ルヴァンカップ準決勝です
浦和は、旧ナビスコカップ、現在のルヴァンカップは、2003年、2016年に優勝。
最近は惜しいところまで来たものの、ここ2年連続で天敵とも言えるセレッソ大阪に準決勝敗退。悔しさを感じる大会となっていました。
しかし、今年のルヴァンカップはなんとなく違う。自分の印象ですが、なんとなく流れが来ている予感がしました。グループステージでは引き分け続きだったのにプライムステージに進めましたし、天敵セレッソはグループステージ敗退。プライムステージはいま相性のいいガンバ大阪に勝ち切って準決勝進出。対戦相手の横浜Fマリノスには、直近のリーグ戦では引き分けではありながら、内容で圧倒した相手。期待せざるを得ません。
しかし、アウエイでの第1戦は、内容としては優勢で進め、しっかりとした組織的な守備から、サイドでのワンツーによるスピード感のある攻撃で相手を苦しめたと思います。しかし、不運なPKによる失点。前半を0-1で折り返す形になりました。
第2戦は、ホーム埼玉スタジアム。午前中の大雨は、試合開始が近づくにつれて上がってきて、やはりいい予感しかしない試合となっていきました。
そして、最終的には実力で勝ち切って、前年度のチャンピオンのマリノスに対して、完全に潮目が変わって優位に立った!!と感じた試合となりました。
前半から集中力が高かった
試合開始早々から、チーム全体の強靭なメンタリティを感じました。全員でのプレスの意識と鋭さで相手に自由にさせない。そして組織的な連動した守備でボールをからめとる。攻撃に移行しても、有効なサイドチェンジや縦パス、ワンツーパス、ワンタッチパスでの細かいパス交換と、マリノス相手とは思えないほど、自由で多彩な攻撃を展開。ゴールにはなかなかつながりませんでしたが、明らかに優勢な前半でした。
15分、カンテ選手の秀逸なポストプレーから、パスを横で受けた早川選手のシュートで先制!!と思いきや、オフサイドの判定。しかし、後で映像やいろんな写真を見ると、明らかに上島選手の方が残っており、オンサイドにしか見えませんでした。野球や相撲は、際どい判定の場合、審判が場内に説明することがあります。サッカーも、レフェリーがどこがオフサイドなのか?をしっかり説明する責任があると思います。若い早川選手の将来がかかった重要な判定だとも思いますから。
27分の永戸選手のミドルシュート、38分の西村選手のミドルシュートはありましたが、危ないシュートはそれくらいで不安のない素晴らしい守備でした。前半の終盤はおせおせだっただけに、前半で1点とって追いついておきたかったです。
後半はもう圧力をかけまくって浦和優勢に
そして後半。北ゴール裏の魂の歌「歌え浦和を愛するなら」に勢いをもらった選手達は、圧倒的に攻め続けます。
利樹選手がカンテ選手と2TOPとなり、相手の守備を困惑させ、こぼれ球も確実に拾って攻撃に繋げます。
両サイドの関根選手、荻原選手が積極的に上がってセンタリングや相手の背後への進入を繰り返し、チャンスを作っていきます。
そして、15分、佳穂選手の縦のショートパスに走り込んだ荻原選手がシュート。キーパーがクリアしたボールを拾おうとした早川選手が永戸選手に倒され、PK獲得。それをショルツ選手が、いつもと違う右サイドに見事に決めて、合計で引き分けの状況に持ち込みます。
そこからはもうさらに優位な展開に。連携した素晴らしい攻撃がいくつも繰り広げられましたが、なかなかゴールを奪えず。
後半26分に佳穂選手、早川選手に変えて、大久保選手、興梠選手が投入されてからは、さらに圧力を強めます。右から大久保選手のゴールラインギリギリまで攻め込むシーンが多くみられたり、荻原選手も攻め上がってからの左からのセンタリングが増えてきます。
そしてついに、後半42分に、左ポケットまで進入した荻原選手のセンタリングに、たまらず實藤選手が手を出してしまい、PKを獲得。またもショルツ選手が、いつもの左側(インタビューで”My side”って言ってましたね。)に決め逆転!!
その後、ロスタイムに宮市選手の鋭いシュートもありましたが、さすがの西川選手が左手一本で弾き出し、ゴールを割らせず。2戦合計で逆転し、2016年以来の決勝進出となりました。
マリノスに完勝できたことが嬉しかった
自分としては、7年ぶりにルヴァンカップ決勝に進んだということよりも、横浜Fマリノスに実力で勝ち切ったことがすごく嬉しかったのです。
しかも、怪我人が多く、酒井選手も出れないというハンデがある状況で。
ここ数年、リーグ優勝するなどマリノスが強く、リスペクトしすぎるきらいがあって気後れしていた気がします。それがこの3年計画での積み上げ、今年に入ってのマチェイ監督の作り上げてきた組織的、戦術的なチームが熟成されてきて、メンタリティとクオリティ両面で昨年のチャンピオンチームを実力でうち負かせるくらいのレベルに達したことが証明できたと思います。
そんな意味で、明らかに潮目が変わったと感じました。F1で例えるならば、7回のワールドチャンピオンであるハミルトン選手の時代から、フェルスタッペン選手の時代が来たかのような。ちょっと大きく出ましたが、そんな感想を持ちました。
印象的だった選手たち
縦横無尽な右サイドバック!! 関根選手
スタメンを見て、酒井選手の出場停止の代わりに、関根選手が右サイドバックを務めるのを知った時、正直大丈夫か?と思ってしまいました。関根選手ごめんなさい。
それが、終わってみれば、まさに関根選手の日だったと言える圧巻のプレーを披露してくれたのです。
関根選手のプレーを挙げてみますと、
(前半)
・2分 早川選手へのフィード
・5分 西川選手からのボールを受けて、左サイドの荻原選手にサイドチェンジ
・7分 中央にドリブルで切れ込みシュート
・14分 ショルツ選手からのパスを受けて、サイドチェンジ。荻原選手、カンテ選手、早川選手と繋がった。
・26分 中央に絞った関根選手がボランチの位置でボールを受ける
・27分 エウベル選手との一対一に勝利
・40分 またもボランチの位置でマリウス選手のボールを受ける
・44分 利樹選手のボールをワンツーで返し、ボールを進める
(後半)
・1分 利樹選手に縦パスし、利樹選手のセンタリングに繋げる
・7分 裏に抜けて佳穂選手のパスを受けてセンタリング
・9分 ショルツ選手の縦パスを受けて佳穂選手に配球
・12分 エウベル選手の守備アタックに、冷静にボールキープ
・14分 ショルツ選手の縦パスを受けてセンタリング
・21分 中央の利樹選手へクロス
・25分 西川選手のキックを、荻原選手、早川選手、カンテ選手、岩尾選手と繋ぎ、関根選手がクロス。そのクリアボールを岩尾選手がミドルシュート。流れるような攻撃。
・32分 大久保選手が関根選手にあててえワンツーで前進しポケットに進入。
・49分 宮市選手にドリブルで振り切られる。流石に疲れました。
なんとも、素晴らしいプレーの連発。しかもミスがほとんどない。
ポジショニングは、ベースの左サイドバックとしての守備位置から、ボランチの位置まで絞ったり、攻撃の部分では中央に進入したり、サイドに張ったりとまさに縦横無尽。
守備面での不安は全く感じさせず、対峙するエウベル選手に対し1対1も負けませんでした。
攻撃面では、サイドチェンジを狙ったりと攻撃の組み立てをしていたと思いきや、ショルツ選手からの鋭い縦パスを受けてしっかりキープしたり、ワンツーなどで味方を前進させるプレーをしたりと、周りとの関係性も素晴らしく、多彩なプレーを連発するのです。
関根選手の新境地を見たと思いました。
イマジネーションあふれるプレーが復活!! 佳穂選手
いい時の佳穂選手にかなり近づいてきたと感じました。
なぜならば、ワンタッチパスやフリック、スルーパス、中央でのスルーなど、イマジネーションあふれるプレーが戻ってきたからです。
またサイドチェンジやクロスの精度も上がってきていますし、関根選手同様、周りとのコンビネーションも明らかに上がっています。
そして、それを可能にしているのがメンタル、フィジカル両方の向上だと思います。本当に強くなった。守備面でのハイプレスは、佳穂選手をきっかけに始まっているようにも見えますし、何せ鋭く、2度追い3度追いをしてくれます。また、ここ数戦、持ち過ぎた結果、ハードなプレスにあって飛ばされるシーンが多かったのですが、この試合では判断よくボールを処理して相手を寄せ付けません。なので、相手が不用意にアタックできなくなってきているのです。
今後も、この好調をキープしてくれることを願っています。
逞しさが増した!! 荻原選手
アウエイ第1戦では、不運にもPKを献上してしまった荻原選手。
この試合でその悔しさを吹き飛ばすほどのみなぎるプレーを見せてくれました。
特に後半は、前線に駆け上がるシーンが明らかに増えチャンスを演出し続けます。
15分、42分のPK獲得のシーンは、荻原選手の前線でのプレーがなければ有り得ませんし、本当に男気というか、まさに浦和を背負う責任を感じました。
そして、ヒーローインタビューで見せた涙。もらい泣きしてしまいました。オギ、ありがとう!!
そして印象的だった岩尾選手、マチェイ監督の言葉
浦和のGMになる将来が見えた岩尾選手の言葉
岩尾選手の試合後のコメントです。
自分たちが歴史をつくっていくんだという気概、自分たちがレッズでサッカーをして世の中をあっと言わせてやろうというような気概を一人ひとりが持つことでプレーも変わってくると思います。プレーが変われば組織が変わってくると思いますし、組織が変わってくれば結果も変わってくると思います。目の前の試合で勝つとかタイトルとかも非常に大事ですし、もちろん獲りたいですが、もっと大きな概念で取り組んでいけると、個人の力、クオリティーはそもそも高いチームですので、それを最大値まで発揮できる要因になると思います。そういう意味では今日、全体の気概を感じました。第1戦で0-1だったこと、宏樹が出られないことも含めて、ロッカールームでのマチェイ(スコルジャ)監督の言葉もそうでしたが、全体が勝利する、何とかファイナルに行くという気持ちで試合に向かっていくパワーがあったと思います」
もう思考がGMレベルにまで達してしまったような言葉。まさに大きな概念です。2年目の選手の言葉とも思えませんし、そもそも選手の語る言葉でもありません。浦和のレジェンドのような言葉にも思えます。
確かに、チームに一体感をもたらすのは、目先の優勝を勝ち取るだけではなくて、その結果、クラブが今後どういう歴史を刻んでいくのか?どんなクラブに成長していくか?成長すべきか?そしてサポーターにどんな幸せを提供するか?までイメージして共有することによって、より一体感が増します。それは一般企業と同じだからです。
自分が思うに、土田SDから「浦和を背負う責任」という言葉をブレークダウンされてはいると思いますが、その意味合いを本当に理解できているか?心配になります。それについて選手それぞれがブレーンストーミングして自ら考えて共有することをすることが、チームとしての一体感を生み出すことにつながるようような気がします。また、25周年のDVDを改めて見直して、浦和の歴史を学んだり、OB達の話が聞ける会を設けたりして、精神面での充実も図ると良いのかなと思いました。
いづれにせよ、そんな発言をする岩尾選手がGMになる将来が見えたこの言葉だったと思いました。
選手に勇気を与えるマチェイ監督の言葉
そして、マチェイ監督の試合後のインタビューの言葉。
自分たちが望めば、どのような目標も達成できるということを証明した。
選手が聞いたら、本当に勇気をもらうような素晴らしい言葉だと思いました。
補強がどうこういうより、お金を使うところの第一優先は、マチェイ監督であるということは、サポーターみんなの共通理解であり、心底から長期政権を望みます。
次の試合は、リーグ柏戦です
次の試合は、引き続きホームでのリーグ柏戦です。
柏は、犬飼選手が移籍してから守備面の弱点が改善されて好調をキープしていて、降格争いの位置にはいますが侮れない相手です。天皇杯決勝に進んだこともそれを表しています。
しかしながら、毎回言っていますが、リーグ優勝に望みを託すためにも、勝ち続けるしかありません。マリノスを実力を倒した実力を見せつけてきっちり勝ち、上位陣にプレッシャーをかけ続けましょう!!
※なお、本記事の写真は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。