首位町田との差を縮めることができる大事な試合
リーグでは前節まで4戦無敗といい流れできたものの、ルヴァンカップ長崎戦で痛恨の敗戦。磐田、長崎と4-4-2のフォーメーションのチームとの相性は正直良くはありません。こう着状態で攻めあぐむ試合が続いてきました。
そして、今節も4-4-2の町田。J2から昇格して首位を快走する町田相手にクラブの意地を見せることができるか?首位との勝ち点差を縮められるか?そんな試合でした。
結果的には、終始浦和のペースで試合が進んだものの、最終盤に相手の圧力に屈し、悔しくも敗戦を喫するのでした。
試合前の様子
長谷部誠 埼スタ凱旋
この試合はなんといっても、浦和OBの長谷部が観戦しに来ていたことです。
先週の金曜日にあった日本での引退会見は、オンエアで全部見まして、サッカー選手としての素晴らしさを改めて感じたのに加えて、彼の人柄や人を惹きつける魅力を改めて感じました。
そしてその週末ということで、自分は彼がこの試合は絶対観に来る!と予想していただけに、予想的中で嬉しかったです。
自分のIPHONEだとこの写真が限界でした。
なので浦和公式の写真を引用させていただきます。
彼がこの試合を見て、チームの印象やスタジアムの雰囲気をどう感じたのでしょうか?また一緒に来ていたフランクフルトの幹部の方々がどう思ったのでしょうか?聞いてみたいものでしたね。
彼には浦和とフランクフルトの架け橋になってもらって、クラブ間でさらに関係を深めて、浦和の若手選手やコーチなど人材育成に寄与してくれることを期待しています。
試合全体を通して
ビルドアップは本物
西川選手のゴールキックの時に、藤尾選手、オセフン選手がゴールラインギリギリ、というかはみ出しているんじゃないの?と思うくらいの前からのプレスをかけてきました。
そんな中、立ち上がりはロングボールを多用して、彼らのハイプレスを回避します。だんだんと彼らの攻め手を理解し始めた浦和は、10分を過ぎてボールを回し始めて町田のハイプレスを回避し始めます。そこからは、スタメンに復帰したアンカーポジションの岩尾選手とサイドバック、特に凌磨選手が出口となってしっかりとビルドアップできるようになってきました。
正直、今はハイプレスに対してのビルドアップに対する恐怖心は皆無と言えるほど熟成されてきていると感じます。土台は出来上がったと言えます。
強度勝負でも負けていなかった
インテンシティ、ネガティブトランジション。それら、少し前まで課題だった部分もしっかりと向上している印象でした。
インテンシティ勝負の町田相手に負けていませんでしたし、逆に勝っているシーンも多く頼もしく感じました。
ゴール前での攻撃の精度が課題
しっかりとしたビルドアップで相手を剥がし、確実にゴールエリアまで行くシーンは多く、サイドからのクロスのシーンが多く見られました。
しかし、課題はクロスの精度と、中に入ってくる選手のタイミング。それに尽きると思いました。
これからの伸び代ですね。ここが成熟すれば破壊的な攻撃が見れるようになると思います。
交代選手の層が薄い現状
ソルバッケン選手がスタメンだと知った時、意外でした。負傷上がりで、長崎戦でもまだまだコンディションが上がっている様子ではなかったためです。
しかし冷静に考えると代わりの選手がいなかったんですね。翔哉選手、松尾選手、大久保選手も不在だし、凌磨選手を前に出そうとしても、大畑選手も不在。そうすると、交代で出てくる切り札になる選手がいなくなるわけで。
これは、監督の起用法によるマネージメントに課題がある気がします。監督は週2回の試合に耐えられる選手の体づくりを目指していると明言していますが、今のところうまくいっていません。状況を察知して怪我人が増えないように対応・改善してほしいと思います。
反面、この試合で町田は交代選手が明らかに攻撃をパワーアップしていました。後半から出てきたナサンホ選手、終盤出てくるエリキ選手と圧力を感じました。
勝者のメンタリティと言う部分でほんの少し負けていた
町田のメンタリティはすごいものがあると思いました。
正直、我々浦和サポーターも100%に近いレベルで声を出して圧力をかけましたし、そんな中で、最後まで集中力を切らさず守り、一瞬の隙を見逃さずゴールエリアに侵入してPKを得るところは、勝利への執念を感じました。まさに、ACLで対戦した全北現代や浦項のような印象を受けました。
勝者のメンタリティが浦和になかったわけではありませんが、その部分で浦和はほんの少し負けていたと思います。
試合状況
前半は完全に浦和が支配
立ち上がりの町田のハイプレスを回避し出した10分以降は完全な浦和ペース。
18分、岩尾選手からのパスを凌磨選手がフリックしてサンタナ選手、前田選手へと渡ったシーン。
23分に、マリウス選手、安居選手、岩尾選手、ソルバッケン選手、安居選手、サンタナ選手、敦樹選手と渡り、シュートかと思いきや前田選手にパス。前田選手がクロスを上げるも精度を欠きます。ここは敦樹選手にシュートして欲しかった。
先日の監督会見で、「焦ってシュートするのではなく、落ち着いて相手の隙をついてシュートを決めるようになって欲しい」というニュアンスの発言がありました。これがいい方向に向かったらいいと思いますが、反面シュートタイミングの判断を迷って積極的にシュートしない選択になってしまう恐れがあります。この敦樹選手のシーンにそれを感じました。
28分、ソルバッケン選手からパスを受けた岩尾選手が、翔哉選手のようなゴール前での見事なサイドチェンジを見せ、それを受けた前田選手がアウトサイドを駆け上がってきた石原選手へパス。石原選手がクロスを上げるも精度に欠きます。
その後も何度かクロスを上げるものの、精度を欠いて得点シーンに至りません。
そして44分、ショルツ選手を起点にサンタナ選手、岩尾選手、ソルバッケン選手、凌磨選手、安居選手、ソルバッケン選手がサイドチェンジし、右サイドにいたサンタナ選手がクロスを上げますがゴール前に誰も詰めず。惜しいシーンでした。
後半も浦和ペースだったが終盤圧力に屈する
51分に林選手の前田選手への後ろからのアタックが明らかにファールだったにも関わらずファール判定されず、その一瞬集中力を欠いた浦和は、町田に先制されてしまいます。一番やられてはいけないパターン、相手の狙っているやり方でやられてしまいました。
しかし、その直後の53分に追いいつきます。ショルツ選手を起点に、石原選手、安居選手、岩尾選手、サンタナ選手、敦樹選手、前田選手のクロス、安居選手のヘッド、石原選手のバックヘッドで繋ぎ、それを受けた敦樹選手がワンタッチでのインステップシュートがゴールにつながりました。このシーン、石原選手のポジショニングが相手の混乱を招いた気がしました。
そこからはこう着状態。浦和は、63分に岩尾選手、ソルバッケン選手に代えて、酒井選手、グスタ選手を投入、78分に前田選手に代えて武田選手を投入。かたや町田は、72分に藤尾選手に代えてを投入。両チームとも終盤に向けてギアを上げてきます。
その後、堺選手と武田選手が右サイドから攻撃のチャンスをいくつか作り出すも決定機に至らず、ロスタイムに突入。
そして93分に、ナサンホ選手のスピードのあるポケットへの進入に対して、ギリギリのところでショルツ選手が倒してしまったという判定でPKを献上。それを決められてしまいそのままタイムアップ。敗戦となってしまいました。
試合後、DAZNで見返してみると、あの場面でナサンホ選手に身体を寄せるだけでも十分だったのではないかと感じました。しかし、あの冷静なショルツ選手の判断を鈍らせるほどの、町田の攻撃の集中力とナサンホ選手のスピードは素晴らしかったと感じました。
また、67分にも同じような形で、マリウス選手がかわされ、裏に抜けたスピードのある平河選手をショルツ選手がファールで止めざるを得なかったプレーがありました。これはやや弱点のような気がしますので対策の検討をお願いしたいですね。
磐田戦もそうでしたが、この試合の終盤にかけて、腹筋が切れるのではないか?と思うほど声を出しましたし、ゴール裏サポーターは、今シーズン最高のサポートをしたと思います。残念ながら敗戦はしましたが、潔く負けを認め、これを糧にしっかり次に切り替えて進んでいきたいと思います。
印象的だった選手たち
やはり頼りになる 岩尾選手
長崎戦後半に交代で出場し、ふわっとした感じというか本調子に見えない岩尾選手を見て、流石に怪我明け厳しいなと思っていました。
この試合でも、町田のプレスになれるまでの立ち上がり10分は、うまく試合の流れに乗れていない印象だったのですが、そこからはもういつもの岩尾選手でした。
ビルドアップの出口になるのはもちろんのこと、サイドへの散らしや前線へのフィードなど、岩尾選手らしいプレーを見せてくれました。
また、ゴールエリア付近でのサイドチェンジは、よく翔哉選手がやるプレーだと思いましたが、それをこの試合で岩尾選手がやっていたのに気づきました。怪我で出場できなかった期間に、翔哉選手のプレーを見て研究していたに違いありません。
これから怪我に気をつけて活躍を続けてくれることを期待しています。6番の背番号を背負って、ゴール裏で応援しています。
これからが期待の ソルバッケン選手
ソルバッケン選手のホームでのスタメン出場ということで、プレーとしてはまだまだ50%くらいのコンディションのようでしたが、ボールタッチや裏に抜けるスピードなど随所に光る部分が垣間見れました。
これから一旦の契約期限である6月末に向けてコンディションを上げていって、「オラがソルバッケンじゃー」というようなプレーを見せて浦和サポーターを興奮させてくれるのを期待します。
また、試合後に今回のスタジアムの雰囲気にポジティブな印象を語っていたソルバッケン選手。浦和を気に入ってくれて、7月以降もクラブに残ってくれることを期待します。
インサイドハーフのプレーに自分のものに 敦樹選手
敦樹選手は、インサイドハーフのポジションになれ、プレーの練度が確実に上がってきていることを感じます。
ゴールのシーンはもちろんのこと、すごいと思ったのは89分。左サイドで、石原選手と凌磨選手のパス交換から、安居選手を経由してパスを受けた敦樹選手は、相手選手を惹きつけてから、右サイドを走り込んできた酒井選手にノールックパス。素晴らしいプレーでした。
ゴール前に積極的に進入するのは素晴らしいのですが、ちょっと残念なのは、味方のシュートをブロックしてしまう位置に立っていることが最近多いところ。この試合でも、前田選手のシュートコースに立っていて当たってしまっていました。難しいと思いますが、その辺り気をつけてほしいと思います。
チャンスを作った 武田選手
77分に前田選手に代わって、右ウィングで出場した武田選手。
この試合は、武田選手らしい周りをよく見ながら落ち着いたプレーで3,4回チャンスを演出していました。
78分に、武田選手から中央でフリーだった安居選手にパスが渡りシュートに至ったシーンや、79分に武田選手のするパスを受けた酒井選手がクロスを出したシーンなどありました。
技術力が高いのは、入団当初から証明されていました。今の浦和のメンバーと日々練習して、確実にプレー面での落ち着きとプレーの逞しさが加わった印象です。
これからも出場機会を増やして、確実に成長していって欲しいと思います。
次の試合は、ホーム神戸戦
次は、6月1日(土)ホーム神戸戦です。
神戸といえば、昨年のホームでの屈辱は記憶に新しいところ。
また、今回の町田と類似のプレースタイルのチームなだけに、町田戦での課題をしっかりクリアするいいチャンスでもあります。
そして、優勝の望みをつなぐ意味でも必勝の試合です。
雨模様ですが、逆に燃えます。町田戦同様、ゴール裏で腹筋がキレそうになるまで声を出し続けます。
※なお、本記事の写真は、自分が撮影した写真以外は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。