気になるタイトルの本を見つけて
タイトルも気になりましたが、サブタイトルの「読むだけで老けない脳が手に入る!」と言うのも、ちょっとほんとかよ!って突っ込みたくなりました。
題名:60代から頭が良くなる本
著者:高橋徹治
発行:興陽館
本書の題名に「頭が良くなる」という言葉が入っていますが、実はそれは「記憶力の維持」を意味しています。
頭の回転が早いということは、言いたいことをすぐ思い出せて口にすることができます。反面、頭の回転が遅いということは言いたいことをすぐに思い出せずにすぐ口にできないこと。中高年の悩みでもありますね。そんな悩みを解消するための本です。
この本を通して、頭の健康を考える上で脳の仕組みから学ぶことは非常に大事なことだと思いました。
腰痛に悩んだ時期に腰回りの筋肉の仕組み勉強をして、腸腰筋や仙腸関節のことを知りました。それらのためのストレッチを実践して、腰痛を改善することができました。この時、カラダの仕組みを知ることは大事だなと思ったんです。それと同じですね。
脳のしくみと記憶のメカニズム
本書の初めに、脳の仕組み、特に記憶に関する部分を重点的に解説しています。
脳は主に3つからなる
脳は、主に大脳、小脳、脳幹の3つからなります。
・大脳:ものを考えたり、決めたりする知的なはたらき。脳の大部分を占めている。
・小脳:歩く・走るといった運動をコントロールする。平衡機能、姿勢機能、随意運動などの運動系の総合的な調節を行う中枢である。
・脳幹:呼吸、循環、消化、意識など、生命をコントロールするはたらき
大脳の構成
人間らしい働きをする大脳は、大きく、大脳皮質、大脳辺縁系、大脳基底核、大脳髄質の4つからなります。そのうち、記憶に関わる部分でいうと、大脳皮質、大脳辺縁系が挙げられます。
大脳皮質
大脳の表面を覆っている部位。知的活動のために進化した、人間らしい特徴的な部位です。その中でも、部分ごとに役割が違ってきます。
①前頭葉:思考、自発性(やる気)、感情、性格、理性のコントロール
②頭頂葉:触感や味覚情報
③側頭葉:聴覚情報
④後頭葉:視覚情報
⑤脳梁:左右の大脳半球をつなぐ交連線維の太い束
大脳辺縁系
大脳の内側にある部位で本書にはこんな働きがあると書かれています。
(1)心拍、呼吸、血圧、体温などの生命維持にかかわる自律神経のシステムの維持、調整
(2)食欲や制欲といった本能の調整
(3)喜怒哀楽の感情の調整
(4)睡眠や夢などを司る調整
重要な部位としては、記憶の働きをする海馬と感情を司る扁桃体があります。
大脳辺縁系にある海馬(かいば)とは?
大脳皮質の側頭葉の近辺に左右にひとつずつあります。
海馬の働きは、「記憶の司令塔」と呼ばれ、「覚えること」と「思い出すこと」の働きをします。
(覚える時の流れ)
感覚器官→大脳皮質→海馬で一時保存→海馬で要不要を判断
→必要な場合、大脳皮質に送り記憶
(思い出す時の流れ)
大脳皮質から記憶情報を取り出す
パソコンで言うと、海馬は短期的な記憶をするメモリ、大脳皮質は長期的な記憶をするストレージということでしょうか?
本書の冒頭に、「脳細胞は年をとってからも増え続けている」という言葉がありますが、近年の研究で、この海馬の部位が成長しているということがいくつかの研究で報告されているとのことです。そして、認知症は、海馬の萎縮が大きな原因だということなんです。
それほど、可能性がある、重要性の高い脳の部位であることが言えますね。
大脳辺縁系にあり扁桃体とは?
感情を司るのが扁桃体です。
「快か?不快か?」「好きか?嫌いか?」を大脳皮質に貯蔵された記憶を元に判断します。
また、目の前の出来事に関して、扁桃体で起きた感情が、短期的な記憶から長期的な記憶なるきっかけになるというのです。感情が伴った記憶は、いつまでも忘れない。自分の経験でもそう思います。
なので扁桃体はある意味記憶力にも影響を与えているということなんですね。
脳の解説についての紹介
もう少し、脳のしくみについて勉強したいなと思って、動画や記事をあさってみました。その中でわかりやすかったものをご紹介します。
ざっくり脳の機能を勉強したい場合
色々みて、中田あっちゃんの動画がざっくり知りたい方にはおすすめです。わかりやす例えを使って頑張って解説している分、尺が長いですが、楽しみながら勉強することができます。
解剖生理学的な解説
解剖生理学視点で、脳の構造を見ながら解説してくれるのがこの動画。国家試験対策用の動画のようです。
さらに専門的だがわかりやすかった解説
さらに専門的な記事がこちら。
管理薬剤師さん向けの記事でした。薬剤師さんもこんな勉強をするんですね。
物忘れを悪化させる要因はストレス
そうなんですね。
ストレスがかかると、活性酸素が自律神経の中枢域に発生して、脳の疲労感を増幅し、脳機能が悪化するというのです。
ストレスがかかると、色々とやることを忘れたり、集中できなかったりするのはこのせいなんでしょう。
今まで学んだ、感謝の気持ちとポジティブを持ち続ければ、ストレスをストレスと思わず、うまくストレスコントロールできそうですし、冷静というか穏やかな気持ちをずっと持ち続けることが大事だなと思います。
睡眠の重要性
記憶の定着は寝ている間に
本書では、睡眠と脳の関係は以下のことが言えると言っています。
このように年々進歩している睡眠と脳の研究では、いまだに解明されていない部分も多いのです。しかし、睡眠をとることによって、脳を覚醒させたり、休ませたりしながら、記憶の整理と定着を行っていることは、間違いありません。(P145)
寝る直前に、脳にインプットしたものは、寝ている間に脳に定着しているということなので、学生時代に寝る前に勉強していたのは理にかなった勉強のタイミングだったということですね。今で言うと、英語などの勉強も寝る前にやろうかなと思います。
そして、記憶の定着のためにはしっかり睡眠をとることが大事だということです。
質の良い眠りが脳内洗浄する
また、脳を休ませているノンレム睡眠時に、脳内の老廃物を処理しているとのこと。
脳には、カラダの老廃物を取り除くリンパ管はなく、違った老廃物を取り除くシステムが存在するとのことです。
神経細胞以外の脳の細胞が縮み、血管の外側に隙間を作って、そこに脳脊髄液がリンパ液となって老廃物を回収、静脈に流すというシステムだそうです。
脳の老廃物の中で、アミロイドβという物質がアルツハイマーの要因になっているとのこと。
質の良い睡眠時間が、アミロイドβの蓄積を防ぎ、ひいてはアルツハイマー病の予防にもなるというわけです。
そんなことを知ってしまったら、しっかり寝なきゃなと思いますね。自分は眠れないということもなく、朝早く目が覚めるということもないので、今は睡眠をしっかり取れているかなと思います。家系なんでしょうね。最近トイレに起きる頻度が多いのが気になるところですが。
脳の活性化に重要なタンパク質
三大栄養素と呼ばれる「糖質」、「脂質」、「タンパク質」のうち、頭をよくするには「タンパク質」をしっかりとることが大事だそうです。
細胞の材料になるタンパク質は、全身を構成する骨、筋肉、皮膚、髪、爪、内臓などの組織になります。その上、ホルモンや酵素だけでなく、脳の神経物質の材料になります(P168)
また、タンパク質は小腸で分解されアミノ酸になり、これも脳の神経物質の材料になると言うことで、頭を良くするにはアミノ酸の摂取も良いと言うことです。
タンパク質もアミノ酸も、ランニングなど運動後の筋肉の修復、増強というイメージがあったのですが、脳にも効くということなので、今後積極的に摂取することを心がけていきたいと思いました。
衝撃の事実 有酸素運動は脳に悪い
自分にとって、この部分が一番衝撃的な事実でした。
有酸素運動を長時間続けて、多くの酸素と脂肪を燃やすと、それだけ大量の活性酸素を発生させることになります。すると、身体に備わっている抗酸化機能では、まったく歯が立たなくなってしまい、活性酸素の悪玉の面が開花してしまうのです。(P203)
汗をかくような運動をしてしまうといけないというわけです。最適な運動は、汗をかかない程度の散歩、週1,2回の筋トレをオススメしています。
いやーランニングやりまくってますよ。汗もかきまくってます。このライフスタイルを変えるわけにはいきませんね。
有酸素運動をした場合に、活性酸素に対抗する抗酸化物質として、再び登場の「タンパク質」の摂取をオススメされています。
70歳くらいになったら、自然にランニングも厳しくなってくるとすると、自然と散歩+ジムでの筋トレというスタイルになっていくかなと思いますが、それまではランニング+積極的なタンパク質摂取で頑張ろうと思います。
また、この説に対する自分の持っている印象は全く逆なんです。ランニング中は意外と頭が冴えて回転が早く、いろんなことを思いつく気がするんですね。これはどういうメカニズムなのか?これからちょっと深掘りしてみたくなりました。
最後に
本書で、脳のしくみや、記憶に関すること、脳を活性化するためにタンパク質の摂取が重要だということを学びました。
また、脳について興味が湧いてきたことから、今後さらに少し深掘りしたいなと思います。