ホームで絶対に負けられない横浜との対戦
前節の川崎戦、前半までは好ゲームを展開しながらも、後半立ち上がりに失点してから、勝者のメンタリティをみることもできず、不甲斐ない敗戦を喫してしまいました。
今節のホーム横浜戦は、ホームであることに加えて2連敗はもう許されません。
また西野さんの一件があって、自分にとって横浜は因縁というか好感のもてないクラブとなってしまいました。(西野さんの判断に責任があり、横浜というクラブが悪いわけではないというのは重々わかっていますが、わかっていても感情が許さないのです。)絶対に負けたくありません。
これまでの対戦は、直近の昨年のルヴァンカップ準決勝で勝って入るものの、それまでは、横浜の攻撃的なサッカーに浦和の守備が耐えきれず敗れるといった構図でした。しかし、今年試合を重ねてきた攻撃的ヘグモ式サッカーがどれだけ横浜に対して通用するか、良い尺度になる試合だったと思います。
結果的には、前節の不甲斐ない試合を教訓に勝者のメンタリティが復活、クオリティの高さを横浜に見せつけ完勝するのでした。
試合前の様子
GWの和やかな雰囲気を完全スルー
ゴールデンウィークの最終日ということもあって、ファミリーや子供向けのイベントが催されていましたが、そんな楽しい浮かれた気持ちにもなれず、まっすぐスタジアムに向かいました。
サポーターの不注意行動に対する声かけも
娘がシーチケホルダーで優先入場列に並んでいたときに、以下のようなニュアンスの声掛けがあったそうです。
「Jリーグの観客に対する試合運用規定が厳しくなってきて、別のクラブでサポーターが中指を立てているのが映像に映って出禁になったとのこと。なので、くだらないことで、クラブに迷惑をかけないように軽率な行動を慎しんで行こう。しっかり周りに声がけしてください。」
昨年、問題を起こしたコアサポーターのグループが反省を踏まえしっかりとそういうことを声がけしていたということに対し、すごく嬉しく思いました。
キックオフ時に全員立ってのウラワレッズコール
そして、試合開始前と後半開始前、北ゴール裏に加えて、いつも座っている南ゴール裏や指定席のサポーターたちも立ち上がって「ウラワレッズ!」コール。
コアサポーターの皆さんが彼らの席まで行ってお願いしたのだと思います。素晴らしい。
絶対に負けられないという決意をサポーターが見せつけて試合が始まりました。
試合全体を通して
勝者のメンタリティの復活(守備強度と集中力の復活)
選手たちは全員気持ちが入っていたと感じました。
特に感じたのが、グスタ選手と前田選手。これまでは、ワンテンポ遅れて寄せたり、強度の弱さを感じていました。この試合では相手への寄せるタイミングとスピードがあって、相手に対して圧力をかける守備ができていました。
チーム全体として、守備強度と集中力が高まったプレーを見せてくれました。前節での失点含めたプレーの反省が生かされていたと感じました。この姿勢は、これからの試合も最低限見せて欲しいと思います。
相手プレス回避のボール回しに自信と落ち着き
相手の前線のプレスにさらされながらも、ディフェンスラインでボールを回して相手を惹きつけ、プレス回避するシーンがこの試合でも何度も見られました。
以前までは、”正直危ない!大丈夫か?”とハラハラしていましたが、この試合を見て初めて、不安感を感じませんでした。むしろ彼らが自信を持って回しているような落ち着きすら感じました。
ビルドアップの出口として、まずグスタ選手のポジショニングが絶妙になってきたことに加えて、大久保選手の下がってくるタイミングがよく、左右のサイドバックの2人も高い位置を取って受け手となることも多く、そのことで余裕ができてきたのだと感じました。
相手前線プレスをパスで簡単に剥がすシーンは痛快そのものでしたね。その後は大きな攻撃チャンスが生まれていました。
攻撃のバランスが素晴らしい
そして今回感じたのは、後ろで繋ぐことに固執することなく、ロングボールもタイミングよく使っていたこと。大久保選手のようにボールを受けて裏に抜けたり、圧倒的な存在感を放ったサンタナ選手のボールキープから展開したりと多彩でした。
繋いで攻めるのと裏を狙うロングボールの配分に偏りがなくバランスのいい攻撃を展開していました。
左サイドの魅惑のカルテット誕生
この試合の左サイドでプレーした、翔哉選手、大久保選手、凌磨選手、グスタ選手。
魅惑のカルテットと勝手に命名させていただきます。
彼らのプレーに何度となくうわー!ウォー!ひやー!と絶叫したことか!
これまでの試合では、翔哉選手、凌磨選手、グスタ選手、3選手の関係性が醸成されてきましたが、ここに大久保選手が左インサイドハーフでスタメン出場したことで、更なるなる化学反応が起きました。もう、翔哉選手、大久保選手は感覚的に以心伝心ですね。
彼らのプレーを見るだけでも、スタジアムに行く価値があるんじゃないかと思うほどの芸術的プレーです。
明らかに横浜の選手たちを翻弄していました。
クオリティの高さで横浜を凌駕した
横浜相手に潮目が変わった試合と言える試合だったと思います。
明らかにクオリティの高さで横浜を凌駕していました。浦和の方向性が正しいことを証明する試合になったと思います。
試合状況
浦和が圧倒した前半
この試合の立ち上がりは非常に集中していて良かったと感じました。前線で翔哉選手がしっかりプレスしたり、前田選手がしっかりプレスバックして強度高く守備を行って、チームとして締まった印象の立ち上がりでした。
攻撃面でも、4分、ショルツ選手のボール奪取から流れる攻撃を展開。敦樹選手、グスタ選手、大久保選手、翔哉選手と渡り、翔哉選手の前田選手へのスルーパスが通りませんでしたが、連続的に良い攻撃を展開していきます。
攻撃で横浜を圧倒し続ける浦和。14分、コーナーキックをショルツ選手がニアで擦らして、ファー側にいた敦樹選手に流します。そのボールを敦樹選手がうまくミートできませんでしたが決定機でした。
その後も圧倒的に押し込み続ける浦和。29分にコーナーキックのこぼれ球を、グスタ選手が左足でシュートしますが、浮かせてしまいます。
34分には、マリウス選手のロングボールを、サンタナ選手がさらっとトラップして、後ろにいた翔哉選手にヒールパス。翔哉選手は右に展開して、敦樹選手が前進しますが、ゴール前でボールを受けたがっていた前田選手にはボールが至らず。彼に渡っていれば完全な決定機でした。
そしてついに42分、先制点が入ります。凌磨選手のスローインをサンタナ選手、翔哉選手、大久保選手と全てワンタッチパス。戻ったボールを翔哉選手が、中央にいた敦樹選手に小野伸二選手のようなエンジェルパスを通します。その敦樹選手の左足のトラップが絶妙でした。次にしっかりとシュートできる位置にボールを置くことができ、右足を振り抜き先制ゴールを決めてくれました。
前半、相手を凌駕して圧倒的に攻めていただけに、無得点だと嫌な流れになっていくというのがサッカーというもの。そういう意味で重要なゴールだったと思います。
その後も43分48分と凌磨選手の惜しいシュートがあるなど攻勢のまま前半が終了しました。
前半は120点と言える出来だったと思います。
後半も浦和の流れ、失点するも勝ち切る
後半立ち上がり直後は、横浜がプレスを強め、2分ほどは横浜ペースになったものの、その後しっかりと相手の流れを引き戻します。この試合の浦和は集中力が高かった。
47分、凌磨選手の切り返しから大久保選手にパスが渡り、大久保選手が裏を狙ってスルーパス。サンタナ選手がうまくキープして、後ろに走り込んできた大久保選手にヒールパス。それを加藤蓮選手の体当たりにあい倒されましたがPKとならず。この後起きるリンセン選手のプレートは正反対のジャッジとなっていました。
57分、魅惑の左サイドの攻撃が炸裂します。凌磨選手、翔哉選手、大久保選手のパス交換から大久保選手が抜け出しセンタリング。入ってきた前田選手の頭には合いませんでしたが、サンタナ選手がダイレクトシュート。惜しくもうまくミートできませんでしたが、絶好のチャンスでした。
流れを引き戻したい横浜は、61分、ついにレギュラー組の4人、宮市選手、マテウス選手、植中選手、山村選手を投入します。しかし、ヤンマテウス選手は存在感を示したものの、それほど大きく流れを変えることができないまま時間が過ぎていきます。
そして、65分、追加点が生まれます。石原選手のパスを受けたグスタ選手が敦樹選手にスルーパス。それをドリブルで持ち込んで、左隅に流し込み2点目。大久保選手が前を横切り相手選手を惹きつけてコースを作ったのもファインプレーと言えるでしょう。
その後、67分、68分と左サイドの魅惑の攻撃が続き、もう押せ押せです。
75分に、翔哉選手、前田選手に変えて、ブック選手、リンセン選手を投入。
怪我からの復帰2戦目のリンセン選手でしたが、79分には目の前でヒールパスをした時には、初戦のパリサンジェルマン戦でのトラウマを思い出し、やめてくれー!と叫んでしまいました。
その後、リンセン選手は気持ちの入ったプレーを見せてくれました。82分、西川選手のロングボールをワンタッチでパスしたり、83分、中央ブック選手へのクロス、87分に渡辺選手を薙ぎ倒してゴールに進入、なぜかファールになってしまったシーンと、良いプレーが戻ってきています。これから重要な戦力になってくれそうというかなってもらわないと困りますね。
85分に、やや引き気味になったところ、植中選手のゴールエリア内の見事な落としを井上選手がダイレクトシュートを決められ、1点差になります。
86分、グスタ選手と大久保選手に変えて、安居選手、佳穂選手を投入。佳穂選手は鋭いプレスで相手にプレッシャーをかけて、全体守備を楽にしてくれていました。
ロスタイム5分でしたが、感覚的には結構長く感じました。それでもしっかり守り切って勝利。
内容としては圧勝でした。攻撃のチャンスは多く、ボール保持率やシュート数も横浜を圧倒しただけに、願わくばもう2点くらいとって勝ちたかったですが、次回の対戦まで取っておきましょう。
印象的だった選手たち
長いトンネルを脱した 敦樹選手
圧巻の2ゴール。長いトンネルからついに抜け出したと言えると思います。2点とも、サンタナ選手が近くにいましたが、パスすることなく自分が決め切るという決意のこもったゴールはメンタル的に吹っ切れた感がありました。
これから、さらに右サイドで前田選手や石原選手、サンタナ選手とのコンビネーションを成熟させて、魅惑の左サイドのようになってほしいと思います。
完全なチームの柱 サンタナ選手
サンタナ選手の存在感は試合を重ねるごとにどんどん大きくなってきています。昨年のカンテ選手と比較すると、ポストプレーの能力はカンテ選手を完全に上回っています。チーム全体としてのビルドアップに対する貢献は半端ないものがあると感じています。そんな彼のプレーを見て、これまで何年も失望しながらも、ラストピースと熱望していたセンターフォワードがやっと来てくれたと実感している今日この頃です。
この試合で、後ろにいた大学生らしいサポーターが、サンタナ選手のボールキープやボール捌きなどの一挙手一投足に「ウエーイ」「すげー」「うめー」と自分の気持ちを代弁するような感嘆の気持ちの声を出していて、心の中で毎回「だよねー」と同意していました。
これから、さらに周りとの関係性を熟成して、ゴールの大量生産が来ることを熱望します。
翔哉選手と魅惑のコンビ 大久保選手
大久保選手の左インサイドハーフ+翔哉選手の左ウイングは、鉄板でお願いします。もう外せない、譲れない組み合わせだと認識しました。
ミシャ監督が退任してから8年となりますが、彼が指揮していた時期に見ることができた魅せるサッカーを久しく見ていなかった気がします。それを再び見ることができて本当に心が躍る気持ち、幸せを感じています。
600試合出場おめでとうございます 西川選手
600試合というのは途方もない数字。ウイキペディアで調べてみると、
2005から2009年 大分 118試合
2010から2013年 広島 135試合
2014から 浦和 これまで347試合
18歳から37歳まで19年間、J1リーグという厳しいリーグの中でトップのパフォーマンスを続け、いまだに進化している西川選手。
ミレコーチとの出会いがさらなる進化に繋がったのは明白ではありますが、それにしても特に昨年の神がかったプレーはもう記憶に新しいところ。
ミレコーチのもと、牲川選手と吉田選手と切磋琢磨しながら、さらなる進化とゴールキーパーチームのさらなるレベルアップに貢献してほしいと思います。
ホーム3試合連続 4万人越え
この試合、観客数が40579人と、ホーム3試合連続の4万人超え。そして通算観客動員数1600万人を達成したそうです。この数字想像できない数字ですね。
ここ2戦はゴールデンウィークということもありました。しかし、今季のサポーターの期待はここ数年なかった高まりだと思います。
その要因はやはり、戦力の充実とそれに対する期待感だと思います。今の浦和は各ポジションにトップレベルの選手がいて選手層も厚い。やはりスター選手を補強するとお客さんは来るんです。また、中島翔哉選手やグスタ選手、まだ出場できていませんが安部裕葵選手など、技術が高く芸術的なプレーをする選手がいれば、観客を呼び寄せます。
戦力の充実を表すために、2006年リーグ優勝した時のメンバーと今年のメンバーを同等のポジションで並べてみました。選手のタイプは違いますがご了承ください。
・ワシントン →サンタナ選手
・ポンテ選手 →グスタ選手
・長谷部誠選手 →伊藤敦己選手・岩尾憲選手
・鈴木啓太選手 →安居海渡選手
・小野伸二選手 → 中島翔哉選手・安部裕葵選手
・田中達也選手 → 松尾祐介選手・大久保智明選手
・永井雄ー郎選手→ 前田直輝選手
・山田暢久選手 → 酒井宏樹選手・石原広教選手
・サントス選手 → 渡邊凌磨選手・大畑歩夢選手
・闘莉王選手 → ショルツ選手
・坪井慶介選手 → マリウス選手
・都筑亮太選手 → 西川周作選手
全く、遜色ないメンバーだと思いませんか?個人的には、遜色ないどころか上回っているのではないかと思います。
つまり、観客を引き寄せることができるのと同時に、優勝を勝ちとれないとおかしいメンバーということなんです。
成績は今のところ期待していたレベルにはなっていませんが、これから先の飛躍を考えると本当にワクワクします。それに伴って観客動員も鰻登りになって、すごい雰囲気で選手たちを後押ししたいです。
2006年のように毎試合満員で毎試合チケットを取るのが大変だった時に戻るといいですね。浦和というクラブが世界に向けてこれからさらに飛躍していくために。
試合後のキーウエル監督のインタビュー
横浜は、ACL決勝を11日に控えて、ターンオーバーしたスタメンで望んできました。それを知って正直本当に絶対負けられないと感じました。
そして、我々が勝ったとしても、横浜側が戦力を落としたからと負け惜しみを言ってほしくないと思っていました。それは、昨年ACLの苦しい日程を戦い切った浦和だからわかること。ACL決勝を控えてスタメンを落としても勝てるチーム作りをしていなかったクラブの責任なんです。
そんなふうに思って、試合終了後のDAZNでの横浜キーウエル監督のインタビューを興味深く聞いていました。
彼は一言もターンオーバーしたことに対して言い訳することもなく、正直に浦和のプレーが上回っていたことを認め、どうしてそうなったか?これをしっかり反省して次の対戦に反映したいと自分に矢印を向けていました。
正直、彼は素晴らしい監督だなと思いました。
横浜の皆さん ACL決勝ベストを尽くしてください
自分は聖人ではないですし、そんなに器の大きい人間ではありません。さらにサッカーに関しては浦和が一番だと思っています。
なので、横浜に日本代表で頑張ってほしいとか、クラブW杯に一緒に行こうとか優等生が建前で言うようなことは、言うことはできません。しかし、ベストを尽くしてくださいと言うことだけは言うことができます。
ここまで来たことで、この大会を制することは、生半可な決意では達成することができないということがわかっているはず。決勝はさらなる重圧が選手たちを襲います。
クラブスタッフ、サポーター含めて最大限のサポート、死に物狂いで望まないと勝ち切ることはできません。それを念頭に置いてしっかり戦ってください。
次の試合は、アウエイ新潟戦
次は、5月11日(土)アウエイ新潟戦です。
この試合から続く、新潟、京都、磐田には悪いんですが、油断することなくしっかりと勝って上位進出の足がかりにしたいところ。そう言う意味で、次節の新潟戦は重要となります。
しっかりと勝って、今季初の連勝に繋げてほしいと思います。
しかしその前日に、浦和レッズレディースのACL決勝があります。参戦してしっかり応援したいと思います。
※なお、本記事の写真は、自分が撮影した写真以外は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。