町田戦の高パフォーマンスを継続できるか?
前節の町田戦は、気持ちのいい完勝。正直、町田らしさを感じないほど、浦和が完全に上回った試合でした。
今節は中2日と厳しい日程ながら、ホーム5連戦のスタートとなる京都サンガ戦です。
あれ?京都とは、つい最近対戦しなかったっけ?という印象。2月に対戦して、約2ヶ月しか経っていません。しかし、これもクラブワールドカップの影響で、早まった試合なんでしょう。今節は、ACLEに出場するチーム以外は、ルヴァンカップをやっていましたから。
前回のアウエイでの京都戦は、エリアス選手の荒いプレーで凌磨選手が負傷退場し、そこから浦和の不調が始まったと言っても過言ではありませんでした。そういう意味では、その悔しさを晴らしたい対戦です。
そして、前節の町田戦での流れをいかに安定したものにできるか?連勝に繋げていくか?が課題の試合だとも思いました。
結果的には、町田戦で見せたパフォーマンスをしっかりと継続し、見事に連勝。いよいよ、本領発揮のフェーズに入ったことを示す試合となりました。

試合全体を通して
町田戦の良かった点はしっかり継続
町田戦では、試合を通して以下のことを感じました。
・守備では、連動したプレスとハイラインキープ
・特徴的だったボールホルダーに対する寄せの鋭さ
・攻撃では、ロングフィードとワンタッチパスが多くみられた
・ついに選手がイキイキとプレーし始めたぞ!
この試合でもしっかりとそれを継続できていました。
京都のハイプレスに対して落ち着いて対応できていた
町田戦と違っていた点としては、ロングボールで前進するよりは、ディフェンスラインからしっかりと繋いでビルドアップするシーンが多かったと思います。
これまでは、相手にハイプレスにこられると出しどころに困ってディフェンスラインが下がってしまい、さらに防戦一方になることがありました。外から見ると怖がっているように見えました。
しかし、この試合では余裕を感じました。京都の選手がハイプレスに来ても、ただ引き付けているだけのような印象。
その余裕の要因を考えると、以前よりビルドアップの出口が多彩になったことがあると思います。
まずは、ボランチへの出口としては、これまでのグスタ選手です。彼は西川選手からのボールをワンタッチでサイドに叩くプレーで前進します。今は彼だけでなく、最近このプレーを安居選手もできるようになっています。これはすごく大きいことだと思います。横でプレーするグスタ選手のプレーを見て、しっかりと真似して自分のものにする安居選手は素晴らしいと思いました。
それ以外にも、金子選手やサビオ選手が、パスの受け手やターゲットとなってヘディングで落としたりするパターンもあって、相手選手もなかなか的がしぼりにくいのではないかと思います。
そして、出しどころに困ると、凌磨選手が気の利いたプレーで降りて受け手になります。
そう言った選択肢の増加が、余裕となってプレーに現れているのではないかと思うんです。
ファイナルサードでの流れるような攻撃
この試合では、ファイナルサードでの流れるようなプレーを何度もみることができました。
最も素晴らしかったのは、凌磨選手のゴールのシーン。58分、サビオ選手のサイドチェンジのボールを金子選手がヘッドで裏に落とし、松尾選手、金子選手、石原選手、グスタ選手と繋ぎ、グスタ選手がパシージョと呼ばれるプレーで安居選手に当ててリターンを受けて前進。前が開いてパスコースが見えた瞬間に、地を這うスルーパスが凌磨選手へ。凌磨選手が落ち着いて、シュートフェイントしてからの見事なゴールでした。
この一連のプレーは、選手間の関係性の良さと、マチェイ戦術の成熟度を感じさせてくれました。
こういうシーンをどんどん増やしていってほしいと思いますし、増えていくと思います。
連続的なプレスで囲んでボールを奪い取る
ネガティブトランジションでの即時奪回。これが今の戦術の大事なポイントだと思います。
特徴的だったのは、41分のシーン。安居選手からのパスを、サビオ選手が叩いて、裏を狙いますが、相手ボールになってしまいます。その瞬間、凌磨選手、金子選手、松尾選手、安居選手が畳み掛けて、フリーキックを得ます。
切り替えの時の集中力は本当に素晴らしいと感じています。

マチェイ戦術が浸透し、一体感がさらに増してきた
開幕してから神戸戦などハマった試合はいくつかあったものの、総じてマチェイ監督のやりたい戦術が試合内容に表現できないような試合が続きました。選手たちも迷っているように見えたり、チグハグなプレーが見られていました。
それが、今思えば福岡戦が転機だった気がします。それから明確な戦術が見えるようになり、チームの一体感が増してきて、確実に良い方向に向いてきています。
チーム戦術がようやく浸透してきた
開幕してからの試合は、戦術の幅、引き出しが少なかったと思います。神戸戦や鹿島戦など戦術がハマった試合は良かったのですが、特にハイプレスのチームや3バックのチームに苦戦し、何がやりたいのか?わからない試合で敗戦してきました。
それが、ここに来て明らかに戦術が選手たちに浸透してきた感があります。ここ2試合のプレー戦術がマチェイ監督がやりたかったサッカーだったんだなと、そう感じました。
ハイプレスのチームに対して、ビルドアップの出口が増えたことで、余裕を持ってハイプレスのチームをいなすことができています。
3バックのチームに対しては、相手の両サイドの裏をロングボールで徹底的に狙い、セカンドボールをしっかり拾って攻撃に繋げています。
そして選手間の連携が改善したことで、ワンタッチプレーが増加。流れるようなスピーディな攻撃が増えてきました。
そしてミドルブロック、時々ハイプレスのコンパクトな守備。そしてネガティブトランジションでの即時奪回。
これからは、そのチーム戦術の精度をさらに上げつつ、完成度を上げていってほしいと思います。
クラブW杯に向けて、守備が構築できてきたのは大きい
また、ここまで積み上げてきて出来上がってきた守備は、クラブワールドカップを見据えても非常に重要で価値があると思います。
対戦相手は、格上のチームばかりではありますし、守備をする時間が多くなるに違いありません。その意味で、彼らと戦う上でしっかりとした守備は必須です。
そんな中、スピーディなビルドアップからの流れるような攻撃が仕掛けられたら、勝算はあるんじゃないかと思います。
マチェイ監督は、そんなことをイメージしながらチーム構築を進めているに違いないと思っています。
更なるパフォーマンス継続には、サブ組の底上げが必須
この戦術を安定して続けていきリーグ優勝に繋げるために重要なこと。それは、サブ組の活躍だと思います。
元気選手や関根選手は、ベテラン選手としてチームの中での役割をしっかりと理解しているでしょう。その役割を果たしつつも、本来の彼らの攻撃的な活躍を見せてほしいと思います。元気選手は、プレーを見ていると徐々にキレが戻ってきているようですし、夏場に向けてコンディションを上げて活躍してほしいと思います。
また、長倉選手も、徐々にプレー時間を伸ばしています。新潟で見せた本来のプレーを見ることができれば、確実にスーパーサブになれますし、早くゴールを見たいと思います。
そして、利樹選手や大久保選手、早川選手も黙ってはいないでしょう。井上選手や自分の一押しの翔哉選手だって。
また、密かに期待しているのは、柴戸選手。怪我から復帰して本調子になれば、攻守にわたって明らかに戦力アップに貢献してくれるに違いありません。
サブ組も少しでも試合に絡んでくれば、より当事者意識が芽生え、一体感が増すものです。
交代については保守的なマチェイ監督ですが、少しずつでもいいのでサブ組を使って、よりチームの一体感を増やすマネージメントをしてほしいと思います。

印象的だった選手たち
個人的MVPは グスタ選手
この試合でのグスタ選手は、本当に攻守に渡って力強いスーパーな活躍でした。正直びっくりしました!
フィジカルが特徴のJリーグにおいて、これまでフィジカル勝負で弱さを見せていたグスタ選手でしたが、ようやく順応して本領発揮できるようになってきたと思います。

特筆したいのは力強い守備
グスタ選手がこんなに力強い守備ができるなんて。
いやーこんな才能があったのなら、”能ある鷹は爪を隠す”ではなく”爪を出せ”でお願いしますよーって思っちゃいました。
・スライディングクリアやパスカットでボール奪取。(7分、30分、35分、67分)
ここまで多いのは初めてではないかなと思います。それくらい、守備に対する集中力高さを感じます。
・身長を生かしたヘディングクリア。(39分、93分、94分)
試合終盤の相手のクロスボールを跳ね返すプレーは、チーム全体をかなり救っていたと思います。このプレーもこれまでそう多くなかった印象です。
・危ないところをファールで止める。(34分、38分)
また危ないシーンで相手ボールホルダーへとしっかりと寄せて、ファールを犯してまでもしっかりと止めてくれました。
本来の攻撃力はさらに鋭さを増す
守備だけではなく、攻撃力においても明らかに進化が見られました。
・ビルドアップ時に後ろ向きでもしっかりとキープ。(14分)
これまで、ビルドアップ時に、ディフェンスラインからボールを受けると、後ろから来る相手選手に対しバランスを崩してボールロストするシーンが見られました。しかし、この試合では、そんなシーンでもしっかりキープし、ファールをもらうなど、安心感のあるプレーが見られました。
・冴え渡るスルーパス。(58分、63分、67分)
痺れるスルーパスは、本当に見応えあります。特に58分に凌磨選手のゴールに繋がったスルーパスは絶品でした。もっともっと見たいと思います。
・ポケットへの走り込み。(47分)
パスを出すだけではなく、パス&ゴー、動きを止めずポケットに走り込むプレーは、これからもどんどん見せてほしいと思いました。
明らかに意識が変わったように感じる
町田戦の記事にも書きましたが、前節から明らかに意識が変わった気がします。
勝手な推測ですが、やはり、あの公開練習後の青空会議が転機になったに違いありません。マチェイ監督と腹を割って話し合ったことで、彼の中で気持ちの整理ができ、悶々としていた気持ちが晴れて吹っ切れたのだと思っています。

粘り強い安定した守備を見せた 長沼選手
この試合では、長沼選手の守備が光っていました。
これまで、彼の守備はボールホルダーに対して素早く寄せて相手を自由にさせない守備の印象が強かったのです。
最近の彼は、こんなに粘り強く守備ができるのかと思うほど頼もしい守備を見せてくれます。56分、相手選手と戦いながらも守備をして、ゴールキックにしたシーンはそれを象徴していると思います。

加えて、この試合では、プレスを受けても、ターンして軽やかに回避したり、同サイドのサビオ選手とのコンビネーションで前進しシュートするなど、積極的な姿勢も見せてくれました。
彼の実力はこんなもんじゃありません。鳥栖時代に何度となくゴールを決められた記憶が忘れられません。これからもっともっと存在感を増してくれる、そう信じています。
次の試合は、ホーム 横浜戦
次は、4月20日(日) 中3日、厳しい日程ですが、ホーム 横浜Fマリノス戦です。
横浜は絶不調ではありますが、ホーランド監督が解任され、気持ちを新たに戦ってくるに違いありません。真正面から戦って、勝ち切ることが大切です。
連勝が続けられるよう、できる限りの声を選手たちに届けたいと思います。
※なお、本記事の写真は、自分が撮影した写真以外は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。