主力選手流出のアナウンスのあった直後の試合
前節のアウエイ名古屋戦は、後半戦の初戦でした。鹿島戦後半から採用した4-2-3-1、ダブルボランチが功を奏して、しっかり勝利。この流れをしっかり繋げて、今節も勝って連勝といきたいところでした。
しかし、その翌日木曜日には、酒井選手やショルツ選手に続いて、岩尾選手の移籍のニュースが飛び込んできました。名古屋戦での勝利の余韻はどこか吹っ飛んでいってしまい、数日はモヤモヤ/どんよりといった感情で心が埋め尽くされていました。
そんな中での今節の磐田戦。
相手がどうこうというよりも、このモヤモヤを吹き飛ばす試合を見たいのと同時に、いい形でショルツ選手・酒井選手のセレモニーを迎えたいという気持ちでいっぱいでした。
結果的には、その希望通りの完勝、快勝!!モヤモヤを吹き飛ばす、新しい時代の幕開けとも言える試合でした。そしてショルツ選手・酒井選手のセレモニーを無事良い形で終えることができました。
試合前の様子
離脱の3選手の選手紹介のボードがもうない
埼スタ、バック側のコンコースに今年設置された、選手紹介のボード。最初に見たときは、なかなか良いアイデアだなと思っていました。
しかし、この試合では、それが寂しさを募らすこととなったのです。
既に、離脱の3選手のボードがしっかりなくなっていました。
ソルバッケン選手も、契約期間が切れてこの試合でチームを離れそうなので、写真を撮っておきました。
試合全体を通して
リーグ前半戦、自分が思う浦和の課題は、こうでした。
①選手たちが窮屈にプレー
②守備組織が見えない
③チーム全体に感じる勝者のメンタリティ不足
④立ち上がりに相手ペースになってしまい、先制点を許してしまう
しかし、この試合では、前半戦の課題を見事にクリアした試合を見せてくれました。
①選手がよどみなく、いきいきプレーしていた
これまで4-4-2で守る相手には苦戦していた浦和。しかし、この試合では、いつの間にか得意になっていたとしか思えないほどのプレーを見せてくれました。
磐田は、名古屋と同様に浦和のアンカーシステムを想定した守備をしていたように見えました。ペイショット選手とジャーメン選手が並列に並び、ボランチへのパスコースを消そうと守備していましたが、その後ろには安居選手と敦樹選手が2人いるため、容易にパスがつながります。
また、凌磨選手とソルバッケン選手が流動的によどみなくプレーすることで、磐田の選手の守備を明らかに撹乱させていたと思います。ライン間での鋭いサイドチェンジは特に効いていました。
そしてなんといっても、敦樹選手。もう中盤の王様でしたね。まさにBOXtoBOXのプレー。そして、翔哉選手が怪我をする前に、ポジションを入れ替えて攻撃のスイッチを入れていたプレーをまさに敦樹選手がやっていたように思えました。敦樹選手の動きに呼応して周りの選手がさらにダイナミックに動く。良い時をさらに超越した敦樹選手がそこにいました。
20分の先制点はまさにそれが詰まったシーンだったと言えます。ソルバッケン選手から中央の凌磨選手にパス。凌磨選手はダイレクトにヒールパスして前線の敦樹選手へ。敦樹選手は、次に左サイドに移動した凌磨選手にパスした後、凌磨選手のうしろに回り込んでパスをを受けファーサイドへクロスを上げます。そのクロスに右サイドから走り込んできた石原選手が高い打点のヘディングシュート。
ゴール前で選手がよどみなく、イキイキ動いて、相手が捕まえる隙を与えずにゴールする。
なんとも素晴らしいプレーを見せてくれました。
②ダブルボランチの効果と守備意識の向上が見られた
やはり、4-2-3-1は守備が安定する。安居選手と敦樹選手のダブルボランチが効いています。中盤を2枚で守備するので守備範囲が広くなりますし、左右のサイドバックが上がったスペースのカバーも有効になります。
そしてこの試合では、安居選手が対峙するジャーメイン選手をしっかりマークして自由にさせなかったことが無失点に大きくつながったと思います。
また、全員の守備の意識、特にボールロスト時に瞬時に回収する、ボール奪取のスピードと強度が素晴らしかった。相手ボール保持者に2、3人で囲みしっかりと取り切って攻撃に繋げる。見ていてすごく気持ちよく、失点の不安が少ない安心感を感じることができました。
③メンタリティの向上とチームの一体感が見られた
3人の離脱が発表されてからの最初の試合。そして、敦樹選手が新キャプテンとして、眩しいばかりのキャプテンマークを巻いた新生浦和のスタートとなる試合。
ベテラン選手が抜けた後、若い世代が自覚を持って素晴らしいメンタリティを見せてくれました。
また、敦樹選手がキャプテンになるということで、同い年の石原選手や佐藤選手が、キャプテンを盛り上げようと、強い決意と一体感を見せてくれたと思いました。
④立ち上がりからしっかりペースを握り先制点を奪う
しっかりとボール保持しながら、連動性のある効果的なプレーを立ち上がりから展開。相手には攻撃のチャンスを与えない守備で圧倒的に試合を支配。そしてしっかり先制点を奪いました。
また、後半にかけても、相手にペースを与えずに追加点を奪い、理想の展開を見せてくれました。
印象的だった選手たち
圧巻のプレー!! 敦樹選手
選手入場の際、大型モニターに映し出された、敦樹選手の左腕に黄色のキャプテンマークが。それに気づいた娘が「敦樹がキャプテン・・・」と叫びました。横を見ると、泣いていました。事前にそんな噂はありましたが、実際にそのシーンを見ると自分も何かグッとくるものがありましたね。長谷部選手の再来に立ち会ったような感動を覚えました。
試合では、まさに新キャプテンとしてプレーでチームを引っ張っていた!そんな印象でした。
そして、良い時の敦樹選手が戻ってきたというくらいの表現では足りない、それ以上にスケールアップした彼のプレーを見ることができました。
前半戦、新しくトライするインサイドハーフというポジションで苦悩しながら身につけてきた前線での攻撃的プレーが、今ボランチのポジションに戻って花開いていると感じます。
適正ポジションで守備のタスクをこなしながら、機を見て前向きにプレーしてゴール付近で広い範囲で動いてゴールチャンスを作り、得点まで奪う。
もう大車輪の活躍。このままの調子で突っ走ってもらいたいと思います。
キャプテンマークが眩しい。頼もしさを感じました。
才能が溢れ出る!!凌磨選手
中央でプレーする凌磨選手は明らかに魅力的なプレーを発揮してくれます。
DAZN解説の福田さんが「渡辺選手と伊藤選手は、圧倒的に輝いている」と語っていましたが、まさにその通り。
適正ポジション!水を得た魚です。
20分、先制点の直前のヒールパス。
46分、中央から左足シュートも僅かに外れる
48分、凌磨選手のキープからリンセン選手のシュートに繋げる。
49分、武田選手のスルーパスを受けた凌磨選手がシュート、ネットを揺らすもオフサイド。
51分、敦樹選手の折り返しがバウンドするもうまく叩きつけてゴール。
62分、前線のリンセン選手へ浮き球のスルーパス。その後相手ボールになると猛然とプレスバック。
76分、サンタナ選手へのするパスをサンタナ選手が受けてシュート。
敦樹選手との両輪とも言える大車輪の活躍。
加えて、凌磨選手のプレーのクオリティの高さは、感動すら覚えるほど素晴らしいものだと思いました。
酒井選手が乗り移った!! 石原選手
プロ初ゴールというのも意外でしたが、浦和で初ゴールおめでとうございます。
あのゴールは、ゴールへの意識がなかったら飛び込めないと思いますし、フィジカルモンスターの酒井選手が乗り移ったかの如くのプレーでした。
石原選手は、実力で酒井選手からレギュラーポジションを奪ったと言えると思います。そして酒井選手が去って、石原選手にもチームを引っ張るという自覚が芽生えてきたんだろう、そう思えるゴールでした。
改めて凄みを実感!! ソルバッケン選手
この試合を見て、改めてソルバッケン選手の存在感とプレースケールの大きさ、その凄みを感じました。
まだまだ本領発揮とまではいきませんでしたが、時折見せる瞬間的なスピード。体格の大きさからくる迫力としっかりとしたキープ力。
そして、当初の予想ではフィジカルを活かして1人でゴリゴリ抜いてゴールを完結するようなプレーをするのかと思いきや、全体をよく見て指示を出したり、周りを生かすプレーをしたりと、サッカーIQの高さを見せてくれました。
ここまで、フィジカル的にも上がってきてチームにも慣れてきたこの時点で、契約期間切れでチームを離れるのは、正直勿体無い。
堀之内SDのコメントでは、再契約に向けて交渉を継続するとのこと。酒井選手とショルツ選手の解約金をうまく使ってもらって、是非とも交渉を成立させて、彼が戻ってくることを祈るばかりです。
ヘグモ監督は当初からこのプランを考えていたのかも?
ヘグモ監督の口から、”戦術的ピリオダイゼーション”という言葉がたびたび出てきます。
自分は、昨年、浦和の戦略コーチである林舞輝氏の書いた本で少し学びました。
この本でピリオダイゼーションとは、年単位・月単位・週単位にそれぞれ期分けしたして、それぞれの単位でフィジカルだけでなくメンタルも考慮したトレーニングメニューを考えることと理解しました。
そして最近思うんです。
ヘグモ監督は、シーズン前から今シーズン全体の計画を立てていたのではないかと。そして、実はそのシナリオ通りにシーズンが進んでるんじゃないかと。
つまり、
★シーズン前半戦は、攻撃的サッカーを植え付けるためにも4-3-3システムを徹底する。
→不慣れなポジションでプレーさせたり守備の綻びが出るかもしれないが、織り込み済みであえて貫き通す
★対戦相手が一巡するシーズン後半戦には、攻撃的サッカーの意識が植え付けられたとして、適材適所のポジションに徐々に戻していく。
→この試合の敦樹選手や凌磨選手のように、かつてないスケールに成長した選手たちが才能を開花させて大活躍していく。
こんなプランを考えていたのではないかと思ったんです。
もしそうだとしたら、ヘグモ監督、あなたは恐ろしく優秀な監督だと言えます。
これからの後半戦でどんな展開になっていくか?楽しみで仕方ありません。
チームを離れる4選手、これまでありがとう
ソルバッケン選手は、”印象的だった選手”のところで書きましたので、酒井選手・ショルツ選手・岩尾選手に対してもコメントを書かさせていただきます。
魂のプレー 酒井選手
酒井選手と言えば、皆さんが想像するシーンは間違いなく、忘れもしない2022年8月25日のACL準決勝でしょう。
延長戦も終わりかけた時間帯で、体力を使い切っている状況で見せたあの魂のプレー。全北現代の選手を吹っ飛ばすスライディングと限界に近い状態であげたクロス。
それが、浦和のACL優勝に直結しましたし、その貢献度は計り知れません。本当にありがとう。
しかし移籍の噂を聞いた時、キャプテンの役責を放棄してチームを離れるのは残念に感じました。正直許せないと思いました。
しかし、一歩引いて彼の立場になって考えると、サッカーキャリアの終盤、南半球の地の新興チームで新しいチャレンジして、チームを育てていく、その喜びを想像するとワクワクしてきます。彼の将来に向けたビジョン、彼の持つ意思と実行力は素晴らしいです。我々サポーターは、そんな彼の生き方を受け入れ、尊重する以外ないじゃないか!と想いました。
ありがとう酒井選手。またACLの舞台で戦う日を心待ちにしています!
思慮深さが印象的だった ショルツ選手
ショルツ選手は神。浦和レッズサポーターのみんながそう思っています。
自分が特に好きだったのは、その人格と思慮深さ。この年齢にして本当に達観しているように見えました。
そして、いくらスピードのある相手でも、常に先を読んで相手に付け入る隙を見せないクレバーなプレーは本当に心に残りましたし、痺れました。
引退まで浦和にずっといてくれると信じ切っていただけに、ショックは大きいです。
しかし、そんな思慮深いショルツ選手が自らの意思で決めた道。彼にとって正しい道であることは間違いありません。
カタールという地でまた異国の文化に触れて、さらに人間的に成長するショルツ選手をイメージすると楽しみでしかありません。
酒井選手と同様、将来、ショルツ選手もACLの舞台で会えることを楽しみにしています。そして、浦和と対戦するときはお手柔らかにお願いします。
ありがとう、ショレ!また会おう!
最後の挨拶をして欲しかった 岩尾選手
岩尾選手に対しては、以前の記事で気持ちを表現させてもらいました。
あえて、追記するならば、酒井選手、ショルツ選手のように最後スタジアムで挨拶して欲しかった。
どうしてですか?男気のある岩尾選手らしからぬ行動でしたよ!非常に残念でした。
”終わりよければ全て良し”ではありませんでした。
個人的な気持ちとして、セレモニーの際にはしっかり6番の背番号のユニフォームを掲げて感謝の気持ちを表現しましたからね。
恐ろしいジンクス
背負っていた番号の選手が去ってしまった
うちには恐ろしいジンクスがあるんです。
背番号を付けた選手が退団するというジンクスが。特に娘の場合は顕著です。
2021年 トーマス・デン選手
2022年 柴戸選手
2023年 荻原選手
2024年 酒井選手
4年連続です。娘も気にしていて、今年は確実だろうと思っていた酒井選手の2番を付けたにも関わらず、夏に移籍と衝撃的すぎます。
そんな娘をからかい気味にいじっていたら、岩尾選手のニュース。
2人とも背負った番号の選手が去っていってしまったのです。
もう背番号はつけない!
酒井選手のニュースを聞いて、娘は来年から背番号を入れるのをやめると宣言しました。
そして岩尾選手のニュースの後、娘からのLINEのメッセージがこれです。
「パパも来季背番号なしだな!」
自分も心に決めました。背番号は入れません。
正直、去ってしまった選手の背番号を背負ってこれから残りのシーズンを過ごすのは非常に悲しいものがあります。
そして本質的には、特定の個人だけを応援しているのでなく、浦和というクラブを応援している。その意識を強く持つことにしました。
次の試合は、ホーム駒場で湘南戦
次は、7月6日(土)ホーム 久しぶりの駒場スタジアムでの 湘南ベルマーレ戦です。
前回、アウエイでの対戦では、4-4の撃ち合いの試合となってしまいましたが、その時と比べてチームも安定していますし、2試合連続無失点を続けており、早々失点することはないと思います。
また、この試合以降、湘南、京都、札幌と下位チームとの対戦が続きますが、ここでしっかり連勝していくことで、グッと優勝のチャンスを引き寄せることになろうかと思います。
湘南戦、しっかり勝って、3連勝といきたいものです。
※なお、本記事の写真は、自分が撮影した写真以外は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。