知りませんでした。
既存のコンピュータは、1ビットは、0か1の2通り。それが量子コンピュータは、1ビットがそれ以上刻めるということで、例えば1ビットで9量子ビットなら512通りを表現でき、単純に256倍の計算ができるということ。
「クラウド」からの「AI」時代。スーパーコンピュータへの負荷はどんどん高まる中、最も期待される技術であると思います。
【マジックリープ】ウエアラブルコンピューター
ヘッドマウントディスプレー方式の複合現実ウエアラブルコンピューターを開発するこの会社。
リアルな仮想現実によるゲーム体験、ビジネスの世界での遠隔地での共同作業に使用されています。
既存の類似の製品に比べて、処理能力が高く、コンテンツ制作の自由度が高いとのことで、リアルな世界に没入する感覚、体験ができるとのこと。
自分が期待する用途としては、こんなことがあります。
・ドライビングシミュレータに使用して、世界のサーキットやワインディングコースをリアルにドライブできる体験ができる。
・ジムでのトレッドミルやサイクリングマシンで、有名な海外の公園だったり、有名な山岳路だったりを走っているリアルな映像と負荷を再現し、爽快な走りを体験できる。
そんなことができたらいいなと思っています。
・スポーツ観戦でも、その場にいるような広がりを持った映像が目に飛び込んできたり、その場にいて聞いているようなサポーターの応援が耳に入ってくる。そんな臨場感のある観戦体験ができる。
想像するだけでもワクワクしてきます。将来性があって本当に期待できる技術だし、突き詰めてもらいと思います。
今までにないサービスを提供する4社
【イニット】 キッチン家電の調理プラットフォーム
「スマート家電で一流シェフの料理を再現」そんな表現がされているこの会社。
自動車業界にはソフトウエアディファインドビークル(SDV)という言葉が流行っています。ソフトウエアがクルマの性能を決めていくということ。Googleなどのソフトウエア会社にコントロールされ、自動車会社はそれに適したハードを提供する未来が見え隠れするしています。そして、家電業界でも同じようなことが言えるということです。
イニットのCEOのコメントが印象的でしたので引用させていただきます。
「スマート家電メーカーはフェラーリを売っているのに、消費者は1速で町の中を走り回っている。機能を全く使いこなせていない」
調理家電のそんな課題を解決することがこの会社の狙い。つまり、シェフの料理を再現するために、各電機メーカーの調理家電をきめ細かく遠隔制御する。
日本でも料理の作り方を紹介してくれるクックパッドなどのアプリはありますが、イニットはそれを拡大して調理家電までもコントロールしています。新しい切り口だと思います。
【タイトケア】家庭向け診療デバイス
オンライン診療デバイスとサービスを提供する会社です。
病院での受診というのはマイナスな部分があります。病院に行くのも辛かったり、診療までの時間がかかったり、周りの患者の病気をもらったり。それらを解消するために、近年よくあるスマートフォンでのオンライン医療がありますが、ビデオチャットによるもので、患者の状況判断が限定的なのが課題。
この会社が開発するデバイスで、その課題を解決。内耳や喉の腫れ具合を撮影可能にすることで、診察の精度を上げることができます。
計測データの共有で、医師の診断も共有できたり、AIが医師をサポートしたり診断したりする将来もあるかもしれません。
【FiNCテクノロジーズ】 ヘルステック
パーソナルAIで予防医療を支援する会社です。
健康維持に関する豊富なアプリを提供し、ユーザーの健康維持に貢献します。そして、ユーザーから得たライフログデータをビッグデータとして、多くの企業の商品開発やマーケティングに役立てることができるというもの。
巨大な健康プラットフォームとしての進化が期待されます。
【インスタカート】 食料品買い物代行
食料品の宅配サービスを行う会社です。
各スーパーマーケット自体にも食料品のネット宅配サービスもありますが、このインスタカートは一般人が空き時間に買い物を代行することが特徴的なところです。Uberのように、自社アプリを使って、買い物を代行してくれる人とのマッチングや短時間の配達を実現しています。
高齢者や過疎地などで、買い物難民が社会問題になっていきそうなこの時代、すごく良いアイデアだなと思いました。
今後深掘りしていきます
今後、これら10社の深掘りしていきたいと思います。
・真の狙い
・取り組み
・将来展望
・この本の発行時点からの変化(2019年)
それらを別記事にしたいと思います。
そして、これからも、ちょっと、ワクワクする会社たち。注目していきたいと思います。