電気自動車の技術進化どうなっていくのか?
ということに興味が湧き、手に取ったこの本。
題名:きちんと知りたい! 電気自動車メカニズムの基礎知識
著者:飯塚昭三
発行:日刊工業新聞社
最初に書いたまとめ記事には、全体的な感想をまとめてみました。
今回は、そこから注目した部分に関して、深掘りしていきたいと思っています。
今回は、超小型モビリティへの適用についての取り組みです。
乗用自動車の使用実態
本書では乗用自動車の使用実態が書かれています。
1日あたりの乗用自動車による移動距離は10km以内が約7割で、乗用人数は2人以下が大半を占め、3人以上は10〜20%程度という調査結果があります。また、高速道路の利用状況においても、全く利用しない人とほとんど利用しない人を合わせると、過半数の5割を超えています。
実際これは肌感覚として理解できますね。特に都市部ではよりこの傾向にあるかと思います。さいたま市は、ドンピシャですね。きっと。
その意味で、バイクでもなく軽自動車でもないその中間のモビリティのニーズというのは、潜在的にあるんだなと思いました。
国土交通省による超小型モビリティの定義
国土交通省が超小型モビリティについての定義を以下のように定義しています。
(国交省 超小型モビリティについてからの引用)
3種類あるということですね。
超小型モビリティとは、自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両をいいます。
超小型モビリティは、その大きさや定格出力に応じて、3つの区分(第一種原動機付自転車、軽自動車(型式指定車)、軽自動車(認定車))に分かれています。
第一種原動機付自転車 軽自動車 普通自動車 (ミニカー) 超小型モビリティ
(型式指定車)超小型モビリティ
(認定車)軽自動車 (小型自動車) 最高速度 60km/h
(道路交通法)構造上60km/h 個別の制限付与 構造上の制限なし 構造上の制限なし 定格出力 0.6kW以下 0.6kW超 0.6kW~8.0kW 0.6kW超 0.6kW超 長さ 2.5m以下 2.5m以下 3.4m以下 3.4m以下 12m以下
(4.7m以下)幅 1.3m以下 1.3m以下 1.48m以下 1.48m以下 2.5m以下
(1.7m以下)高さ 2.0m以下 2.0m以下 2.0m以下 2.0m以下 3.8m以下
(2.0m以下)
〇第一種原動機付自転車(ミニカー)
超小型モビリティのうち、第一種原動機付自転車の満たすべき定格出力・大きさ等を満たしているもの。〇超小型モビリティ(型式指定車)
超小型モビリティのうち、原動機付自転車の大きさ以下の軽自動車であって、最高時速60km以下の自動車のうち、
高速自動車国道等※において運行しないものが該当。
この区分の超小型モビリティには、最高時速60km以下の車両であることを車両後面の見やすい位置に表示する必要がある。
※ 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和32年法律第79号)第4条第1項に規定する道路をいう。)又は
自動車専用道路(道路法(昭和27年法律第180号)第48条の4に規定する自動車専用道路をいう。)〇超小型モビリティ(認定車)
超小型モビリティのうち、認定制度によって認定されたもの。大きさ、性能に対する条件のほか、
(1)高速道路等は運行しないこと、(2)交通の安全と円滑を図るための措置を講じた場所において運行すること、等の条件を付すことで公道走行が可能。
環境への負荷が少ない手軽な移動手段
軽量EVであるため、軽や普通乗用車から乗り換えれば、CO2削減には大きく貢献しそうです。
超小型モビリティの走行距離あたりのエネルギー消費率はガソリンの1/6、ハイブリッド車との比較でも1/3程度です。(中略)
超小型モビリティの意義と効果は、CO2の削減だけではなく、都市や地域の新たな交通手段、高齢者の移動支援、子育て支援、観光・地域振興などがあります。たとえば、日本郵便やセブンイレブンの配送業務、離島や自然観光地の周遊利用、都市部でのシェリング、山間地や離島でのレンタルなどの日常使用があります。
実証実験の取り組み
本書にあったトヨタ車体、日産、ホンダなどの車両が参加した実証実験のレポートが、国土交通省のホームページに上がっていました。(日本自動車工業会における、 超小型モビリティの今後の展望と取組みから引用させていただきます)
実証実験に参加した車両
このレポートによると、各社独自の超小型モビリティを製作して、実証実験を行なったとのこと。
やはり、2名乗車の場合は前後に乗車するタンデムタイプに設計されているんですね。やはり、車幅が狭いことが、この超小型モビリティのメリットだと思うので、この設計は正しいと思います。
ちょっと脱線、i-ROADの話
それにしても、バイクのように内側に倒れて曲がるトヨタのi-ROAD、どんなドライブ感覚なのか?チャンスがあれば乗ってみたいですね。
ということで、9年も前のものですがi-ROADのデモ走行の動画を見つけてきました。
走行シーンを見ると、リア1輪で操舵していて、前輪は内側に倒れるようにして曲がっていきます。どういう動きをするのか、想像もできない構造になっていますが、新次元なコーナリングであることは間違いありません。興味津々です。
続いて、実証実験の動画。
コーナリングの様子を見ていると、リア輪が急に逆相に切れて、曲がっているというより回っている感じ。酔いそう。特に後ろの席の人は窓も小さいですしやばそうですね。
昔、カーシェアリングのタイムズカープラスで借りることができたのを突き止めましたが、今はそのリンク先がなくやっていないみたいですね。残念。
実証実験の結果
実証実験の結果、近距離の日常ユースの実証実験の結果はこうです。
有用性は認められたのに加えて、これでも大きいとの意見も。都市部で車の所有をあきらめた層を取り戻す効果もありそうですね。
観光地・商業地においては、その地域の中で、駐車スペースなどを含めて超小型モビリティが走る前提で街づくりをしていれば、スムーズかつ快適に使用できそうですし、地域活性化にも貢献しそうです。
また、配達時の一時駐車が必要な小口発送での場面でも、停車が邪魔にならないことが確認できたとのこと。
実車実験から得られた、超小型モビリティの分類は以下の3つ。
実際に自分が使うことを考えるならば、TYPE-Aを考えるかなと思います。何せ、駐車のしやすさが最大のメリットだからと思うからです。
ホンダの実証実験レポート
実証実験結果の中で、単独ではホンダのレポートだけが添付されていました。(熊本県で発見した 超小型モビリティの可能性)
熊本県で行った実証実験の結果がまとめられていますが、その中でちょっと面白かったのが、
・公用使用では、公用で乗るのはいい(しょうがない?)がプライベートでは乗りたくない。理由としては、熊本は車社会だから、車にある程度の快適性(エアコンなど)を求めるということ、窓がないから女性が髪型、服装、メイクが気になるということです。
・観光地使用では、ここでしか乗れないというアトラクション価値が認められた。
やはり、バイクの延長というより、軽自動車の延長、クルマとしての見られ方をするんだなと思いました。
このモビリティの足りないであろうところ
一般の人がこのモビリティを買うのか?自分がこのモビリティを購入検討した場合に、不足していると考える項目をあげてみます。
渋滞回避できるメリットがあるといい
小型で幅狭なこのモビリティは、使用する道幅も狭いでしょう。なのに、既存自動車と同じ道を走っていれば、渋滞回避のメリットもありません。
なので、このモビリティ専用レーンを作って、このモビリティに乗れば渋滞中でも専用レーンをスイスイ走れるようになったらいいですよね。そうすれば、このモビリティのメリットが出てくると思います。
駐車場のメリットがあるといい
小型で幅狭なこのモビリティは、駐車する面積も小さいですね。
先ほどの実証実験の資料の中にあった、海外の状況という写真の中での駐車風景。右下の写真はびっくり。こんな止め方があるのか!って思いました。サイズ的には駐車しやすいのは間違ありません。
また、こんなスペースに止められるという写真もありました。もうバイクですね。
ただ、通常の駐車枠に止めて同じ料金を取られるなら、そのメリットは活かせないと思います。バイクのメリットは、駐車エリアの自由度があること。バイクのような駐車のメリットがこのモビリティにあるといいと思います。
そのためには、やはりタンデム乗車にして幅を極力狭くする設計にするのは絶対だと思いますし、加えて、このモビリティ向けの駐車場を数多く設置するとか、駐車料金が安いとか。色々やることがありそうだなと思います。
機動性がメリットであるので、駐車のしやすさにメリットがないと、軽自動車の方がいいという判断になりそうです。
(業務的に配達で一時駐車するような場合は、スペースを取らないためメリットが大きいとは思いますが。)
安全面が心配
先ほどのi-ROADの実証実験の動画を見ていて思うのは、安全面。
普通車両と混走していると、仮に衝突した際の弱さを想像してしまいますし、実際サイズ的にも衝突安全性は低いと言わざるを得ません。そういう意味で速度を制限しているとは思いますが、低速走行中や停車中に突っ込んでこられる可能性もあります。
安全性は普通車両には及ばないが、バイクよりは上(?)であることを念頭に乗るか、走行レーンななど走行環境を限定して安全性を上げる取り組みをするかぐらいしかないかなと思います。
運転が面白かったらいい
小型軽量なので、取り回しも楽で運動性能は高いはずです。ただ、現状は、運動性能追求というより、コスト優先でただ走るだけの設計になっているのではないかと勝手に想像しています。
高齢者が運転しやすいのはもちろんのこと、若い人に対しても運転が楽しいモビリティとして性能を追求していけば、ポテンシャルはあるのではないかと思います。
今度レンタルしてみます!!
エネオスの次世代カーシェリングサービス(エネオス 次世代カーシェアリングサービスホームページ)というサービスがあります。
実は、現在エネオスとさいたま市が協力して実証実験中なんです。最近自転車のシェリングサービスと同様、さいたま市の多くの場所で、超小型モビリティが止まっているのを見かけます。なので、今身近で超小型モビリティを借りることができるのです。
今まで興味があったのですが、試乗できていませんでしたので、これを機会に借りてみようかなと思いました。
車種は2機種。
こちらはFOMMという機種でなんと4人乗り。
こちらは、トヨタエンブレムをつけた、C+podという機種。こちらは2人乗り。
先ほどの話の流れだと、2人乗りのC+podですね。
次回、試乗を通じて感じたことと、この超小型モビリティがありか?なしか?をまとめたいと思います。
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