厳しい日程の中、好調を維持できるか?
ここまで4連勝。そして、ホーム3連勝と勢いに乗る浦和。
今節の相手は、ヴェルディ東京。昨年の味の素スタジアムで行われたアウエイ戦は本当に屈辱でした。あまりにも不甲斐ないその試合を見て、その次の柏戦のボイコットを決めました。その時の記事を読み返してみると、当時の気持ちが蘇ってきます。

この試合は、その雪辱を晴らしてほしいという気持ちでいっぱいでした。
結果的には、2-0。前半は完全に圧倒して試合を支配、後半はやや劣勢になるもしっかり守ってシャッタアウト。5連勝を飾るのでした。

試合全体を通して
完全に支配した前半、痛快なビルドアップが素晴らしかった
完全に浦和が支配したと言っていい前半だったと思います。
特に、ビルドアップが素晴らしかった。この試合では、ヴェルディの特徴でもあるハイプレスに対してロングキックで絶対に逃げないと決意していたかのごとく、しっかりと繋ぎビルドアップしていきます。MDPの監督のメッセージに、”この1週間で、ビルドアップとファイナルサードでの決定率を上げるための練習に力を入れた”とあったように、その練習の成果を試すために自らに課したテストのように感じました。そして、そのテストは、100点満点だったと思います。
ビルドアップのパターンも実に多彩で、ビルドアップの出口がいくつもあったと思います。
・西川選手から、1個飛ばしのミドルキックでサイドバックの石原選手、長沼選手に渡る
・ボランチの2人が受ける
・前線の選手(凌磨選手、松尾選手、金子選手、サビオ選手)が下がって受ける
・西川選手から金子選手に目掛けてのパントキック
また、ディフェンスラインでボールを回していても、ヴェルディのハイプレスに対して全くと言って動じることなく、余裕すら感じるほどでした。
ビルドアップでサポーターが”うわー””うおー”と歓声を上げるほど、痛快だったと思います。
浦和は、今シーズン初めから、前進の仕方として2刀流を貫いてきました。しっかりと後ろで繋いでビルドアップするのと、ロングボールのこぼれ球をしっかり拾う、この2つです。
中途半端になるから、どちらかに統一したほうがいいんじゃないか?という有識者の意見を聞いたことがありますが、自分は反対でした。この2刀流が完成すれば戦い方の幅は広がるし、様々な相手チームに対して対応ができるようになるからです。この試合を見て、2刀流が完成しつつある気がしてきました。
パシージョが至る所で炸裂、中央突破が多く見られた
今年のキャンプでのキーワードであったパシージョ。壁パス、ワンツーとも言われると思いますが、公開練習でも、その練習のシーンを多くみることができます。これまで、しつこいくらいに練習して根付いてきたパシージョが、この試合ではチーム全体として完全に根付いた感がありました。そのワンタッチプレーで、相手の守備を寄せ付けず、前進していきます。
これまでサイドでのパシージョは多く見られていたのですが、この試合では、中央でのパシージョが多く見られたことが特徴的だったと思います。16分、23分、27分と中央突破を見せて惜しいシーンを多く見せてくれました。これが、監督のいうファイナルサードでの決定率を上げる練習の成果だったとしたら、これもわかりやすい成果だったんじゃないかと思いました。
また、松尾選手、凌磨選手、サビオ選手、金子選手のポジションチェンジが、この試合はこれまで以上に多く見られました。特に金子選手が中央や左まで行ってプレーするシーンも見られました。そのポジションチェンジも、穴ができることなく実にスムーズでした。その意味でも選手たちの関係性、連動性がかなり極まってきているように見えます。
松尾選手と凌磨選手の個人技で2点リード
そんな押せ押せの展開の中、松尾選手のカットインから針の穴を通すようなスーパーゴールと、コーナーキックのこぼれ球を凌磨選手がふかさずに低く抑えたシュートでのゴールで前半で2点のリードを奪います。

この複数得点は、終盤に監督の選手交代の判断をしやすくしたと思います。そういう意味で重要だったと思います。
さらに強くなっていくためには、3点目を早い時間帯で取ることが重要だと思います。今後の連戦で勝ち続けるために、早めの交代でスタメンの選手たちを休ませることができるからです。
後半は、ヴェルディのダイナミックさに押される
後半に入って、ヴェルディ城福監督の魂が再注入されたのか?立ち上がりからボールを支配され、浦和は引き気味になっていきました。守備の強度も上がってマンマーク気味に、浦和の選手を自由にさせませんでした。
特に、斎藤選手がうまくボールの受け手となって、浦和のプレスをうまく回避していきました。彼の投入が流れを変えたとも言えます。
しかし、ヴェルディは前進して攻め込むも、なかなか中央への進入ができません。外回しのパスに終始します。
そして浦和は、ビルドアップの自信がチームの勢いを取り戻してくれました。これまでの試合だったら、だんだんと浦和のクリアボールが増え、そのボールを拾われて攻められるという負のサイクルが続いて、守備一辺倒になっていたと思います。
また、交代選手がしっかりと押し返す役割をしてくれたと思います。利樹選手、二田選手と相手を押し下げる良い活躍をしてくれていたと思います。特に、利樹選手の前線プレスと裏への突破は、相手にプレッシャーを与えていました。そのおかげで谷口選手のDOGSOでの退場につながりました。
そして翔哉選手。久々に見ることができる彼のプレーが鮮烈でした。交代で登場してすぐの77分、利樹選手の突破でもらったフリーキックが惜しくもポストに阻まれるも、復活の一撃となってほしかったフリーキックでした。


印象的だった選手たち
個人的MVPは西川選手
この試合、全員が素晴らしいプレーを見せてくれましたので、印象的な選手を上げるのが難しいいのですが、唯一挙げるとすれば、西川選手かなと思いました。
この試合で特に印象的だったのは、ビルドアップの1発目に、多彩なキックで相手のハイプレスを翻弄していたところです。特に長めの鋭い縦パスをサビオ選手や安居選手に通していたところは、これまでには少なかったプレーでした。勇気を持った縦パスには痺れました。
しかも、800試合出場記録達成なんて鉄人すぎます。どこまでも進化し続ける西川選手。末恐ろしくてなりません。
次の試合は、ホーム ガンバ戦
次は、5月6日(火) ホーム ガンバ戦です。
ホーム5連戦の最後の試合。スッキリ勝ってホーム5連勝といきたいところです。
しかし、相手がどこというよりかは、敵は雨なんです。
自分が思っているジンクスです。昨年の雨の試合では、勝ったイメージがなく、何度となく中止になったりといい思い出がありません。そのジンクスを払拭する試合にしてほしいと切に願います。
※なお、本記事の写真は、自分が撮影した写真以外は、浦和公式サイトの写真を引用させていただきました。