電気自動車の技術進化どうなっていくのか?
ということに興味が湧き、手に取ったこの本。
題名:きちんと知りたい! 電気自動車メカニズムの基礎知識
著者:飯塚昭三
発行:日刊工業新聞社
最初に書いたまとめ記事には、全体的な感想をまとめてみました。
今回は、そこから注目した部分に関して、深掘りしていきたいと思っています。
今回は、充電についての取り組みです。
充電方法と規格について
BEVの課題といえば、充電(場所と充電時間)ですよね。いつの日か、EV車に置き換わっていくことが明らかではあるものの、ガソリン車にしか所有したことのない自分にとってみれば、この充電の課題がまだBEVに踏み切れない理由の一つに挙げられます。
二つの充電方法
充電方法には、普通充電と急速充電があります。
AUDI充電設備についてを参照させてもらうと、以下のようになります。
普通充電
3kwもしくは8kwの家庭用普通充電設備で、
想定滞在時間 / 充電量 (3kWの場合)
10時間 / 30kWh (Audi Q4 e-tronの場合、約230km分)
急速充電
150kWの急速充電設備で、
想定滞在時間 / 充電量 (150kWの場合)
10分 / 25kWh (Audi e-tron GTの場合、約150km分)
少し脱線しますが、AUDIは、プレミアム チャージングアライアンス(PCA)という充電サービスを展開中です。日本最大級の急速充電ネットワークで、アウディ、ポルシェ、フォルクスワーゲンの3ブランドのディーラーネットワークを中心に展開する90-150kW級出力のCHAdeMO規格急速充電器ネットワークを統合したプレミアム充電サービスです。
こう言った形で、メーカーの垣根を超えて各メーカーの各ディーラーが保有する急速充電システムをユーザーにシェアすることで、ユーザーの充電に関する不安をできるだけ減らしていこうという取り組み、素晴らしいと思います。
急速充電規格「CHAdeMO」
今回、注目したこの充電規格の名前、「CHAdeMO」。ローマ字読みすると、「ちゃでも」??「茶でも」??まさか、茶でもしてたら、充電完了するよ!的なダジャレか?と興味が湧きました。
調べてみると、こちらCHAdeMOのホームページから引用させてもらうと、
CHAdeMOは急速充電方式の名称で、「CHArge de MOve = 動く,進むためのチャージ」「de = 電気」「充電中にお茶でも」の3つの意味を含んでいます。私たちは充電インフラの技術開発を通じて電動車両の普及に貢献することを目指しています。
やはり。でも、わかりやすくてユニークなネーミングでいいと思います。
で、本書が教えてくれた、この規格の特徴は、
・日本発の急速充電の統一規格で、今や日本だけではなくヨーロッパ、アメリカ、アジアなど海外にも普及されている。
・急速充電スタンドとEVがCANによって通信しながら、EV側が自らのバッテリーの状態を見ながら、充電スタンド側に電流値を指令するとのこと。これにより、電池を保護しながら、最適かつ最速の充電が可能になる。
・今後、日本(CHAdeMO)と中国(GB/T 中国の急速充電規格)で、超高出力急速充電規格(最大900kw)を共同開発中。世界標準規格になる可能性も考えられる。
ただ充電スタンド側から大電流を流すだけではなく、どちらかというとEV側が充電のコントロールをしている事実。充電にも繊細な制御がされていることにちょっと感心しました。
実際に使ってみないと使い勝手はわからない
EV車をレンタルでもして長距離ドライブでもしながら、実際に使い勝手を体感しないと実感が湧きませんね。バッテリーの減り様や、充電のタイミングの判断、充電スポットを調べる手間、充電待ちの時間などの使い勝手が自分にとって許容なのか、許容できないのか。
カーメーカーは、カーボンニュートラルを唱って、EV化を進めていますが、同時に普及のために一般のユーザーにEVというものを身近に感じる取り組みをする必要があるのかなと思います。
ディーラーが、EV車を1泊2日レンタルするだとか。そんな取り組みを期待します。
将来に向けての充電技術 ワイヤレス給電
次に将来に向けての充電技術が開発されていることを、本書が教えてくれました。その中で自分にインパクトがあったのが、ワイヤレス充電です。
これはまさに、スマホの置くだけ充電の様なもの。まさにクルマがスマホ化していますね。
これが可能になることによって、充電作業の煩わしさや充電時間の長さと言った充電の欠点を補うことができます。
ワイヤレス充電(静止充電)
スマホのワイヤレス充電の主流は、電磁誘導方式ですが、伝達効率は高いのですが、伝達距離が短いのが欠点。確かにスマホを置く位置はかなりシビアな印象です。
そういう意味で、クルマには、磁界共鳴方式の方が有力視されています。
ただ、充電プラグを差す手間がないくらいのメリットしかないので、このままだと感覚的には普及が難しい技術なんじゃないかなと思います。
ワイヤレス給電(走りながら充電)
静止充電に限らず、走りながら充電できたら、世界は変わりますよね。これが、自分にとって今回印象深かった技術でした。そんなことできるの?って素直に思いましたし、すごい技術の切り口だなとも思いました。それに果敢に挑んでいる研究者やエンジニアの方々にも、リスペクトしかありません。
東京大学と企業の共同研究で進めているプロジェクトの動画を見つけましたので、参照させていただきます。
この動画のポイントとしては、
・まず初めに交差点で、次のステップで高速道路でのワイヤレス充電を考えている。
・交差点でのワイヤレス充電で、バッテリーが減らなくなる。
・それにより、バッテリーを小さく、車重を軽くでき、それにより航続距離が伸びる。
・本研究は、受電システムを車体側から車輪側に移動することで、路面に埋め込まれている給電システムとのクリアランスを一定にすることができ、充電効率を向上させることができる。
また、本気度が伝わってくると言いますか、技術的にお金がかかっていると感心したのは、
・インバーターをインホィールモーターと一体化(機電一体)するために円盤型の基盤を起こしている。
・モーターやインバーターの冷却システムもホィール内に一体化している。
・タイヤのビードにあるスチールベルトが給電時の磁束を妨げるということで、スチールベルトのないタイヤを開発
ということ。東京大学がイニシアチブをとっているものの、部品メーカーを巻き込んだかなりの規模かつ高価な開発であるということです。政府から助成金が入っているのかどうかわかりませんが、各企業も将来のポテンシャルを考慮して投資しているのであろうと思います。それだけ期待されているテーマなんだなというのが伺えます。
前々からインホィールモーターの技術に関しては、すごく注目していたので、さらにこの走行中充電ができたら、よりその魅力もアップしてくるので、期待の研究といえます。
電池交換方式の可能性
スマホの様な置くだけ充電のアイデアを適用するんだったら、スマホと同じように交換用バッテリーを差し込めるようにすればいいじゃん?って思いますよね。
現在、電動2輪車向けにホンダが開発した交換式のバッテリーを、国内の大手2輪メーカーが共用して使用するという流れがあります。
そうすれば、充電がなくなりそうになったら、バッテリー交換スポットに行って、満充電されたバッテリーと交換し、すぐに走り出すことができますよね。
クルマだと、互換性含めてなかなか難しいでしょうけれど、限定シーンで使うアイデアはないのかなと思います。2輪のサブ燃料タンクのようなイメージで、交換式のスロットをクルマ側に装備して、もう少しだけ走行距離を稼ぎたかったり、充電時間を短くしたかったりした時に使うようなイマージェンシーユースでどうかなと思ったりします。
充電システムの産業も活発になってくる
バッテリー自体の技術革新もさることながら、充電に関する技術もこれから技術テーマとして、活発な領域であることがわかりますね。いわば、ゲームチェンジャーになれるポテンシャルを持った領域であるともいえます。自動車会社や、バッテリーを作る会社、制御する会社、充電機器メーカーなど。これからもどのように進んでいくのか?これから目が離せません。日本の技術力を活かして、世界のトップに立てることを期待しています!
[…] 充電について【「電気自動車メカニズムの基礎知識」を読んで学んだことと深掘り】電気自動車の技術進化どうなっていくのか? ということに興味が湧き、手に取ったこの本。 題名: […]