追い込まれたこの状況を打破できるのか?
痛恨の開幕4戦勝ちなし。しかも、前節のホーム開幕戦の柏戦は点差以上の完敗。
リーグ優勝を目指すと豪語していたチームが、1週間経ったこの岡山戦でキッカケを掴まない限り、優勝などほど遠いと思われるほどの状況に追い込まれています。
”個々の選手は能力のある選手ばかりだが、チームの戦術や一体感がないことで勝てない”
そんな言葉は2度と聞きたくありません。
そんな言葉を吹き飛ばして欲しいと思うこの岡山戦でした。
試合全体を通して
これまでの屈辱の試合と比べて、別のチームになった印象でした。本来の浦和が見えた気がしました。
むやみやたらなハイプレスをしなかった
マチェイ監督の理想の戦術は、ゴールに近いところでのハイプレスでボール奪取してからの攻撃なんだと思います。もしかしたら、浦和レッズのクラブの考え方を忠実に再現しようとしているのかも知れません。いづれにせよ、そういう戦い方を目指しているように思います。
しかしながら、帰宅後に見たDAZNの解説だった井原氏が試合中に、”サンタナも、サビオもプレスが上手い方ではない”と語っていました。確かにそうなんです。努力はしているとは言え、上手じゃないんです。見るからにわかります。得意でない選手がむやみやたらとハイプレスしても簡単に回避されて、全体の守備のバランスが崩れ、劣勢に陥ることが今シーズン何度もありました。
であれば、ミドルブロック、ハイラインで、コンパクトな陣形で守備のバランスを保って、パスを通さないようにする戦術もありですし、この試合ではそれが良くできていたと思います。前線でパスコースを規定して後ろに行けば行くほど、容易にボールを取りやすくなる、そんなフィルターのような守備ができていました。
なので今の浦和は、基本はミドルブロック、時々ハイプレス程度が良いのではないかと思うんです。
いづれにせよ、ハイプレスでいくのか、ミドルブロックなのか、ローブロックなのかを選手全員がその状況を理解して、距離感を保ち一体感を持って守ること。それが大事かなと思います。
そういう意味で、この試合はよくできていたと思いますし、試合前1週間でマチェイ監督が守備を修正してきた効果がはっきり出たのかなと思います。
ウイングバックの裏を徹底的に突いていた
京都、湘南、柏と3バックのチーム相手に無残な試合を見せつけられてきました。もっというと、キャンプの最後の試合、3バックの名古屋に手を焼いて、その時点で課題が浮き彫りだったのですから、いつになったら修正できるのか!本当に優勝する気があるのか!と怒りが込み上げてくるほど。そしてこの試合の岡山も3バック。いい加減、課題をクリアして欲しいと願うばかりでした。
そんな浦和の課題に対する答えが、上がりめのポジションをしているウイングバックの裏のスペースを突きまくることでした。
関根選手からのライン沿いの鋭い縦パスが金子選手へと渡り、彼からさらに右の裏のスペースへとボールを通し、そこに松本選手や安居選手が走り込んでクロスを上げる。そんなシーンが多くみられました。48分には、安居選手からのクロスをサンタナ選手が見事な股抜きシュートで決勝点をゲットしました。
左サイドでも、6分にサビオ選手から裏に抜けた松本選手へのスルーパス、28分に荻原選手から裏のスペースに走り込んだサンタナ選手へのスルーパスなど、サイドの裏をつくことを徹底していました。
柏戦では、相手ウイングバックが高い位置にポジショニングされ1対1でも負けて、いいように押し込まれていました。その反省もあって、この戦術で相手ウイングバックを高い位置が取れないようにすることは、相手を押し下げ押し込む上でかなり有効だったと思います。
しかしながら、この戦術は、特に松本選手や安居選手の運動量あってのもの。彼らのスペースへのランニングは、この試合のキーポイントともいうべきものだったと思います。
向上したプレス回避と安定したビルドアップ
岡山の前線の選手たちのプレスは、前半は弱かったのですが、後半頭からは西川選手にまでくるなどハイプレスに来ていました。
しかしながら、この試合、浦和のプレス回避に成長の跡が見られました。ビルドアップの出口が数多くあったように見えました。
グスタ選手にはしつこいぐらい一美選手がマークしていましたが、グスタ選手も動き回ってしっかりとビルドアップの出口になっていました。やはりグスタ選手は、スタメンでチームの軸になるべき選手だと感じました。
また、グスタ選手に厳しいマークがついてきた時は、サビオ選手が気を利かせて下がって受け手になっていました。
そして、金子選手がビルドアップの出口になっているのは素晴らしいと思いました。これまでの試合では、ディフェンスラインでボールを回している時のボザ選手の判断が遅く、相手選手のプレスを受けて、どうにも前進できないシーンが多く見られました。しかしながら、この試合では、判断よく金子選手に対しての縦パスを何本も差し込んでいたことから、これまでは受け手の問題だったのかなと思いました。そしてこの試合では、金子選手が秀逸な動きをしていたのではないかと思いました。また、関根選手から金子選手へのライン際の縦パスが何度も通っていたことからもそう言えると思いました。
相手ボール保持者への寄せが素晴らしく早かった
監督が相手のカウンターを防ぐため、ネガティブトランジションを早くすることをマチェイ監督が口にしていました。それがまさに具現化されていました。
逆にこれまでが遅すぎたとも言えますし、それこそがやる気がなかったように見える理由でもありました。
そういう意味で、今回のプレーをスタンダードとしてこれからの試合でも継続して欲しいと思いました。
70分過ぎには防戦一方になったのは課題
58分に、岡山がルカオ選手、木村選手を投入してから、だんだんと浦和が劣勢になっていきます。終盤は、クリアを連発。ゴールキックも、前線でサンタナ選手が孤立している状態で、ロングキックで飛ばすだけで、再び相手にボールを渡し、連続攻撃になってしまいます。62分に、松尾選手を投入した時点でさらに裏を突く作戦だったのかもしれませんが、松尾選手自体守備に追われて下り目のポジションでしかプレーできていませんでした。
いつも思うのですが、そんな時は、ボールキープが最大の守備なんじゃないかと思うのです。確かに自陣のゴールからボールを遠ざければ安全であるとも言えますが、相手ボールになればルカオ選手の頭を狙ってきますし、すぐに不利な状況に陥るのは明らかです。91分に関根選手を振り切り、ルカオ選手が放ったヘディングシュートは、本当に肝を冷やしました。
試合終盤の戦い方、クロージングの仕方を再考して欲しいと思います。
なんとしても勝つという強いメンタリティを感じた
これまでの試合で、チームは追い込まれている状況にあり、クラブや監督、選手たちもなんとかこの状況を打破しなければという強いメンタリティでこの試合に臨んできたに違いありません。
この試合の選手たちのプレーから感じた、一体感、集中力、プレーの鋭さから、この試合には絶対勝つと言ったメンタリティを感じました。
しかし、厳しい言い方ですが、これもスタンダード、当たり前であるべき。なぜならリーグ優勝を狙っているチームなんですから。
常にこんなメンタリティを表現する試合を続けて欲しいと切に願います。

印象的だった選手たち
裏を突きまくった 松本選手と安居選手
まさに、左右のサイドを突きまくったのが、松本選手と安居選手。
松本選手は、プレスの掛け方のうまさと、裏への飛び出しという点で、トップ下に固定すべき選手だなと思いました。本当に素晴らしい選手が浦和に来てくれたなと思いますし、早く浦和初ゴールを取って、さらに絶好調になって欲しいと思います。

また、安居選手のプレーは、完全に一皮向けたなと思いました。48分のサンタナ選手の得点シーンでの裏のスペースへの走り込みは鬼神のようでしたし、あの走り込みがなかったら勝てていませんでした。23年第3節、駒場での新潟戦でマチェイ監督に初勝利をプレゼントしたミドルシュートに匹敵するほどの活躍だったと思います。

また、この試合では、はたから見ると不安になる程、関根選手がウチに入ったり前に出たりと縦横無尽にポジションチェンジをしていました。その空いた右サイドのポジションを安居選手がしっかり埋めるなど、機転の効いたプレーを見せてくれました。そういう意味で、グスタ選手と左右のポジションが逆だったのも良かったと思います。
凌磨選手のボランチ起用によって、ボランチのポジション争いは熾烈になっていますが、この試合で安居選手が見せてくれたパフォーマンスはまさにマチェイ監督が望む8番像、ボランチ像だと思います。このようなプレーを見せ続けることで、監督を悩ませ続け、その先に日本代表への道もひらけてくるのではないか?と思います。
圧倒的な存在感 グスタ選手
やはり、圧倒的な存在感を見せてくれていると思います。改めて思うのは、今の浦和を上昇機運に持っていくキーマンは、グスタ選手に違いありません。彼の能力を発揮させることは不可欠なことです。

攻撃の展開力は、チーム随一のセンスを持っています。彼が見せるワンタッチプレーは、チームのビルドアップと攻撃のテンポアップに明らかに貢献しています。
プレー強度も確実に上がっています。以前は、強度強くアタックされるとボールロストするシーンが多かったのですが、そういうシーンが少なくなってきました。
守備での安定感も向上しています。相手への寄せるタイミングも良くなって、相手からのボール奪取するシーンも増えてきました。
また、ゴール前まで走り込むシーンも増えており、昨年に比べて明らかに積極的です。昨年のアウエイ湘南戦で見せてくれたミドルシュートも積極的に狙って欲しいと思います。
この試合では、安居選手と左右入れ替わり、左側でプレーしたわけですが、サビオ選手との関係性が良く、この二人の息があったらすごいプレーが生まれるのではなかろうか?とすごくワクワクしました。そういう意味でもこの左右のポジションチェンジは良かったと思いました。
安定のビルドアップと守備を見せた ボザ選手
公式戦4試合を経て、ボザ選手はかなり慣れてきた印象で、プレーに余裕を感じるようになりました。

柏戦までのプレーを見ていると、井上選手の方が安定していると思ったのですが、ようやく、本来の力を発揮できるようになっってきた気がしました。ビルドアップの出口がいくつもあったこともありましたが、これまでにあまり見られなかった積極的な前線への縦パスがいくつか見られました。相手プレスに対しても落ち着いてボールをキープし、プレス回避できていました。
本来のポテンシャルを見せ出したボザ選手。これからもどんどん良くなって欲しいと思います。
キャプテンとして縦横無尽の活躍 関根選手
関根選手は、最後のルカオ選手のヘディングシュートの時に競っていたシーンは肝を冷やしましたが、それ以外は非常に安定した守備でした。
しかしながら、スタンドで見ていて、”どこに行くの?”と思うほど、ポジションチェンジというか、グイグイ前に進んでいきました。サイドバックのポジションから、縦パス、前線へのロングフィードを繰り出していたかと思ったら、金子選手を追い越して裏への走り込んだり、ボランチの位置、ゴール前など中央にまで進出したりと、縦横無尽の活躍だったと思います。

ちょっとヒヤヒヤして見ていましたが、金子選手や安居選手がしっかりと関根選手のポジションをカバーしていましたし、それがしっかりと共通理解されていたと思いました。
闘莉王選手が上がって行った後の、鈴木啓太選手のカバー。そんなことを思い出しました。
とにかく、勝ちたいというキャプテン関根選手の気持ちの表れだったのかと思いました。
岡山サポーターに教えられました
この試合、アウェイ席を埋め尽くすほどの岡山サポーターが大挙観戦していました。
個人的には、”桃太郎”の応援歌を楽しみにしていたのですが、ちょうど試合前のトイレに行っていて、生で聞くことができずに残念でした。
試合後に岡山サポーターが数多く投稿していた、浦和サポーターや埼玉スタジアムに対する称賛や憧れの言葉を数多く目にして、とても嬉しくもありながら気付かされることがありました。
このクラブとその環境に感謝しなければならない
こんなコメントが多くありました。
・浦和のサポーターが見せる、相手への声や旗の圧力や応援の一体感が素晴らしい
・負けたにも関わらず、試合後の”We are DIAMONDS”が聴けて良かった
・浦和の歴史、何世代もの人が集うこの空間が作り出す雰囲気が独特かつ素晴らしい
・サッカー専用スタジアムの素晴らしさを感じ、岡山にもスタジアムが欲しい
初めてのJ1リーグ参戦、初めての埼玉スタジアムでの試合で、彼らの目に映る浦和がそういうふうに見えていることに、とても嬉しく思いました。そんな環境で応援していて、それが当たり前になっている自分としては、そんなコメントを新鮮に感じ、改めて素晴らしい環境にいるんだなと教えてもらいました。
”初心忘れるべからず!” ”リスペクトを忘れるな!”
馴れ合いのように対戦しているこれまでのJ1リーグのクラブとは、多くの年月を経て数多くの歴史を刻んできました。好意的な関係のクラブもあれば、悪意の感情を抱くクラブもあります。
プロスポーツは勝負の世界ですから、勝ち続ければサポーターは満足ですし、負け続ければ色々な負の感情が湧いてきて相手クラブやサポーターに対しても悪意を抱くこともあります。人間ですから。
しかし、それではいけないんだと岡山サポーターを見て思いました。J1で戦える嬉しさが満ち溢れた彼らの素直で純粋なコメントから、
”高慢にならず、常に初心を忘るるべからず”
”相手へのリスペクトを忘れるな!”
ということを教わった気がしました。
次の試合は、アウエイ鹿島戦
次は、3月16日(日) 鹿島アントラーズ戦です。
現在首位で好調の鹿島。今年は、当たるのが早過ぎるし、もう少しチームが完成してからがっぷり四つで戦いたかったという気持ちはあります。しかしそんなことを言っても始まりません。
この岡山戦でのパフォーマンスを継続していくことが大事。その勢いでしっかりと戦って勝って欲しいと思います。
※なお、本記事の写真の中で、自分で撮影した写真以外は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。