個人の時代に新しいアイデアを考えるヒント
最近、つくづく思うのです。我々の現役時代とは時代が変わったなあと。
我々世代が働き始めた1980年代から約40年近くが経ちました。我々世代の世間一般の考え方は、「受験戦争に勝ち抜き有名な大学に行って大企業に就職して定年まで真面目に働く」、そんなレールの上に乗って生きていくことが価値があると考えていた世代でもありました。
しかし、この考え方の問題点は、「何のために?」という目的意識が薄いことにあります。レールに乗ってしまえば、それ以降は安定した生活が待っていると考えて、向上心を持たずにただ言われたことだけをやる人々を多くみてきました。
近年は、我々の世代とは全く異なってきています。個人の時代と言われるようになって、個人で自由に働くことを前提にいろんな環境やプラットフォームが出来上がりつつあります。よって、我々の時代に比べて自分のアイデアを具現化するやり方が自由で豊富であることがあると思います。そして何より、「何のために?」をしっかり考えないと進んでいけない時代になったと思います。
自分は、1つの会社で会社人生をまっとうしましたが、そんな中でも、自分なりのアイデアで新しい技術を生み出して、ユーザーに価値を提供するといった意志と意欲を持って頑張ってきました。
そして会社を辞めた今でもその思考がまだまだあって、自分がいろんなことを勉強して、新しい良いアイデアが浮かばないか?それが世の中の人々に役に立たないか?と考えているのです。
そんなことを考えながら、手に取った本がこちら。
題名:「まだない仕事」で稼ぐ方法
著者:吉角裕一朗
発行:ワニ・プラス ワニブックス
ドラえもんの四次元ポケットを例にとって、新しいアイデアの発案や実現するためのヒントなどを教えてくれています。
面白くてさらっと読み終えることができました。
この本の感想と考察をまとめてみたいと思います。
まだない仕事の創出
まだない仕事を思いつくための2つの要件を教えてくれています。
「まだない仕事で稼げ」と言うと、多くの人が尻込みしてしまいますが、まだない仕事は、”今ある不便の改善”と”もっと楽しく”という2つの要件に隠されます。この2つの要件さえ満たせばいいと思えば、それほど難しいことには感じないでしょう。(P44)
〇〇がないから△△ができない」と言う発想は、前時代の価値観です。(P168)
未来人の発想を持つには、既成概念やプロセスといった細かなことに因われず、いくつか抜いて飛ばして考えることが大事です。(P169)
その2つの要件に沿って、まだない仕事を自分なりに考えてみました。
”今ある不便”を考えてみる
”今ある不便”というのは、”めんどくさいと思うこと”だとも言えますね。めんどくさいと思うのはなんなんだろう?とちょっと掘り上げてみます。
わざわざ行かないといけない
費やすことの大きさを考えると、やりたくなくなります。目的を果たすために移動しなければならない時、そのために費やす時間やお金のことを考えると2度足を踏むことが多々あります。
まさに、その不便を解消するためには、
★行かなくても、現地に行ったと同じ体験を可能にする
いわゆる仮想空間
★行かなくても、買い物ができる
AMAZONやネットストア、ウーバーが実現していますね
★リーズナブルかつ高速かつ簡単に移動を可能にする
などの仕事が考えられます。
そもそもやりたいことではなくやらないといけないこと
義務感を強く感じると、一層やりたくなくなります。思い出されるのが、子供の頃の夏休みの宿題。母親にやりなさい、やっておかないと後が大変よと言われ続けても、それが疎ましく反抗して、やらない状態で来る夏休み最終日。皆さんもそんな経験があると思います。
まさに、その不便を解消するためには、
★寄り添って優しく諭すなどアドバイスしてくれる個人的メンターを可能にする
それが憧れの人や、未来の自分自身だったとしたら素直に聞くかも。
★やらないといけないことを効率よくやることを可能にする
やらないといけないことをリストアップし、効率よくこなすスケジュール立案とアドバイス
などの仕事が考えられます。
これらは、AIが発展した姿になるに違いありません。
夏は暑くて外出する気がしない
環境面を考えると、行動に起こすのが億劫になることがあります。暑い、寒い、雨が降っている、雪が積もっているなどなど。
まさに、その不便を解消するためには、
★そんな環境下でも、個人が快適に過ごすことを可能とする
個人エアコン、個人シールドなどなど
★ドアtoドアで移動先までの移動を可能とする
公共移動サービスが家まで来てくれる自動運転車など
などの仕事が考えられます。
そもそも元気がなかったりカラダが不自由で、動く気にならない
メンタル不調や体調不調など健康維持ができていないことで不便を感じることも多々あると思います。また、カラダが不自由な方は、周りの人の世話になる必要があり、彼らに頼むときに億劫になることが考えられます。
まさに、その不便を解消するためには、
★健康維持のためのアドバイスしてくれる個人的メンターを可能にする
AI親友や運動スケジュールの立案と実行を促すAIインストラクターなど
★体調不調やカラダが不自由な方の移動を可能にする電動アシスト技術を可能にする
重労働の人のためのパワーアシストや、歩行困難な方のための歩行アシストなどなど
などの仕事が考えられます。
相手とのコミュニケーションが億劫
いろいろとやろうとしても、相談相手や頼む相手とのコミュニケーションが億劫でめんどくさく感じる人は多いと思います。
まさに、その不便を解消するためには、
★気兼ねなく、相談、依頼できる相手を可能とする
人と人の間に入ってコミュニケーションするAIコミュニケータなど
★言語の壁をなくす
AIリアルタイム通訳など
などの仕事が考えられます。
将来に不安があって行動に移せない
人は将来に漠然とした不安があって、それが今起こそうとする行動を思い切って起こすことの障害になるケースも多いと思います。
それを避けるためには、自分の将来をできるだけ”見える化”することで、将来への不安を減らすことが大事で、それにより今、思い切った行動ができるようになると思うのです。
人間は失敗から学ぶということも大事ではあります。しかし、転ばぬ先の杖と言いますか、人生この先起きうる悪いことが予期しない状態で起きるのか?ある程度リスクとして考えておいた状態で起きるのか?で大きく違うと思います。
会社を退職してから、我が家のファイナンシャルプランを考えていく中で、そのことの重要性をすごく感じました。ファイナンシャルプランを考えることは、これからの生き方を考えることに直結します。”見える化”、すごく大事です。状況が変われば、臨機応変にそれを変えていけばいいのです。
そのためには、
★気兼ねなく、相談、依頼できる相手を可能とする
AIメンターやAIファイナンシャルプランナーなどなど
★タイムマシーンで未来の自分が現れて、自分の未来を示すサービス
未来の自分がタイムマシンに乗って現れ、このままの自分だと未来の自分がこうなると、現在の自分に暗示して自分の生き方を考え直させる。そんなドラマをよく見たことがあると思います。AIがこれまで蓄積してきた個人の情報から、彼が〇〇年後にどうなっているか?を作り上げ、未来の彼として作り上げる。そして、未来の彼が今をこう生きないとこうなるとアドバイスする。未来の自分なら、説得力が増すはず。天気予報ならぬ自分予報というイメージ。
などの仕事が考えられますね。
クルマの駐車場所に困る
ちょっと具体的な困りごとになるのですが、それはクルマの駐車場所です。
クルマは、距離に関わらず自由な移動を実現できるものとして、他の交通手段に比べて特徴のあるものだと思います。
しかしながら、不便なのは駐車場です。行きたい場所に行っても、その先で駐車場を探したりする手間があると思います。
そのためには、
★クルマ自体が自律して駐車場を探し自動停車する、呼べば自動で迎えに来るような機能
などの仕事が考えられますね。
”もっと楽しく”を考えてみる
”もっと楽しく”は、楽しみを増やしたり、今ある楽しさをもっと増やすとも言えます。それらのことを踏まえ、ちょっと掘り下げてみます。
臨場感を増やす
近年のF1の車載カメラ映像と、ドライバーとチーム間の無線交信。これは明らかに、F1のスポーツをより臨場感のあるものに引き上げたと思います。
また、5Gの導入時、スポーツ観戦でその場にいるような臨場感を味わえる技術が生まれるといったイメージ動画をよくみました。そんな時代が近い将来来ると思います。
より臨場感を増やすために、
★サッカー選手目線のカメラによってあたかもプレーしているような目線で観戦することを可能とする
★視聴者が既存のカメラ映像ではなく、各々自由なカメラ視点で観戦することを可能とする
スタジアムでのカメラを増やしたりドローン撮影を追加
★審判の判定に至る無線の交信内容を公開する
など、いろいろと夢が広がりますね。
できなかったことをできるようにする
人間の能力ではできなかったことをできるようにする。これこそ感動的な体験を得ることができると思います。
★空を自由に飛んで、空からの景色を見る
本書のP175に、ドラえもんのどこでもドアーが現実にするDJI Gogglesが紹介されています。
★老人が若い頃の体力を得て、たとえばテニスをする
電動アシストボディスーツのようなものですね。
★故人が現れる
このアイデアは本書のP125に登場します。AIに故人の情報を与えてつつ、仮想現実空間を使ってあたかも現代に生きていているような受け答えをするようにする。相談に乗ってくれたりする。
★タイムマシンで昔に戻る
過去に行きたかったコンサートや出来事を現代に再現し参加できる。AIが当時のデータを収集し、仮想空間に忠実に再現し、その中に入り込む。自分としては、”We are the world”を録音したスタジオに行ってその雰囲気と彼らのパワーを感じてみたい。
★F1ドライバーになりきれる
Eスポーツをさらに進化し、現実のレースカーを遠隔で運転し競技を競う。ラジコンでも可。映像と没入感が味わえて、モータースポーツの安全リスクを拭える
★大谷選手になれる
大谷選手のフィジカルパフォーマンスを発揮できるボディースーツ。カラダが不自由な方が、健常者同等もしくはそれ以上の能力を発揮できるようにする。また技術的にトップアスリートになれることによって、切磋琢磨してアシスト技術の向上になる。
メンタルケアの充実
個々のメンタルケアは、急速に変化するこれからの時代、絶対不可欠なことだと考えます。やはり、AIの情報量と賢い知能によって、人それぞれに最適な選択、生き方、進むべき道をアドバイスすることが大事だなと思います。
★AI親友
★AIメンター
共通して言えるのが、褒めるAI、寄り添うAIであるべきだと思います。
爽快感、開放感の追求
人として爽快感、開放感を感じるサービスを提供することは、非常に重要だと思います。
★健康な方でも自分の能力を超えた動きができる
先程のボディスーツや、パーソナルモビリティなど、電動アシスト技術が重要になってきますね。
★視聴者がリラックスできる爽快感や開放感のある場所や映像を提供
YOUTUBEが進化して、VR技術での仮想空間で、爽快な音楽と共に、開放感のある景色を再現する。個人的にはドライブや自転車での景色の流れる映像をずっと見てリラックスしたい。それをマッサージチェアに寝っ転がりながら見るのは、最高だなあ。
いろいろ考えて浮き彫りになってきた課題
まだない仕事の2要件を考えてきましたが、そこから浮き彫りになることがいくつかありました。
人間研究の重要性
どんなサービスでも、何をどうしたら楽しいと感じるのか?不便に感じるのか?は人間次第ですから、人間研究は、技術開発にとって非常に重要だと思います。
人間に寄り添うAIメンターに関しても、AIが人間がどう感じるかをしっかり学習できていないとうまく行かないですからね。
パーソナライズ技術
個人に特化するサービスが重要になってきますね。
そして、そのサービスを享受するためには、個人情報、プライバシーをサービス元に公表する必要が出てきます。そうすると重要なのは、プライバシーの保護。
親友のように信じて、プライバシー的な話をしたのに、いつの間にかバラされてしまう。そんなことがあれば、その人はそのサービスは2度と使わないと思います。
善良なAIを維持できるか?
人間の能力を遥かに超えて、数多な情報を得て、多少の個人の将来を見据え、適切なアドバイスをするAI。
それ自体は理想的なお話ですが、これにはいろんなリスクが隠されています。
”真っ当な道徳心を持ったAIが実現できるのか?それ以外は絶対ないのか?”
という話です。
AIは多くの情報を学習することで成り立っています。その情報の中に、善悪について情報も含まれるはずです。そこを誤って学習して悪意を持つAIに成長してしまうと、人間を意図的に誤った悪い方向に誘導してしまうAIも出てくるかもしれません。それを人間が何も考えず鵜呑みにして間違った行動をしてしまう恐れがあります。
今後、この悪意を持つAIをどう取り締まるのか?品行方正なAIをどう守り続けられるか?非常に重要な課題だと思います。
重要なのは夢と行動力
本書には、そんなまだない仕事を見つけ出すには夢と行動力が大事だと語っています。
「夢=妄想力」の重要性
「夢=妄想力」を持っている人が、これからはお金持ちになれる時代です。(P53)
お金持ちになるかどうかは別としても、自分が納得して楽しく人生を送るためにも、自分のやりたいこと実現したいことを夢見ることは非常に大事だと思うんです。
人間にとって最も大きな原動力になるのは「夢」です。夢を見ること。夢を描くこと。夢の力には計り知れないものがあります。(P210)
自分がワクワクすることや、「こうなったらいいな」「あんなことができたらいいなカッコという妄想を「夢」と呼ぶのです。(P211)
自分がこれまで生きてつくづく思います。それ自身がモチベーションになりますし、長く続けられる要因になると思います。
なので若い人には、忙しいとは思うんだけど、一瞬でもいいから立ち止まって、自分自身が何が好きなのか?何がしたいのか?を問いかけながら夢を妄想して欲しいと思うんです。
それが、結果的に、将来に渡って長く活躍できることに繋がっていくと思います。
夢の実現に大事なのは一歩を踏み出すこと
そして、行動することの大事さを説いています。
今の時代、デジタルテクノロジーを駆使した人間が、お金を稼げるのです。(中略)大事なのは、お金のことなど考えず、最初の一歩を踏み出せるかどうかです。(P80)
自分の場合は、企業の中でお金を集め、プロジェクトを立ち上げていました。
もし自分が若い頃、今と同じ個人の時代だったとしたら、企業を選ばす、思い切って個人で起業していたでしょうか?
答えは、ノーです。きっとできないと思います。そのリスクの大きさを考えてしまうから。続けることがすごく難しいと思うからです。企業には企業なりに良いところがあり、それをうまく活用して自分のやりたいことを実現し経済的基盤を確立しつつ、副業ができる昨今、副業で個人的にやりたいことをリスクをとってやってみる、というやり方を自分は選ぶでしょう。副業が軌道に乗り始めれば、会社を辞めることも選べますし。
それにしても、副業をとりあえず色々やってみる、一歩を踏み出してみるのは大事かなと思います。
今の時代に、まだない仕事を創出できる人
とは言え、まだない仕事を創出できる人について本書にはこうあります。
マーク・ザッカーバーグだって、スティーブ・ジョブズだって、いったん大学に入り、前時代的な学びを得る必要はないと考えた結果、大学を中退し、事業を起こしています。それを「世間のレールから外れた」「逃げた」と語る人もいますが、今の時代、成功しやすいのは、世間一般のレールから外れた自分だけの価値観を持ち、人生を選んでいける人ではないかと思うのです。(P52)
会社と副業の2刀流は、エネルギーの消耗は激しいですし、よっぽどの能力がないと続けられません。その意味で、会社という組織を選ばず、自分の価値観を信じて、大きなリスクをとって、個人で勝負する人が大きな成功を手にする。
その中で大事なのが、自分の価値観や夢、やりたいことを強く持ち続けることが大事だと思いますね。
最後に
本書を読んで、自分なりにいろんなアイデアを考えることができましたし、非常に楽しかったと思っています。これからも自分の妄想を続けていきたいと思いました。
そういう意味で自分にとってすごく価値ある1冊だと思いました。
皆さん、特に若い人がこの本を読んで、いろんなアイデアを妄想しそれを実現させて、充実した人生を送ることができるといいなと思いました。