ノックアウトステージ進出に向けた大一番
グループステージの中でも、最強のライバルと目されている浦項スティーラーズ。2連勝と好調な流れで、浦和のホームでの対戦となりました。
しかし、浦項の方は連戦の影響で主力の2選手が怪我で離脱と、戦力的にはいい状況ではないらしいという事前情報。
とは言え、韓国のチームは日本に対しての敵対心はすごいものがありますし、最後の最後まで力の限り粘って勝とうとする精神力は半端ないものがあります。記憶に新しい昨年のACL準決勝での全北現代を思い起こしてもまさにそういうチームでした。なので、全く侮れないチームだと思っていました。
当日はショルツ選手の31歳の誕生日ということで、バースデーウインでお祝いしたかったのですが、まさかのスタメン落ち。やな予感がしていました。
結果的には、清々しいとまで思えるほどの完敗。フィジカル、スピード、メンタリティ、全てにおいて上回れました。もうここまで来ると悔しいという気持ちも湧き上がらないほど。
そして、試合終了後には、浦和の選手よりも多くの選手が倒れ込み、全員が力を出し切った印象を受けました。最後には、浦項の選手たちが浦和のサポーターに挨拶をするという礼儀正しさまで見せてくれました。これまでの韓国チームのイメージを払拭するような素晴らしい行動。浦項には、全てにおいて清々しいという感情しか残りませんでした。
ポジティブに考えると、浦和にとってみれば浦和の課題と現在地が明確になった試合だったと思います。いい勉強、経験になったと思います。この経験を活かして、厳しい日程ではありますが、次のアウエイで雪辱を晴らし、浦和のプライドを見せてほしいと思います。
浦項のマンツーマン気味のプレスに苦しむ
試合開始早々から、ビルドアップがうまくいきませんでした。
浦和の選手に対して浦項の選手たちの距離が近く、マンツーマン気味にも見えました。加えてフィジカルコンタクトも強烈なものがあり、浦和の選手からボールを奪っていきます。それも、昨今のJリーグで見られる、遅れて後ろからアタックして怪我をさせるような守備ではなく、フェアな形でボールを奪っていきます。
そんなプレスに対して、岩尾選手のように柴戸選手が2人のディフェンダーの間に下がってビルドアップしようと頑張るのですが、受け手もしっかりマークされていて前進することが難しい状況でした。
スタメンで出場した岩波選手が、持ち味である縦パスを通して前進しようとするものの、ワントップで起用されたリンセン選手になかなかうまく通すことができません。
前半では、右サイド、後半にはワントップのポジションでプレーした利樹選手も、前線でのポストプレーヤー、裏に抜けるプレーでボールを引き出そうとしますが、相手ディフェンダーの強烈なフィジカルに対し、なかなかバトルに勝つことができませんでした。
鋭いハイスピードカウンター2発に沈む
浦項の選手のゴールに向かうスプリントは鋭かった
浦和が攻撃している最中にボール奪取した際の、浦項の選手たちのゴールに向かうスプリントは鋭いものがありました。これは、韓国サッカーの伝統というべきものでしょうか?本当に怖いものがあります。
21分に、右サイドの位置の利樹選手が、浦項のゴールキーパーのドリブルを2度追いします。北ゴール裏から、その後ろ姿がはっきり見えていましたが、浦和側から見て左サイドまで追っかけて行った時に嫌な予感がしました。これ、追いすぎじゃないか?と。
そう、利樹選手のポジションがぽっかり空いているのです。リンセン選手が遅れて気付き戻ったのですが、浦項の選手のスピードについていけず、ハイスピードカウンターを食らうこととなります。最終的には、大畑選手がついていた選手が体を入れてゴール。先制点を許してしまう形になりました。
後半開始早々の49分、後半に投入された中島選手がボールロストし、そこをきっかけにまたしても浦項のハイスピードカウンターが発動。サイドチェンジされて、またしても大畑選手が追っかけますが、センタリングされて、左サイドにいた選手に決められ万事休す。
選手交代で攻撃を活性化しようとするも得点を奪えず
58分にリンセン選手に変えて大久保選手を投入し、前線での保持率を上げチャンスを増やそうとします。62分に大久保選手がドリブルで持ち出し、クサビのパスを中島選手に打ち込み、戻りを敦樹選手がシュートできず。そんな惜しいシーンが増えてきます。
浦項の選手たちもこれまでのハードワークで徐々にプレスが緩くなり、浦和が押し込む時間が増えていきます。
67分に怪我から復帰した明本選手が佳穂選手に変わって投入。そこからフィジカル勝負を厭わない明本選手が可能性があるプレーを繰り広げてくれます。しかし得点には至らず。
終盤には、3本のサイドからのセンタリング(87分、88分右からの酒井選手、92分左からの大畑選手)に全て中に詰める選手がいないシーンを目の前で見せつけられて、悲哀を感じました。
試合終わってみて
浦和視点で考えると、ショルツ選手、岩波選手、カンテ選手という現時点でのチームの中軸の選手が出場しなかったのが痛かったと思いました。
特に岩尾選手。相手のプレス強度に対して単調な攻撃にならざるを得なかったため、もし岩尾選手がいたら、攻撃の糸口が見つけられたと思います。左右に振るロングフィードで、相手の左右の裏にボールを供給してくれて、相手ラインを押し下げ、マンマーク気味のハイプレスを緩和することもできたでしょう。そして、カウンターを受けた時にも、早めにその気配を察知して、プロフェッショナルファールで止めてくれていたんじゃないかなと思います。
またショルツ選手は、柏戦の試合終了後の場内を回る挨拶の際にいなかったので、自分は違和感を感じていました。帰宅後にDAZNで見返してみると、ベンチでスタッフと話をしているシーンが映っていました。怪我でなければいいんですが、、、
3選手とも、鹿島戦も見据えたコンディション調整なのか?はたまた問題を抱えているのか?わかりませんが、今の浦和には欠かせない柱の選手たちが出場しなかったことが、この試合に大きく響いたと思っています。
印象的だった選手たち
終盤のキーマンだ!! 明本選手
この試合で唯一希望だったのは明本選手。浦和の選手は軒並みフィジカルバトルで浦項の選手に負けていましたが、明本選手だけは違いました。
78分に中島選手のこぼれ球をシュート、83分に中島選手のスルーパスを受けて突破しようとしたシーン、86分に相手選手のファールにクレームを言おうと近づくとレフェリーに止められたシーン。次々と頼もしさを感じるプレーを見せてくれました。
怪我明けなので徐々にコンディションを上げて行ってほしいと思う反面、次は鹿島とまたフィジカルバトルが大事な相手との戦いとなります。明本選手がスタメンで出場するようであれば、早めに得点を取って、明本選手が怪我しないでいいように早めに交代できる試合展開になるのを望みます。
貴重な存在! 中島選手
ボールのトラップが大きくなったり、ドリブルにキレがなかったりと、まだまだコンディションが上がっているようには見えません。しかし、攻撃のカードとしては大久保選手と同様、貴重な存在であることがわかります。違いの出せるコンディションレベルにまで早く上げてもらって、浦和のクラブや選手にかかるプレッシャーを少しでも下げてくれる存在になってくれるのを期待しています。
どうした!! 大畑選手
今回、試合を通して大畑選手のポジショニングにクエスチョンマークでした。守備のバランスを崩すようなポジショニングに見えたのです。
特に前線まで上がっているシーンが多く見受けられました。それによって得点につながる攻撃ができていればまだしも、相手のハイスピードカウンターをくらって、必死で相手選手を追っかけているシーンを何度となく見ました。(21分の失点シーン、32分、45分、49分の失点シーン。)
先制点のシーンで相手のカウンターの鋭さを学んでいたはずなのに、それ以降もどんどん前に出て、守備をおろそかにしてしまっていました。結果、必死で追いかけることに。
サイドバックですから守備が第一の仕事であり、相手の特性を理解した時点で自重して欲しかった。その守備の穴を、柴戸選手や佳穂選手が必死でカバーしていましたし。
勝手な想像ですが、左サイドバックとしての序列としては、明本選手、荻原選手について3人目であると考えられ、大畑選手は、来年のパリ五輪出場のためにも自分らしさをアピールしないといけないという焦りがあるんじゃないかと思います。それが逆効果となっている気がします。
昨年のような安定した守備を見せてくれた上で、タイミングよく前に上がっていくのが大畑選手の持ち味なんじゃないかなと思います。もう一度原点に戻って、大畑選手らしいプレーを取り戻してほしいと思います。期待しています。
次の試合は、リーグ鹿島戦
次は、明日、カシマスタジアムに乗り込んでの、鹿島アントラーズ戦です。
重要な局面でなぜか回ってくるこの対戦カード。優勝するためには、まさに勝利がマストの試合です。
バチバチにくるはずの鹿島ですが、今回浦項とのフィジカルバトルを経験したことで、鹿島のプレッシャーが楽に感じる気がします。そうポジティブに考えたいと思います。
我が家を代表して娘がバスツアーで参戦します。
勝ち点3をもぎ取りましょう!!
※なお、本記事の写真で、自分で撮影した写真以外は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。