クラブワールドカップ 3位決定戦
マンチェスター・シティとの戦いで完敗を喫した浦和。
次なる試合は、3位決定戦、アフリカクラブ代表のアルアハリ戦です。
これが、今季の最終戦。過密日程との戦いを強いられ、本当に満身創痍な状態で迎える60試合目。
そして、条件的には厳しい状況での対戦となったのです。アルアハリは中3日に対し、浦和はマンチェスターシティ戦から中2日。加えて、アルアハリはエジプトのクラブであり、サウジアラビアの隣(対岸)の国で、同じような気候であることから考えると、浦和の方が気候変化に対するダメージが大きいはず。
しかし、マチェイ監督、カンテ選手、シャルク選手とチームを離れることが決まっているメンバーもいて、このメンバーでやれる最後の試合ということで、厳しい状況ではありますが、有終の美を飾って欲しいものでした。
守備はある程度機能していたが、力の差は歴然だった
前半立ち上がり10分は攻勢だったが
立ち上がりは、テンポ良くボールを回して浦和のペースでした。対してアルアハリは、ワンツーパスがずれたりと不安定な立ち上がりでした。
この時間帯で得点しておきたかった。0分の佳穂選手からの関根選手へのスルーパスが、うまく関根選手が収められなかったですがチャンスでした。1分の敦樹選手の持ち上がりから、ゴール前の安居選手にクロスを上げましたが、安居選手のシュートは枠外。6分のコーナーキックで岩尾選手からカンテ選手へと渡ったボールをカンテ選手がダイレクトで打ちますが枠外。この中で一つでもゴールが入っていたら違う展開になっていたはずです。
カンテ選手も疲労を感じる動きと、相手選手が3人で囲んでくることで、うまくボールを収められず、段々と相手ペースになっていきます。
18分に、相手の鋭いミドルシュートを西川選手がたまらず真上に弾きましたが、詰めてくる相手選手に対して、浦和の選手は誰も動かず。動けなかったのか?わかりませんが、勢いの違いを感じる失点となってしまいました。
それからは、劣勢を挽回しようと、ボール回しが速くなってきて、裏のスペースにすばやく出すパスが増えてきます。
24分にショルツ選手から安居選手にパスが渡り、ワンタッチで裏のスペースへ。しかし、そのスペースには誰もいなく、息の合わないプレーが目立ちました。
するとその直後、ショルツ選手が目の前の敦樹選手にショートパスを送ったところ、狙っていた相手選手に詰められボールを奪われてしまいます。それをゴールまで運ばれ失点。さらに苦しい展開になってしまいました。
それからは、佳穂選手が頑張るのです。走り込んで、相手DFを引き連れカンテ選手のシュートスペースを生み出す。裏へ走り込んで、関根選手のパスを受けようとする。相手のパスをカット。
そんな奮闘が身を結ぶ時が来ます。42分、佳穂選手が右サイドの酒井選手にフィードしその折り返しをカンテ選手がダイレクト理不尽ゴールを放ちます。
1-2と後半に可能性を残す前半となりました。
後半に入ると追いつくも突き放され敗戦
後半は、関根選手、岩尾選手に代えて、中島選手、リンセン選手を投入し、攻撃の活性化を図ります。
すると、45分に、佳穂選手、カンテ選手、敦樹選手、リンセン選手とつなぎ、リンセン選手の絶好機。キーパーのポジショニングもよくスペースが残っておらず、残念ながら僅かに枠外。しかし可能性を感じる立ち上がりになりました。
そして50分、リンセン選手のヘディングシュートを相手DFが手に当ててハンドの判定でPK獲得。ショルツ選手は、ど真ん中という珍しいコースに蹴って、追いつきます。
しかし、この日はまたしても不運が試合の流れを変えてしまうのです。59分、相手選手のシュートは枠外の方向に飛んでいましたが、そのコースに立っていた佳穂選手にあたり、ゴール方向に軌道を変えてオウンゴール。今回は、シティ戦のマリウス選手といい、不運なオウンゴールが多かったのは残念でした。
64分に、酒井選手、佳穂選手に代わって、荻原選手、シャルク選手を投入します。
すると72分に荻原選手がペナルティエリア内で手を使ってファールを犯し、PKを献上。しかし、西川選手がPKキックをキャッチし、ピンチを救います。
84分のコーナーキックのこぼれ球をショルツ選手がシュートするものの、相手GKにキャッチされるなど、惜しいシーンが続きます。
するとロスタイムにフリーキックを与え、それを見事に決められ万事休す。2−4で敗戦となりました。
アルアハリも強かった、見習うところが多かった
正直、立ち上がり10分は、アルアハリは大したことないなと思っていました。しかし、試合を通して、さすがアフリカクラブ王者だなと感じさせてくれました。
攻撃の迫力
一言で言うと、ゴールを狙う大切さを教えてくれた気がします。
ペナルティエリアに近づくと全体が連動してスピードアップし、足を止めることがありません。なのでファールして止めるリスクが増えてしまいます。攻撃に迫力を感じます。
そして特筆すべきは、シュートスピード。ミドルレンジから、お構い無しに鋭い、無回転シュートをどんどん打ってきます。
また、危ないセンタリングをゴール前に放り込み続けます。それも精度が高い。逆に言うと今の浦和にはそれがない気がします。
これらのことは、残念ながら今の浦和にはない特徴だと感じますし、来期以降、浦和の攻撃がヘグモ監督によって改善することを祈ります。
鋭いサイドチェンジ
浦和は、サイドで人数をかけてボールを取り切ろうとしますが取りきれず、うまくサイドチェンジされて、ピンチに陥ります。これは今今の戦術での弱点ですね。浦項や、福岡にそこを見破られ何度もピンチになっていましたから。
そしてアルアハリのサイドチェンジは、低く速いボールなんです。なので、時間的によりピンチになりやすい。何度、左サイドの21番の選手がフリーになってしまったことか。
ボールの取りどころを絞っていた印象
キーマンの選手には、徹底的に3人で囲む守備をしていましたね。
カンテ選手は常に3人でマークされ、ポストプレーをさせてもらえませんでしたし、中島選手も65分に囲まれていました。
また、ビルドアップ時後ろ向きでボールを受ける選手へのアタックを徹底していましたね。敦樹選手は、最初に16分にやられていましたが、それが失点の芽だったのかもしれません。24分にはショルツ選手のパスをもらった時に狙われ失点に繋がりました。
現在地と目指すべきところが明確になった試合
この試合で、今の浦和の足りない部分が浮き彫りになった気がしました。
ミドルシュートが少ない
跳ね返ってカウンターを受けるリスクを避けていると思われますが、浦和はミドルシュートが少ない。正直、この試合の佳穂選手にリフレクトしたシュートがコールになったように、ゴール前では何が起こるかわかりません。積極的にミドルシュートを狙うべきじゃないか?と思います。
サイドに追い込みボール奪取できないとピンチ
アルアハリの良いところのところでも話しましたが、浦和はサイドに人を集めて取り切らないと、サイドチェンジされてピンチになる弱点を持っています。
来季は監督が変わり、戦術も変わっていくと思いますが、守備にこの戦術を継続するならば改善すべきポイントじゃないかと思います。
体力的に厳しくなると前後分断になってしまう
この試合の後半は、前線にフレッシュな選手が入ったことで、前線でのプレスは活性化したものの、守備側の体力的な問題からラインを上げられず、前後分断気味になり、中盤のスペースを相手に使われていました。ここも来季どうやっていくのか?気になるポイントではありました。
力強いメンタリティーが今季の成長の証
課題は見えたものの、コンディションが良ければそれらは大きな問題でもなかったかもしれません。
しかし、満身創痍で迎えた試合で苦しい中でも、最後まで戦い切った。失点しても追いつく。
そして77分にショルツ選手が攻撃参加した時にボールを奪われピンチになったシーンで、必死でカバーしたリンセン選手。
この力強いメンタリティが、今季の成長の証だなと思いました。
2023年シーズンお疲れ様でした
この試合で、2023年シーズンは終了となりました。
マチェイ監督、カンテ選手、リンセン選手とチームを離れることが決まっている人達に加えて、これからチームを離れる方々も順次発表されていくと思います。それらの方には、一生懸命戦ってくれてありがとうと感謝の気持ちと、お疲れ様でしたと労いの言葉を送りたいと思います。
そして、クラブに残る皆さんには、束の間の休息をしっかり取って、来年に向けたパワーを蓄えてほしいと思います。
※なお、本記事の写真は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。