いよいよ世界との真剣勝負開幕!!
史上最大の送り出しの後、いよいよ世界各地域のクラブ代表が集い、世界一を決める決定戦、クラブワールドカップがサウジアラビアで開幕しました。
浦和は、初戦、北中米代表のクラブ・レオン(メキシコ)との対戦。
メキシコのサッカーの現状は全く知らず不気味な印象でしたし、メキシコの代表チームは過去のW杯でも好成績を残しているだけに厳しい試合になるであろうと思っていました。
しかしながら、浦和はメンタリティが復活してクオリティの高いプレーを見せてくれたのでした。
メンタリティの復活とクオリティの高いプレー
選手たちは、並々ならぬメンタリティでこの試合に臨んでくれていたのがよくわかりました。それは、
・Jリーグと今年のACLグループリーグのスケジュールを消化し、一区切りついた状態
・このクラブワールドカップで、世界の強豪クラブと対戦できるワクワク感や世界一になれるチャンス
・サポーターの強烈な送り出し
などあって、消耗していたメンタリティが強烈に復活してくれたのだと思います。そして、今シーズンのいい時のクオリティの高いプレーを見せてくれました。
前半、相手との距離感が良い安定した守備を展開
試合開始から、良い時の守備が復活してきた気がしました。相手との距離を常に適切に取り、相手に自由にさせないディフェンス。そして攻撃から守備のトランジションの速さが目立ちました。13分にコーナーキックのこぼれ球を、佳穂選手が素早く回収したところが象徴していたと感じました。
正直、ハノイ戦はパスのスピードが遅く精度が悪くて、中2日での移動でもう疲労困憊なんだろうなと思っていました。しかし今回は、チーム全体としてスピードのある精度の高いパスが通っていたので結構安心して試合を見ることができていました。
攻撃では、ショルツ選手をはじめとして、しっかりと縦パスを差し込みながら攻撃を組み立てます。21分には、敦樹選手に向けてと、関根選手に向けて、続けざまに2本縦パスを打ち込みます。ショルツ選手は、77分のシャルク選手のゴールの起点となるパスも出しており、守備だけではなく、攻撃の起点になって大活躍だったと思います。
レオンは、ディフェンスラインでパスを回すも、浦和の前線の効果的なプレスに苦しみ、うまくビルドアップできません。パススピードも遅く、浦和の守備をかわせず、結局ロングボールを蹴り込むか、可能性のないロングシュートを打つしかないほどでした。うん、これはいけると思ったのでした。
18分、佳穂選手が左サイドの位置から相手ディフェンスラインの裏に絶妙なパスを供給し、それを大久保選手が受けてキーパーと一対一に。シュートは残念ながらキーパーに阻まれましたが、前半の決定機でした。
後半、ついに先制、その後逃げ切る
後半に入って、立て続けに危ないファールを受けます。46分に明本選手、50分に大久保選手、53分にカンテ選手。前半はそれほど強度高いプレーをしていなかったレオンの選手たちでしたが、後半ギアを上げてきたようです。それにしても浦和の選手たちの怪我が心配でした。
それでも形勢は変わらず、レオンがボールを持つとバックラインで回す時間が長いままだったのです。
71分に勝ちを決めに行こうとカードを切ったマチェイ監督。敦樹選手、大久保選手に変えて、中嶋選手、シャルク選手を投入します。このカードが的中。
そして、77分、ついにゴールが決まります。ショルツ選手からのシャルク選手、カンテ選手に渡り、カンテ選手のパスがシャルク選手に渡って、キーパーと一対一に。ディフェンダーが戻ってくるも、シャルク選手が冷静に決めてゴール。
このシーン。よく見てみると、シャルク選手がシュートを蹴る時に、顔を背けていたんですね。理由は、シャルク選手の後ろから戻ってきた相手選手が、キーパーの正面に来てぶつかりそうになったからだと思うんです。でもそんな幸運もありながらのゴールだったと思います。
その後もシャルク選手は、82分、88分のシュートや、85分のフリーキックと、短い中でも多くチャンスを演出してくれました。素晴らしい活躍でした。
終盤はさすがに疲れて、防戦一方になりましたが、しっかり守り切っての勝利。次戦、マンチェスター・シティとの真剣勝負の権利を得ることができたのです。
印象的だった選手
(佳穂選手)マンオブザマッチを獲得するほどの活躍
佳穂選手は、シーズン終盤に来て毎試合逞しさが増してきたのがわかり、何かメンタル的にも吹っ切れたような印象を受けました。
この試合はもう、素晴らしい活躍でした。
・前線での有効な守備、それを支える運動量
・相手がフィジカルで挑んで来ても負けない力強さ
・迷わずワンタッチパスが出せる判断力
・決定的なラストパス
本当に、今年の成長を全て披露してくれた集大成のプレーだったと思います。
自分にとって最も印象的だった選手ではありましたが、まさかのマンオブザマッチ。FIFAの方は本当にみる目があるなと思いました。きっと先入観なく純粋に選んだ結果なんでしょうね。
次の試合も、「あの金髪は誰だ?」と世界に印象付けるプレーを続けて欲しいと思います。
(シャルク選手)マリッチを彷彿とさせる活躍
シャルク選手は、もう自信を持ってプレーしていますね。もう吹っ切れている印象を受けます。そして、このクラブW杯というサッカー選手として貴重な舞台をポジティブに楽しんでいるようです。試合前にリンセン選手といい予感がしてるという趣旨のコメントをしていました。そんな人間に幸運が訪れるのです。まさに以前読んだ予感力に書いてあった内容です。
本当に最後の最後で、浦和に貴重な置き土産をしてくれてありがとう。本当に契約延長のない中、天皇杯で大活躍したマリッチ選手を彷彿とさせるプレーでした。このゴールで、マリッチ選手のように、一生語り継がれる、記憶に残る選手になったと言えると思います。
(安居選手)久々のトップ下でのプレーは素晴らしかった
敦樹選手の怪我もあり、最近の試合では、本職のボランチでのプレーが続いた安居選手。久々にトップ下でのプレーでしたが、相手のビルドアップを難しくさせる効果的な前線の守備が印象的でした。
また、攻撃面でも、前線でのキープして明本選手の上がりをサポートしたりと、周りとの連携を見せながら存在感のあるプレーを見せてくれたと思います。
あと2試合、貴重な経験となる試合をしっかりプレーして、今後の成長につながる糧にして欲しいと思います。期待しています。
“Urawa supporters are amazing!!”
マチェイ監督もそう語っていたように、サウジアラビアに乗り込んだ400人と言われている浦和のサポーターは本当に素晴らしかったです。
なんといってもその声量。
試合開始直後からのスタジアムに響く彼らの声をテレビで聴いていると、うるうるしてくるほど、心を揺さぶられました。次回の大会では、その場にいたいとさえ感じました。
次の試合では、より世界中の人々が視聴する試合となるに違いありません。浦和サポーターここにありというのを示してくれるような素晴らしい応援をお願いします。期待しています。
次は準決勝マンチェスターユナイテッド戦
この試合を勝ち上がった結果、あと2つ、試合をすることができることになりました。
・準決勝 対マンチェスター・シティ
・決勝戦か3位決定戦(アフリカ大陸代表アルアハリか南米代表フルミネンセ)
この2試合は、クラブにとっても選手たちにとっても、将来の発展に向けた重要な試合となります。この貴重な体験を余すところなく今後に活かすためにも、精一杯、納得できるまで戦って脳裏に焼き付けて帰ってきて欲しいと思います。
※なお、本記事の写真は、自分で撮影した写真以外は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。