浦和レッズ 西野努TDが書いた本
ACL決勝を週末に控えていた先週、何気なく行った図書館で見つけたこの本。他クラブのサポーターから「ちょっと、浦和って自信過剰じゃない?」と言われそうな題名です。
これは、浦和の現テクニカルディレクター(通称TD)である西野努氏が、2007年ACL初制覇の直前に書いた本でした。浦和レッズサポーターとしては、読まないわけにはいかない!!と手に取りました。
題名:なぜ、浦和レッズだけが世界に認められるのか
著者:西野努
発行:東邦出版
改めて、クラブの狙いや本質はなんなのか?を学ぶことができました。そしてその考え方が礎となってずっと継承されてきて、大きくクラブが成長してきているんだなと実感することができました。
加えて、西野さんの情熱とポテンシャルの大きさを痛感しましたし、浦和の成長のためにも、これからもずっと長期で浦和のために仕事してもらいたいと心から思いました。
そして今、ACL決勝を経て、3度目のアジア王者になり、さらに、クラブワールドカップという世界への道が開かれた現状で、さらにこの本の内容が意味のある内容だなと感じてきました。
西野氏が選手だった頃
西野氏が浦和レッズの選手だった頃。思い出すために、大事に保管していたマッチデープログラムの束をあさっていたら、これが出てきました。
1997年シーズンのホームセレッソ戦のものです。監督はケッペル氏。西野さんは、ブッフバルト、ボリ、田畑選手たちとディフェンダーのレギュラー争いをしていた年でした。
西野さんのイメージは、勤勉さと鋭く跳ね返すハンマーヘッド。
大原に練習を見にいくと、いつも最後までボールを蹴っていた記憶があります。努力家でしたね。相手をしっかりマークしたら離さない、実直で労を惜しまないプレー。当時の髪型がやや角刈りのようだったところもあって、ちょっとハンマーヘッドみたいだなと思っていたのですが、その頭でハイボールをクリアするプレーが印象に残っています。
西野さんは、1993年〜2001年 浦和レッズでプレーして現役を引退。レッズの強化担当で働きながらもリバプールに留学したり、産業能率大学の教授となったりと、浦和の外の世界を学び、理論派として浦和に戻ってきて現在テクニカルディレクター(TD)として、浦和を引っ張ってくれています。
ビジネスとしてのサッカー
サッカーの本質
最初に出てくるこの言葉。まさにそうだなと思いました。
「サッカーは忍耐のスポーツである」
「サッカーは失敗の連続であり、プレーする側にとっても、それを観る側にとっても我慢の連続なのだ。その抑圧された状況のなかでまれに決まるゴールは、我々を天にも昇る気持ちにさせてくれる。この瞬間がたまらなくて人々はサッカーに夢中になる
この言葉に凝縮されていますね。
さらに付け加えるならば、家族のような身内感。自分のサポートするチームの選手のいろんな背景を知りながらも、彼らが結果をもたらすことができた時、立派に育った子供を見る親心とでも言いましょうか、なんとも言えない温かい気持ちになるものです。
サッカーの本質、魅力はここにあると断言できますね。
サッカーを支える(サポートする)魅力
この言葉は、まさに浦和サポーターに向けた言葉です。
彼らは観客としてただ試合を見ているだけではなく、12人目の選手としてあたかも自分が一緒に選手たちとプレーしているかのような気持ちで声援を送り、チームが勝てば自分が勝利の一端を担っているという満足感を得、負けた場合は自分の応援にさえ反省する要素を見つける。この意味では、観客もひとりの”Player”だと表現することは間違いではない。(中略)残念ながら、日本のスタジアムで(ヨーロッパの)この雰囲気を堪能することがまだできない。浦和レッズのホームゲームを除けばではあるが。
観客という言葉が違和感があるくらいです。試合を観ているではなく、参加していて、もっというと、闘っている。しかも全身全霊を込めて。特に北ゴール裏のコールリーダー付近の方達。
今回のACL決勝は、まさにそれを象徴したような試合でした。「動画は撮るな!」「レッズを勝たせるために来たんだろ!」などと硬派とも思える言葉が飛び交っていましたが、それも、彼らの純粋にチームを勝たせたいという気持ちがそうさせているはずですし、自分は彼らに清々しささえ感じます。
駒場のセレッソ戦での岩尾選手のオウンゴールでチームに嫌な流れになった時の、コールリーダーの「大丈夫!大丈夫!」という掛け声。これがチームが沈んでいきそうなところを勇気づけたファインプレーでしたし、一緒に闘っていたからこそ心から湧き出たというか滲み出た素晴らしい言葉だったと思います。
もはや浦和サポーターは、サポーターという言葉でいいのか?それ以上の存在のような気がします。いい言葉を考えてみましたがいい言葉が見つかりませんでした。
スポーツビジネスの特徴
この忠誠心という言葉。
(6つのスポーツビジネスの特徴を挙げた後)そしてプロサッカークラブに焦点を当てると、これらに加えて”地域性”と”ロイヤルティ(忠誠心)の高さ”というものが特徴として挙げられる。(中略)あるサッカークラブをサポートする人が、簡単にほかのクラブへ乗り換えるようなことは稀有だと言える。(中略)この”ロイヤルティの高さ”はほかのビジネスでは考えられず、サッカービジネスを語る上で最も大きな特性となっている。
浦和の場合は、忠誠心というお行儀のいい言葉では表せないものがありますね。でも忠誠心って裏切りたくても裏切れないっていうネガティブな印象があるのですが、自分が思うのは”愛さずにはいられない”って感覚です。裏切る気持ちなんてサラサラ感じません。もう生活の一部、人生の一部になっていますから。”浦和なしでは生きていけない”という中毒性を感じます。
何かの本で読んだんですが、「没頭する」ためには、その前段に必ず「不安を感じる」フェーズがあるとのこと。浦和の歴史はジェットコースターのような歴史。Jリーグ開幕当初2年連続最下位、その後J2降格を経験し、その後数多くのタイトルを取ってきましたが、浮き沈みが激しく、必ずしも常勝チームではありませんでした。そんな一抹の不安を感じさせる浦和レッズというチームが愛おしく没頭せざるを得ない魅力を持っていると感じています。
反面、最近YOUTUBERで2チームを応援しているサポーターですという方をよく見かけますが、そういう意味では、自分は忠誠心の塊。浮気する気持ちは全くなく、出身地のアビスパ福岡には目もくれず、浦和一筋30年です。
プロサッカークラブの商品
これも痛感する話です。
プロサッカークラブの商品(Products)とは、クラブがベースとしている地域で開催されるイベント(試合)である。(中略)アメリカスタイルとヨーロッパスタイルという非常にシンプルでわかりやすい分類が許されるとすれば、プロスポーツビジネスにおいて前者は試合前後も含めてお客様を楽しませる興行に徹するが、後者はピッチ上で行われる試合が全てであり必要以上の演出は行わない。(中略)浦和レッズのように試合が行われるピッチ上では一切こうしたイベントを行わないクラブもある。
浦和は、まさに硬派。戦うために、スタジアム内に余計な演出は不要というスタンスを貫き通しています。
真のプロスポーツの戦いを純粋に極限まで高めるために、やはり過剰な演出は不要と自分も考えます。全くいらない。試合前に集中力を高める時間に全く邪魔としか思えません。
先日のF1マイアミGPでの有名ラッパーによるドライバー紹介があり、ドライバーたちにとっても不評だったと言います。まさに、スタートに向けて精神を集中すべきタイミングでおちゃらけてられるはずがありませんし、そうすることで彼ら自身が最高のパフォーマンスを発揮できなかったとしたら、本末転倒。
ショー的要素は、スタジアム外か試合終了後にやるべきですね。まさに、そういった考えを浦和レッズは持っています。
浦和レッズの活動理念
これは、改めて確認しました。というか知らなかったです。先日、レッドボルテージに行ったら、その左脇のモニターに出ていましたが。
①浦和レッドダイヤモンズは、社会の一員として青少年の健全な発育に寄与します。
②浦和レッドダイヤモンズは、地域社会に健全なレクリエーションの場を提供します。
③浦和レッドダイヤモンズは、さいたま市から世界に向けて開かれた窓となります。ここには、浦和レッズが社会においてなすべきことが集約されている。地域社会での人材育成ならびに人々の生活を豊かにするエンターテーメントとレクリエーションの提供。そして、社会の一員であることを自覚させてくれる機会の創出。要約すると、こういうことである。
特に③の項目があったことに改めて気づき、これがまさに今の浦和の成長に通じる重要な活動理念であると信じています。
日本だけにとどまらず世界的視野で物事を考えているレッズ。この活動理念から通じる活動はいくつもあります。
・ACLという大会を最も重要視し、真剣に取り組んでいること。特に他クラブと比べてみても段違いの取り組み方であること。
・ハートフルサッカーも国内のみならず、海外でも実施しているということ。
・ヨーロッパやタイなど海外クラブとの積極的な提携と交流。
自分が知らないだけで、もっとたくさんあるのかも知れません。
やはり、おこがましいと周りのクラブから言われるかも知れませんが、そんなものは気にしません。口だけ目指すのと、それに実行が伴うのは雲泥の差があるからです。浦和は躊躇なく実行し、世界で結果を出しています。そういう意味で、日本サッカーを牽引していくことになるであろうクラブであるに違いない。この活動理念のもと、海外クラブにパフォーマンスでもスタジアムでの雰囲気でも一目おかれる存在になり、ビッククラブとして認められるようにならなければならないと思います。
その道のりを粛々と確実に進んでいるといっても過言ではないと思っています。
プロサッカークラブのマネージメント
やはり、チームへの投資が重要だということですね。
「選手にお金のかかっているチームが常にそうでないチームに勝つわけではないが、長期的に調べてみると、チームの人件費とリーグでのパフォーマンスは密接に関係していると言える」(中略)言い換えると、常に優勝争いをするようなチームになるためには、チームへ投資しなければならないということだ。チームへ投資することにより、リーグでのパフォーマンスが良くなり、お客さんが増え(入場料収入が増加)、そしてスポンサー収入も増加するという正のスパイラルが立証されている。
そして、ここは当時の浦和の強化部のことを説明しています。
クラブのなかで、この””Performance on the Pitch”を最大化しようとする部署が、いわゆる”強化部”(浦和レッズの場合)である。英語では、”Team Management Department”となるこの部署を統括するのがGM(General Manager)という役職である。正しい英語では、Technical ManagerとかSports Director/Managerの方が適しているのだが、日本のサッカー界ではGMと呼ぶのが一般的になっている。
当時は、森GMでしたが、現在は、土田SD/西野TDと正しい英語での表現に西野さんがしたんだと思います。
主な役割としては、選手、監督、スカウティング、チームの管理、下部組織の整備と管理であるが、そのなかでもGM(強化責任者)にとって最も重要な役割は、監督の人選&契約だろう。
短期的には、監督の人選がチームのパフォーマンスを左右する大きな要因となるし、また選手の契約にも関与することから財政的な影響も出てくる。中期、長期的には、クラブのブランドや歴史、カラーなどを考慮しながら、そうした歴史の流れの一部となるチームを作ることのできる監督であることが理想である。
監督の人選と監督の役割について述べていますが、今まさに、土田SD/西野TDとマチェイ監督との関係を想像するとここにある流れそのものだなと感じました。西野さんが当時自分で書いた通りに、今の自分が実行しているってことですね!素晴らしい。
浦和レッズのマネジメント
スポンサーシップ(パートナーシップ)
この言葉もグッときました。
浦和レッズがスポンサー企業のことを”パートナー”と呼ぶ理由は、クラブとスポンサー企業が常に対等な立場にあり、お互いのビジネスを助け合って進歩していきたいという思いが根底にある。長年続けてきたシーズン前のクラブが主催するスポンサー謝恩のパーティーを”感謝の会”と変更したことも、こうしてクラブのスタンスと思いが込められている。
浦和レッズという企業の根底にある素晴らしいところは、協力してくれるスポンサーやサポーターをリスペクトし対等な立場で考えていること。決して、下手に出たり、上から目線で見たりしてはいません。
これは、今の時代なかなか真似のできないこと、素晴らしいことですし、一企業の成功例とも言えるのではないかと思います。
自分の経験として日本の自動車メーカーに勤めていると、正直こんな考え方は皆無でした。裾野が広いところもあり、系列の部品メーカー含めて統率していく上では、トップダウン的な運営がなされてきていたのは事実。今の時代はどちらかというと、浦和の考え方にやっと追いついたというか共存共栄を目指した考え方ではないと生きていけない時代になっています。
そんな意味でも、素晴らしい考え方を持った経営をずっと続けてきていたことに感心し、「パートナー」という言葉の意味合いを深く理解しました。
浦和レッズは自らを”地域の公共財”と位置付けている。したがって、クラブが成長し利益を生み出した際には、その利益をホームタウンへ還元するという考えの下、ビジネスを行っている。
まさに共存共栄の考え方ですね。
そして、パートナー企業の一つであった、カブドットコム証券株式会社 常務執行役 臼田 巧美氏 へのインタビューでその通りだ!と思ったコメントがありました。
Q レッズに対して注文はありますか?
小さくまとまってほしくないのです。もっと欲を出して大きな存在となってもらい、さらに多くの人に幸せを提供してほしいと思います。利益を求めないではなく、さらに多くの人々にレッズを通じて幸せになってもらうために利益を追求すれば良いと思うのです。利益を出さずに還元するのではなく、利益を大きくして大きく還元すれば良いと。
本当にそう思います。あれほどの数のサポーターを魅了するクラブでありますし、世界を目指してどんどん成長して、日本のサポーターのみならず、世界のサポーターを魅了して、どんどん大きい存在になっていってほしい、サポーターが自慢できるクラブになっていってほしいと思います。
チケッティング・試合運営について
この本の中で、一番浦和の魂を感じた方へのインタビューでした。
浦和レッドダイヤモンズ 当時の事業本部運営部長 畑中 隆一氏。
長くサポーターをして、この方のお名前を存じ上げませんでした。こんな素晴らしい哲学を持ったお方がいらっしゃったのか!と感動しました。
(チケッティングについて重要視していることについて問われて)
4つあります。「ホームタウン優先チケット販売」「スタジアムの雰囲気づくりを重視した席割り」「招待券の不採用」「シーズンチケットの重視」です。
(中略)3つ目は招待券を配らないことです。チケットの価値を落とさないためにも、無料でチケットを配ることをクラブとして認めていません。我々はプロのサッカークラブであり、プロの興行をしなければなりません。言い換えると、お金を払っても観たいと思ってもらえる価値を提供しなければならないのです。
最後の2文に込められたプライド。心が震えました。
(”レッズワンダーランド”と謳われているスタジアムコンセプトについて問われて)
我々は、サポーターの応援は自発的なものでなければならないと考えます。クラブが与える特典ではなく、彼らが自分たちで気持ちを込めて行うものだと。したがって、ベースに存在するのが、クラブとサポーターたちとの対等な関係です。そういった自発的なサポーターの応援とスタジアムの雰囲気づくりを重要視するクラブの運営方針により、レッズワンダーランドという非日常空間が創り出されるのです。
サポーターの自発性を尊重し、それをサポートして一緒にスタジアムを作り上げるという考え方。深い深い考えというか、哲学が至る所に感じます。
(マスコットやチアリーディングなど他クラブがやっている取り組みをなぜやらないのか?と問われて)
例えば、ハーフタイムは選手にとってだけのハーフタイムではなく応援するサポーターたちにとっても休憩すべきハーフタイムだと思うのです。彼らも前半戦をチームとともに戦い、後半戦に備えて休み、準備をしなければならないのではないかと。したがって、ハーフタイムになにかを仕込んでお客様を楽しませる必要がないと考えています。
サポーターを選手と同等に扱ってくれて、不要なものはいらないと考えるシンプルかつストイックな考え方。浦和っぽい硬派な哲学を感じます。
(今までで印象に残る出来事はどんなことですか?と問われて)
2004年のセカンドステージで優勝を果たしたときに、表彰式後の場内1周のセレモニーで、選手たちが自主的に優勝カップをサポーターに手渡してくれました。選手たちにも「クラブとサポーターは一緒に戦う仲間だ」ということを感じてほしいと思ってましたので、自然とあのような行動をしてくれたときには嬉しかったです。
このエピソードも、キーワードは自主、自発。素晴らしいです。
(浦和レッズにとって、スタジアム・サポーターとはどのような存在ですか?と問われて)
スタジアムは我々の”家”です。サポーターたちは、”仲間”であり、”同士”です。
もうこの言葉で涙腺が崩壊しました。
畑中さん、浦和で働いてくれて本当にありがとうございました。
チームマネージメント
これは、これからもずっと変えない考え方として貫きとおして欲しいと思いました。
浦和レッズはある時期を境に中期的な目標設定がなされ、その目標に向かってクラブが一つになって進みはじめた。それが2002年シーズンの森孝慈氏のGM就任であった。10年という歴史を重ねてきたにも関わらず、何も蓄積されていないという危機感を持った当時の塚本高志社長は森氏へチームへの債権を託した。「監督が替わるたびに一からのスタートでは同じことの繰り返しに過ぎない。基盤を作り、経験を積み重ねていき、Jリーグで常に優勝争いをするようになるためのチームづくりをしてほしい」というオーダーだった。
2000年台は、森さんの功績もあり、Jリーグ初制覇を初め数々のタイトルを獲得できましたが、2010年代に入るとクラブの方針が迷走した感があります。まさにジェットコースター時代。それに終止符を打つために、この森さんの当時の考え方そのままに、2020年、西野さんも加わるフットボール本部が組織化され、今まさに実りつつあります。
この考え方は絶対崩してはならない。西野さんには、ずっと変わらず、末長く浦和レッズというクラブを引っ張っていって欲しいと切に願います。
ブランドとしての浦和レッズ
これはそう思います。
いまや日本一を自負する浦和レッズサポーターと彼らにより作り出されるスタジアムの雰囲気、名実共に日本一と言えるチームは、ほかのどのクラブよりも高いブランド価値を持っている。
サポーターの応援がすごいので、観に来るようになった新規サポーターも多くいらっしゃるんじゃないか?と思います。自分も、友人を誘ったりすると、サポーターの応援がすごい、仮に負けていても応援し続ける姿勢がすごいと言われます。
・日本一の応援によるスタジアムの雰囲気
・スター選手・監督の獲得&存在
・チームの成績
この3つの大きな要素がクラブのメディアバリューを高めている。
この3つは、本当に今後浦和がさらに大きくなっていくのに欠かせない要素だと思いますね。
海外クラブのブランド戦略
これは今後の浦和の課題になりうることかも知れません。
フットボールとビジネス。今となっては密接に関係し合い、別々に考えることなど不可能であるが、ヨーロッパの現状は過当競争の状態に入っていると言える。(中略)また、外国人投資家による相次ぐ買収は、プレミアリーグの価値やクラブのブランドが投資に値する収益を生むと考えられている証拠である。(中略)果たして、今のヨーロッパでトップレベルを争っているクラブの状態が健全な状態かと問われれば、健全立ち答えることは難しい。言い過ぎることを許してもらえるならば、ビジネスでの成功を追求するあまり、フットボールの真の価値である”On the pitch Performance”が二の次、三の次に追いやられていると言わざるを得ない。
やはりフットボールか?ビジネスか?のジレンマ。これはまさに鶏か?卵か?のような話。お金がなければ強くなれませんし、強くないとお金がもらえません。これからCWCという舞台が待っているという世界への拡大路線に向かうであろう現在位置で、今後のビジネスをどう考えるかの岐路に立っていると思います。ですが、次の項にその答えが書いてあるのです。
また、心配なのは、これから世界的なビッククラブへの道を歩んで行ってブランドばかりが先行すると、お祭り的に試合を観に来るサポーターが増えて、浦和サポーターが硬派なだけに、応援スタイル等々でイザコザが発生しないか?ということがあります。
これからの浦和レッズ
これだけ骨太な哲学があれば、大丈夫だと確信しました。
浦和レッズの進むべき方向性が浮かび上がってくる
①”Performance on the pitch”をなによりも優先させること(ビジネスは結果であり、目的でない。)
②常に日本のトップ、アジアのトップの地位を維持し、日本としての誇りを持ち世界へチャレンジし続けること。
③自分たちのコアバリュー(スタジアムの雰囲気)を見失わないこと。
④浦和レッズに関わるすべての人々に主体性を持って参加してもらうこと。
⑤地域社会に貢献することがどんなマーケティングよりも優先されること。
判断の指標、どちらを優先するか?が明確になっているためです。特に前の項での心配は、①の内容で回答されています。
本質を追求し続けたいという骨太な哲学だと思いました。
まとめ
何よりも、こう感じます。
この本を書いた西野さんが現在TDとして活躍して、この本に書かれている浦和が歩んできた歴史を逸脱することなく、さらに骨太に引っ張っていってくれていること。
本当に嬉しく、頼もしいと思わざるを得ません。
浦和がヨーロッパのビッグクラブと肩を並べるくらいになるまで、辞められませんね。末長くよろしくお願いします。
この本を購入してサポーターのバイブルとして持ち続けようと思いました。
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