岡山戦の戦い方が本物か?
前節の岡山戦で初勝利して、やっと今年の浦和の戦い方が固まってきたかなという印象でした。
そして、今節は宿敵鹿島との対戦。個人的には、ちょっとこの対戦が早すぎるなと思っていました。鹿島が現在首位であること、いつもバチバチの好ゲームを繰り広げる両者であることを考えると、もっとチームの状態を安定させてから臨みたかった対戦だと言えます。
しかしながら、岡山戦で見せた今年の浦和のベースとなる戦い方が本物かどうか?好調鹿島に対してどう通用するのか?ある意味実力テストのようなものと捉えることができます。ポジティブに考えると、ここで勝利を収めればチームのベースを確固とすることができる試合でした。
結果的には、戦い方としては本物と言える内容でした。しかし、終盤の戦い方に課題が残る悔しいドローとなりました。
試合全体を通して
内容では明らかに圧倒
最後の失点シーンを除くと、今シーズンのベストゲームと言っていいと思うゲームでした。戦術面、フィジカル面、メンタル面全てにおいて。そう思いました。
ミドルブロックの徹底
浦和は、前節での岡山戦同様、ミドルブロックで陣形をしっかりとった形の守備を徹底しました。
前半途中のボール支配率は、鹿島が60%台に対し浦和30%台。完全に、鹿島はボールを持っているというより持たされている状況でした。
鹿島の選手は全体的に足元の技術力がやや劣り、ボールを保持しパスをつなぐというよりフィジカル系の選手ばかりでした。特にセンターバック二人、植田選手、関川選手がそうなので、浦和がミドルブロックでしっかり構えられた時に、躊躇して前進できないシーンが多く見られました。
彼らがロングフィードを見せるシーンはありましたが、精度を欠き、ミスパスをしたり、鹿島の選手がトラップしても集中力の高いグスタ選手た安居選手が抜け目なくボールを拾って、すぐさま攻撃に展開すると言ったシーンが多く見られました。
後半70分過ぎくらいから、相手に押し込まれ、ボランチ二人が最終ラインに吸収されるシーンが増えてきましたが、それまでは素晴らしく安定した守備を見せていたと思います。
ビルドアップのさらなる安定
前節同様、鹿島相手に見事なビルドアップを見せてくれました。
鹿島の鈴木優磨選手、レオセアラ選手のプレスをいとも簡単に交わして前進してくビルドアップは、痛快とも思える出来でした。彼らは相当イライラしたに違いありません。
ビルドアップの形として特徴的だったのは、サイドを起点にビルドアップし中央を経由して逆サイドへサイドチェンジしシュートに繋げる形でした。
例えば、26分のシーン。マリウス選手、ボザ選手が左右に大きく開いて、サイドバックを高い位置に押し出す形。マチェイサッカーの特徴とも言えるポジショニングです。右サイドのボザ選手から上り目に位置する関根選手へのパス、関根選手からラインギリギリの縦パスを通し、松本選手がスルー、金子選手が叩いて松本選手に渡し、中央へドリブル。そして左の荻原選手へサイドチェンジ。サビオ選手に渡して、左サイドの奥のスペースに荻原選手が走り込みパスをもらう。惜しくもシュートにはつながりませんでしたが、素晴らしい形ができてきていると感じました。
前進しながらも相手をサイドに寄せておいて、逆サイドに振ってフリーな選手を使ってシュートに繋げる。素晴らしい攻撃パターンだなと感じました。
そして、浦和の選手たちが近すぎず遠すぎずの絶妙な距離感を保ち、受け手がしっかりとパスのもらえるコースにポジショニングしているように感じました。
特筆すべきサンタナ選手のポストプレー
これだこれ!!待ちに待っていた!!浦和のサポーターはみんなそう思っていたに違いありません。それは、サンタナ選手のポストプレーです。
これまでは、彼には正直ポストプレーは期待できないな、全盛期の慎三選手のようなポストプレーがしっかりできるフォワードの選手はやはり必要だなと感じていました。
しかしながら、この試合で見せた、サンタナ選手のポストプレーは自分がイメージしていた通りで、秀逸なものでした。ほとんどのシーンで、相手からのアタックをブラジル人らしい技術でさらりとかわしてボールをキープ。ボールを取られることがありませんでした。
そのおかげで、後ろの選手が前進する時間、タメを作れていました。
彼が進化したのか?はたまたコンディションが上がってきたからなのか?トスンと言う強力なライバルが来ることによって、お尻に火がついたのか?わかりませんが、サポーターから見れば、本当に頼もしい限りです。
移籍1年目はチームや環境に慣れるまでに時間がかかり本来の力が発揮できず、2年目に爆発するような外国人選手は多く見られます。サビオ選手、ボザ選手といったブラジル人選手の加入もメンタル的にいい効果をもたらしているのかもしれません。
今シーズンのサンタナ選手の活躍への期待が膨らみます。
相手への寄せの鋭さとフィジカルバトルに負けなかった
全員がボールホルダーへの寄せが鋭く、集中力を感じました。
特にグスタ選手が素晴らしかった。いつになく鋭く激しく相手に行っていたと感じました。また、39分に追突事故とも言える優磨選手の後方からのアタックを受けた後、決意したかのようなフィジカルバトルを展開していました。59分に、優磨選手のトラップが大きくなったシーンで、すかさずボールを奪い取り、背中で優磨選手を押し倒したシーンは痛快でした。
鹿島という因縁のライバル、ある意味、赤のダービーのような試合で、両チームのメンタリティの高さを感じる試合だったこともあります。しかし、この試合のパフォーマンスをベースとして常に出していけるチームになって欲しいと思います。
フィジカル勝負と技術力勝負の2つの戦い方ができるチームへの変貌
柏戦の観戦記で、”戦い方の引き出しが少ない””ロングボール一辺倒”だと感じていました。
しかし、岡山戦から明らかに、プランBもできるようになってきました。
つまり、神戸戦で見せたロングボール主体でフィジカルバトルにも負けない戦い方と、技術力の高さを生かして後ろから繋いでビルドアップする戦い方が両方できるチームへと変貌しています。
優勝するためには、この両方を兼ね備えていることは必須だと思います。しかも、この二つをチーム全体で一体感を持って臨機応変に切り替えられるようになると、チームの懐というかロバスト性が確実に上がってきます。この方向性で、しっかりとチームを熟成していって欲しいと思います。
終盤の戦い方に課題
内容では圧倒しただけに、後半ロスタイムの失点は残念でなりませんでした。
岡山戦に続いて最終盤の戦い方が課題ですね。この試合は、70分過ぎから徐々に押されるようになり、80分過ぎにはボランチ二人も最終ラインに吸収されてドン引きの展開になってしまっていました。
そんな苦しい中でも、86分、87分と、サンタナ選手のキープから左サイドの松尾選手にボールが出て、チャンスになるシーンが2回ありました。松尾選手がキープなのか?シュートなのか?少し迷っているように見えたのですが、その辺りの終盤で勝っている時のチームとしての意思統一が課題かなと思いました。
また、攻撃の交代選手の投入の前倒しで、相手を押し込める必要があったかもしれません。この試合、スタメンの選手たちがあまりにもパフォーマンスが素晴らしく、監督として変えにくかったのかもしれません。しかし、選手層が厚い我がチームだからこそ、積極的な交代選手投入で攻撃のギアを上げて、追加点を狙いにいくべきだったのではないか?と思います。
そして、サブ組の選手の奮起を期待します。レギュラー組の選手たちを脅かすような活躍を!
勝たなければいけなかった試合
内容で圧倒したことから考えると勝たなければいけない試合でした。しかも優勝を目標とするチームであれば、尚更です。内容が良かったから良いで済ませてはいけないと思います。
今回出た、終盤の課題をどう解決するか?を、この2週間でしっかり対策案を考えて、次節のセレッソ戦に臨んで欲しいと思います。優勝するためには、次節こそ必勝なのですから。
印象的だった選手たち
圧倒的なパフォーマンス サンタナ選手
もうスーパーな活躍でした。
8分の荻原選手のハイボールのパスを右足でいとも簡単に収め時間を作ります。51分には、グスタ選手のハイボールを今度は左足でうまく収めます。二つとも、前節の岡山のルカオ選手の見せたスーパートラップにも似た素晴らしいプレーでした。
20分、関根選手からのボールを背後の選手のプレッシャーをうまく交わして胸とラップしてチームを前進させます。
39分の関根選手の浮き気味のパスを、リフティングしながらターンしてキープしたシーンでは、思わず”うわ”っと声をあげてしまいました。解説の福田さんも、”うまい”と声を出していましたね。
また、78分の西川選手の裏へのロングフィードをいとも簡単に足裏で収め、すぐさま左足でシュート。しっかり枠をとらえていました。
54分と61分の絶好機を決めることができなかったのが残念でしたが、確実にコンディションがピークに来ていることを感じさせるプレーのオンパレードだったと思います。

逞しさが増した グスタ選手
”サッカーはアートだ”と本人が語るグスタ選手。本来の華麗なプレーはさることながら、この試合で感じたのは、彼の逞しさでした。
Jリーグ2年目、ようやくフィジカルコンタクトが多いJリーグに慣れてきた感があり、その中で力強く進化しているように見えます。頼もしくて仕方がありません。
また、ボールを受ける際に動きながらもらうようになっていること。7分のシーンのように、ビルドアップ時、西川選手からのボールを受ける時に動きながらもらっている。動きが止まらないのです。以前はボールを受ける際に、あまり動きがなかったのですが、出し手が迷わなくていいようにわかりやすいポジショニングができている気がします。

全てにおいてハイレベルな 金子選手
金子選手の入団前、プレー集を見る程度しか彼を知らなかったため、キレのあるドリブルと正確無比の左足のキックの印象が強い選手でした。
しかしながら、彼はそれだけではなく、すべてがハイレベルの選手だということがわかってきました。
・ポジショニングの良さ。特に、ビルドアップ時にボールを受けるポジショニングが絶妙。ボザ選手や関根選手から幾度となくボール受けている。
・周りを生かすことができる。スペースに走り込む選手に、絶妙なスルーパスを繰り出せる。正直、ドリブル&シュートのイメージが強かったので、ここまで周りを生かせる選手だったんだと感心。ミシャ監督のおかげかもしれませんね。
・フィジカル勝負でも負けない。この試合、前半48分の得点シーンで、金子選手が鹿島の安西選手とのヘディングバトルに勝ったところから、ゴールにつながっています。これには本当にびっくりしました。
・サボらない確実な守備。しっかりと相手との距離を詰め、相手に自由にプレーさせない守備を見せてくれます。特に、ネガティブトランジション時の守備への切り替えの速さは素晴らしいと思います。これもミシャ監督のおかげかも?
当然ながら持ち前のドリブルシュートは秀逸。47分に見せてくれた、右サイドを駆け上がり、内側に切れ込んで地を這うようなシュート。コンディションを上げて、このようなシーンをもっともっと見せてくれて、相手の脅威になっていって欲しいと思います。
昨年のACLを見ていて、韓国の光州FCに所属するアサニ選手をすごく気に入っています。右サイドのウインガーで、左利き。内側に入って正確無比のキックが特徴の選手です。まさに、金子選手にそっくりのプレースタイルです。
先日の公開練習後の自主練を見ていたら、金子選手は右サイドから切れ込んでシュートする練習を繰り返していましたが、ほとんどが枠を捉えコ、ースもギリギリ、すごいスピードのシュートでした。まさにアサニ選手にそっくり。そんなパフォーマンスを試合で何度となく繰り出して欲しいと、期待でワクワクしています。

トップ下固定で 泰志選手
当たり前ですが、この試合では前半47分のゴールに飛び込むプレーが印象的でした。関根選手のディフェンスラインとキーパーの間に絶妙なクロスを差し込み、そこにタイミングよく飛び込む泰志選手。ゴールへの嗅覚をも持ち合わせているのか!と新しい発見でした。
やはり、浦和のトップ下は泰志選手固定で決まりですね。

後半ロスタイムの失点シーンで、映った横顔に悔しさが滲み出ていましたし負けん気の強さを感じました。彼には、この悔しさを活かしてもっともっと浦和を強くしていって欲しい、引っ張っていって欲しいと思います。期待しています。
次の試合は、アウエイ セレッソ大阪戦
次は、3月28日(金) セレッソ大阪戦です。
優勝を目指す上で、そして今の流れを確実なものにするため、これまでの試合以上のモチベーションでセレッソを粉砕して欲しいと思います。
※なお、本記事の写真は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。