ここ数戦、マチェイ監督の凄みをひしひしと感じます
この前の日曜日にはルヴァン清水戦、金曜日にはリーグ戦アウエイ柏戦がありました。
チームは、ポジティブな面をどんどん出して上昇機運。1ヶ月後に迫るACL決勝に向けてチームが徐々に出来上がりつつあることが感じられます。
その中でも、最近自分の中で存在がどんどん大きくなっているのは、マチェイ監督です。
最初の見た目の印象は、もう少し冷酷で非情な監督なのか?と不安に思っていたのですが、実際は全く逆でした。
浦和のフロントは、本当にいい選択をしたと感じざるを得ません。賞賛に値します。こんなに素晴らしい監督を連れてくるなんて!
現時点でもう、浦和史上、最高の監督ではないか!と思っているほどです。
マチェイ監督の底知れない器の大きさ
自分が勝手に思うのは、監督として、また1人の人間としての底知れない器の大きさを感じるということです。そこを起点に全てがうまく回っている気がします。
監督としての毅然とした態度
ルヴァン清水戦のコメントでこう語っていました。
(日本人選手の多くは、構造が変化したときに順応できないところがある。これは日本サッカー全体が抱える問題のように感じられるが?)
「私の見解を言わせてもらえれば、監督としてチームをそこに慣れさせないといけない、順応させないといけないと思っています。構造を変えてそれが機能しなければ、機能させることができなかったのは監督だと思います。同じような状況でより良くサポートできるように、私もその部分はさらにハードワークしながら一生懸命やっていきたいと思います」
勝ったら時は選手のおかげ、負けた時は監督の責任とよく言いますが、マチェイ監督も構造を変えて機能させられなかったら監督の責任と毅然と語っています。矢面にたつ責任感を感じますね。
常に冷静である
意外に思うのは、小さなガッツポーズをする程度でゴールシーンでも冷静なことが多いことです。
まだ、自分の理想とする形に到達していないからなのか?まだ試合は終わっていないぞという気持ちなのか?いづれにしても感情に流されず冷静に見えます。
どっしり座った器の大きさを感じるシーンです。
勝利から逆算した考え方
結果から逆算する思考。これはどの世界でも、大事なことです。
彼からそれが垣間見れたのが、「ACLの決勝を1ヶ月後に控えて、選手を固定する」という発言。そこに現れていると思います。
つまり、目標を達成するためには、今何をやるべきか?冷静に思考できる監督だと思います。
サッカーでは、当然、勝利が目標となりますが、そこに向けたアプローチは、監督のカラーが出てきます。今までのリカ監督、ミシャ監督は、最終的に目標を達成するために自分のスタイルというものを捨てきれない、どちらかというとそういう手段が目標となってしまう傾向にある監督だったと思います。それこそが、強いのだけれども、肝心な時に勝ちきれなかった理由なんだと思います。
そういう意味で、マチェイ監督は勝ち切れる監督だと感じます。
柔軟な考え方
また、勝利が目標であり、その手段に対して自分の考えに固執しすぎないところにも凄みがあります。
1,2戦でハイプレス戦術が上手くいかなかった時、無理やり自分のやりたいスタイルに嵌め込むのではなく、現状の選手たちの特徴をつぶさに見ながら柔軟に戦術を変え、チームを勝利に導く。
ここに器の大きさ、引き出しの多さを感じざるを得ません。
視点の高さ、視野の広さ
全体をオーガナイズしている印象を感じますね。
フロント、コーチ陣、選手、サポーター全員をコントロールしているかのようです。全て、頭の中に入っていて、効果的な最適解をその場その場で繰り出してくれているように思えます。
まず、フロントに対して。おそらくシーズンスタート時にハイプレス戦略を標榜していたのは、土田さん初めフロントからの強い要望を汲み取ったからなんじゃないかなと思います。ちゃんと上からの要望をしっかり聞いて表現して、うまくチームにフィットさせるあたり素晴らしいと思いますし、フロントを満足させているんじゃないかなと思います。
そして、コーチ陣。個性的な人選もさることながら、それぞれが役割を持ってイキイキコーチングしていますし、公開練習でのシステマティックな流れるような練習は惚れ惚れします。試合の分析から練習メニューの選定、練習準備、練習中の声出し、選手とのコミュニケーションなど。素晴らしいコーチングスタッフなんだと感じます。それをまとめている監督ですからね。素晴らしいに決まっています。
選手に対しては、次にお話しするとして、サポーターに対しても試合後のコメントで最大の感謝を表していますし、我々のモチベーションを上げるような言葉を発してくれます。もう虜にさせられています。
リスペクトの心を持っている
で大事なのは、リスペクトの心を持っているということ。
今回の柏戦後のコメントで、こう語っています。
昨日までのレッズにとって、シュートのところはあまりストロングポイントではありませんでした。しかし本日はそこがうまくいき、今後はさらに改善していければと思いました。レッズの選手一人ひとりにリスペクトを感じています。非常に高い強度でいい仕事をしてくれたと思います。全員がチームのためにハードワークをしました。
試合内容でみんなが良かったという主旨なのかもしれませんが、根底には選手を大事にするという気持ちがある気がします。
表面上こうは言っていたとしても、実行するのはなかなか難しい。勝負事を戦っているリーダーとして、どうしても偏りがあったり自分の言うことを聞いてくれない選手を構想外にしてしまう監督は多いと思います。でも、彼はそれを丁寧に実行していると感じます。
公開練習に行くと、練習終了後選手と長い時間話込んでいるシーンをよく見かけます。自分が見かけただけでも、岩尾選手、酒井選手、リンセン選手、マリウス選手。
選手とのコミュニケーションをしっかり取る姿勢を大事にしているように見えます。
また、今回の柏戦後のシャルク選手に対するコメントがそれを物語っています。
(アレックス シャルク選手が1ゴール1アシストの活躍を見せた。リーグでは初めてのメンバー入りで、おそらく練習でも良いプレーをしていたからだと思うが?)
「彼は基本的に良い練習をする選手なのですが、ここ2週間くらいは彼の野心を感じました。彼とはいつも、面と向かって何度も話をしてきました。そして先週、メンバーに入らなかったことによってかなり落胆していましたので、そのときに彼には、『忍耐強くチャンスを待ってほしい。4月、5月には合わせて14試合もあって、連戦が続く。その中で必ずチャンスが訪れる』という話をしました」
この言葉が、みんなが大事な選手なんだよ。ちゃんと見ているからね!というメッセージに聞こえます。お互いが本音で語り合える、選手との良好なコミュニケーションができる監督なんだなと感じます。
また、柏戦後の興梠選手はこう語っています。
(Jリーグ公式サイト柏戦 興梠選手のコメントから引用しました)
マチェイ スコルジャ監督が「浦和の将軍」と呼んでいたが。どういうことなんでしょう(笑)。まあ、今までやってきた中でも本当に良い監督だと思いますし、選手を平等に見てくれているので、ああいう人には結果で恩返ししたいと思います。
選手を平等に扱ってくれるとリスペクトを表したり、彼のために恩返ししたいという気持ちが言葉に表れています。選手たちもリスペクトしていますね。確実に。組織としては、いい循環です!
マチェイ監督は、選手へのリスペクトが根底にあり、周囲とのコミュニケーションを大事にして意見をしっかり受け入れる器の大きさを兼ね備えているのだなとしみじみも思います。結果、選手にもリスペクトされるようになるのです。
また、前監督のリカルド監督へのリスペクトも表明していましたね。素晴らしいです。
選手に裁量を与えている
フットボールゾーンの記事から、小泉選手のコメントを参照させていただきと
「練習で色々なパターンや引き出しをやって、それを監督が提示してくれる。その中で自分たちがどう選ぶかは1週間の準備もあるし、今までの引き出し、去年までの引き出しもある。そういう中で、ピッチでどれが使えるのか見ながらできているのは今までにない新鮮な感じで、僕だけでなく岩尾選手とも調節しながらやっているので、その存在も大きい。立ち位置や引き出しもあるし、それをよりよく使うための個人戦術も、去年までと似たサッカーをすることで積み重なっている。相手と周りを見ながらプレーするのは立ち位置だけでなく個人戦術もあるので、それがマッチしてきている手応えがありますね」
大きな方針を与えて、状況に応じて選手が選ぶ選択肢を提示して、試合の状況に応じて選手に裁量を与えている。このことによって、選手たちが自ら考えてフォーメーションを変えることで戦況を素早く変えることができますし、何より小泉選手のコメントにもあるように、自主性が育まれると感じます。
選手たちが自分事で行動できる環境を作るのこと。これはまさに現代の企業活動においても同じことが言えるのではないかと思います。変化の激しい世の中で、いちいちトップの指示を待っていたら、競合するライバルに先を行かれます。そんな日本人的な考えから脱却し、現場が裁量を持ち、自ら思考し行動する企業がこれから生き残っていく企業になるのです。
マチェイ監督は、ヨーロッパスタイルと言いましょうか、そんな脱日本人的な思考を浦和の選手たちに植え付けてくれているんだと思います。そして、岩尾選手、小泉選手といった思考能力の高い選手たちが先頭にたってその思考を学ぼうとしている。想像するだけでワクワクが止まりません。
自分は信じてついていきます
ただ、まだシーズンは1ヶ月ほど経過しただけで序盤です。これからずっといい状況が続くとは限りません。相手も研究して対策を練ってくるでしょうし、日本の夏の暑さという厄介な敵もいます。悪い状態になってからの彼のコントロール力が問われるとは思います。しかし今見せてくれている監督力で上位をキープしてくれることを確信しています。信じてついていきます。
理想のチーム、組織を作り上げつつある彼は、社会的に見ても理想のリーダーであり、末長く浦和に在籍してくれることを切に願います。
サブの選手が活躍する好循環
また、監督力もさることながら、今の浦和の強みは、サブの選手がモチベーション高く試合に入って、流れを変えてくれたり、得点まで取ってくれるところ。選手層の厚さを示しています。
うまい具合に、ルヴァンカップの予選もあり、監督がうまく選手をマネージメントして、好循環を作り出していますね。
牲川選手
ルヴァン清水戦で初めて先発出場した牲川選手。
もう、卓越したフィード力と安定したセービングで好プレーを連発!
それを見て、自分は「だから、いったでしょう!!」って思いました。公開練習が再開された記事で書いたように、その時、牲川選手のパフォーマンスがすごかったからです。
ミレコーチの指導力もさることながら、彼自身の体格含めたポテンシャルは素晴らしいものがあります。
ザイオン選手も然り、吉田選手も然り、浦和のゴールキーパーは安泰と言えますね。
安居選手
もう彼のことが眩しくてたまらなくなってきました。
最近の彼は、交代で出てきても、力強く有効なプレーをしてくれます。今回の柏戦でのミドルシュートはもう痺れました!!
リプレイのスロー再生でもどういうこと?って思うくらいにめっちゃ速かった!!昔、阿部選手が山形戦で放ったミドルシュートも鮮烈でしたが、あのスピードを遥かに超える超速シュートでしたね。
順調な成長ぶりです。次のルヴァン川崎戦で、きっと決めてくれるでしょう。
シャルク選手
今回の柏戦は、それまでのストーリー含めて、彼の人格・人となりが現れましたね。
確かに、公開練習を見ていると、シャルク選手はサブ組のさらに若手組でプレーしたりしていました。また、なかなかシュートも入らずに、モチベーションとコンディション上げるの難しい状況なんだなと感じていました。
ただ、そんな中でも、元気に声出ししたり、公開練習にきているサポーターたちに手を振ったりと、柏戦後のコメントにある「凛とした」態度を貫いていた気がしました。
(加入からなかなか出場機会がなかったが?)
「もちろん、簡単な日々ではありませんでした。メンタル的にも強く、凛としてそれをキープする必要があります。毎日が簡単ではなく、その毎日の練習で自分をハードに追い込みながら持続する必要がありました。そして今日は監督が僕にチャンスをくれました。フットボールは時折シンプルなもので、このように結果が生まれます。そして個人的なことだけでもなく、今日の自分のゴールによってチームを助けることができました。ここからは今日つかんだこの地位をしっかりとキープするよう、今後も挑んでいきたいと思います」
また、選手としての気持ちを素直さ、監督に立場も考えながらチーム全体も考えて行動できる大人な思考を持っていると感じます。
(マチェイ スコルジャ監督が、前の試合でメンバーから外れてがっかりしていて話をしたと言っていたが、どんな話をして、どう立て直したのか?)
「監督との話はプライベートなので話すことは難しいのですが、選手にとって、時折残念な気持ち、いったん落ちたりするのは多少重要だと思います。そこで監督・チームメート・スタッフとコミュニケーションをしっかりととること、そして自分の気持ちを多少吐き出すことによって、深いコミュニケーションがお互いに取れることが多いですし、それがグループとして自分たちが上がって行くために、非常に重要なことだと思います。もちろん、監督は毎週18人しか選手を選べません。監督の気持ちを理解しながら、さらにそのような部分も見ながらお互いにコミュニケーションを取っていく、それがいいチームをつくるためには非常に重要な要素だと思っています」
本当に真摯に努力してきたものに幸運がおとづれる。そんなシーンを見れて自分は幸せでした。また、サポーターと喜びたかったという言葉にも彼の人となりを感じ、泣きそうになりました。
(今までの我慢、苦労があった中でのゴールで、あの場所にいたことが一番大切だったのでは?)
「間違いありません。時折サッカーはクレイジーなもので、このような瞬間のために頑張っていると思います。そしてもちろん、今日メンバー入りして、監督からは途中で20分与えられました。その20分の中で、今日はチームにとっても個人的にも、完璧なシナリオだったと思います。そしてこの勝ち、ゴールをファン・サポーターのみなさんと一緒に喜ぶこと、それがサッカーの魅力で、子供の頃からずっとプレーしていた夢が、この瞬間に全て詰まっていると思っています」
今後の試合もどんどんチャンスは増えます。カンテ選手の加入で、外国人枠含めて試合に出るのは難しくなってくる状況ですが、今のまま真摯に頑張っていれば、大丈夫!!応援しています!
明本選手
明本選手は、今シーズン初めからずっと最高のパフォーマンスですよね。
で、今はウイングの方がいいのではないか?と思うくらいの決定力。
守備はもともと強みであるだけに、サイドバックとしてあとはクロスの精度だけ。そこを今シーズン上げていけば、今今日本代表の左サイドバックは定まっていないと思うので、明本選手にもチャンスは大いにあると思っています。
敦樹選手同様、日本代表という高みを目指してこの調子で頑張ってください!!
次はルヴァン川崎戦
ルヴァンは引き分け続きでそろそろ勝たないといけないと思います。川崎は負傷者続出で、若い選手ばかりの出場になりそうですが、こちらも、フレッシュなメンバーで受けて立ち、今の連勝の流れを続けていきたいですね。
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